【3937】気づいたらゲームセンターでした

Q: 私は40代の男性です。
既に過去の出来事でありほとんど記憶にないため繋がりのない話かもしれませんが周りの話と断片的な記憶でお話しいたします。
この事象が何らかの病気であったのかわかれば教えてください。

私は今から15年ほど前、プログラマー職に従事しておりました。
やる気はあったのですが才能がなかったのだと思います。だんだんとプレッシャーに負けて、毎朝と言ってよいほど出社後は吐き気を催しそれでも仕事をしておりました。

そんなある朝帰りとなった日、4時間後には仕事となるため家に帰ることもできずカプセルホテルへ泊まりました。それがはっきりと覚えている当時の最後の記憶です。ここからしばらくは記憶が断片的になります。

気づいたらゲームセンターでした。
カプセルホテルを出て無断欠勤し、なおかつ家とは遠く離れた親友が住んでいる町のゲームセンターに来ていたようです。一瞬そこで「え?!」と気づいたのですが、そこからまた記憶が途切れます。

次に覚えてるのは親友の家に寝泊まりしていた自分でした。
当時の様子を親友に聞いたところ、理由もなく仕事をすっぽかして遊びに来ていた自分が何かおかしい、と気づき泊めてくれたようです。
その推測通り私はどこかおかしかったようで、家の鍵もかけず勝手に出かけてしまったり、酒もほとんど飲めないのに、ウイスキーの瓶が転がっていたり、会話は成り立つのにどこかおかしかったとのことでした。

そこからも殆ど記憶がなく、3週間後ぐらいに何故か弟に連絡を取り帰宅。
帰宅後も寝る、食べる、ゲームをする(同じゲームを延々と)だけでした。その後、ふと会社へ出社。当然、どなられたようですが全く記憶になく。心配され精神科?に行きましたが何を処方されたのかすら覚えていません。途中から通院していたかどうかすらも覚えていないので…

最終的に記憶がはっきりと戻ったのは無断欠席から半年後ぐらいでした。
当然仕事は続けられず退職。しばらくの間、記憶が途切れることは無かったのですが「なんの意味もなくただ妙に怖くなる」というのが2日に1回ぐらいありました。それも数年で収まりました。

以上が自分の断片的な記憶と、親友や家族から教えてもらった内容です。

 

林: このように一時的に記憶を失う場合、最も考えられるのは解離性健忘またはてんかんです。この【3937】のケースでは、ストレスとの関連性が強く、また、現実逃避的な色彩が見られることからすると、解離性健忘の可能性の方が高いでしょう。この【3937】のような行動が解離によるものだとすれば、遁走と呼ばれる症状にかなり一致しています。
解離性健忘については、
【3592】彼女の記憶が一部だけ消えました
【1393】最近急に昔の出来事をいくつか思い出した私は解離性障害でしょうか
【1002】私の記憶は何なのでしょう
などをご参照ください。

(2019.12.5.)

05. 12月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害 タグ: |