【2482】やはり統合失調症は自然治癒力では治せませんでした (【2444】のその後)

Q: 【2444】私は自然治癒力で統合失調症を治しました で回答をいただいた者です。今思えば、なんて阿呆なことを…と思います。 統合失調症は、ハーブの入浴剤なんかでは治りません。治ったら苦労はしません。薬と適切な治療が必要だと、私は痛感しました。
質問メールを送らせてもらったころは、薬ものまずに仕事をしていました。一年間くらい、統合失調症の薬を飲まなかったのです。 調子が良かったこともあって、薬を飲まずに働いていました。 けれど、薬をやめてから9ヶ月後くらいから急激におかしくなり始めたのです。 自分が今何歳だかわからなくなり、妙なことにこだわるようになり、変なおまじない(ボンジョビ、ボンジョヴィ? というフレーズを頭で唱えないと不安になる)に囚われてしまい、貨幣価値(10円より100円のほうが価値があるというかんたんな価値観)すらわからなくなってきました。 そして質問メールを送らせてもらった後、一か月ほどしてから私は行方不明になりました。 午前中の仕事を終えて、休憩に入り、そこで記憶は途切れました。 気が付いたら外は真っ暗、知らない街にいました。私は四国に住んでいるのですが、気づけば本州のある県まで来てしまっていたのです。どうやって移動したのかはわかりません。服は仕事着から着替えていて、知らない服を着ていました。財布には5万円ほど入っていました。あとから確認したら、ATMでおろしていたみたいです。記憶は一切ありません。 泣いて見知らぬ街(今まで行ったこともない県でした)を徘徊する私は警察に保護され、家族からは捜索願が出されていたことを知らされました。 家族に迎えに来てもらい、翌日、以前かかっていた精神科に連れていかれました。 私は遁走してしまったらしいです。 医者からは「治療をする以前の統合失調症患者に、よくあることだ」みたいな説明を受けました。ちゃんと通院して、薬を飲むように、ときつく言われました。事件や事故に巻き込まれなかっただけ良かったのだと、言われました。本当に、無事でよかったと思いました。 私は午後の仕事もすっぽかしてしまったことや、見知らぬ街へふらっと遁走してしまったこと、それらの記憶がないことに怖くなりました。 同時に、ちゃんと治療しないと恐ろしいことになるぞ、と思いました。 いきなり冷水をぶっかけられたような、そんな感じがしました。
今、私は親に服薬管理され、少しずつまた働き始めています。 私がまた林先生にメールを送らせてもらったのは、当たり前みたいなことですが統合失調症は自力では治せないこと、治った!と思ったのは自分の思い込みでもあること、を強く感じたからです。   ここまで読んでいただきありがとうございました。 治療と薬は一生続ける覚悟で、この病気と向き合っていきたいです。

 

林: 貴重な経過のご報告をありがとうございました。【2444】の頃、質問者は非常に危険な状態でした。

事件や事故に巻き込まれなかっただけ良かったのだと、言われました。本当に、無事でよかったと思いました。

まさにおっしゃる通りです。統合失調症の方が悲惨な事故や事件に巻き込まれるのは、未治療や治療中断の際が大部分です。最近の特に悲惨な例として、治療中断が招いた射殺 も是非お読みください。

治療と薬は一生続ける覚悟で、この病気と向き合っていきたいです。

今のこの気持ちを忘れず、必ず続けてください。治療さえ続ければ、統合失調症という病気があっても、健康な人と何ら変わらず生活できることも非常に多いものです。しかし治療を中断すれば、悲惨な結末になりかねません。今の気持ちを絶対に忘れないようにしてください。

(2013.12.5.)

05. 12月 2013 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症