【2448】統合失調症から回復して頑張っています

Q: このサイトを拝見させていただきまして、少し話したくメールさせていただきました。 僕は43歳男性ですが、27歳の折仕事を辞めたことがきっかけで統合失調症を発症したように思います。 周りの人から監視されている 複数の人が自分に対して共謀して工作活動を行っている というような想いが4年程続きました。しかし精神病というものの知識がまったくないため妄想ということにも気付かず、病院を受診することもないままでした。 31歳の時幻聴が聞こえ始めて、その他部屋や車に盗聴器が仕掛けられている 監視カメラで常に監視されている テレビからの音声が自分に向って喋っている というようなことが感じられ、2回程自殺を図るという激しい行動もありました。それでも受診はせずそのまま感情の起伏が激しくなり、怒鳴ったり暴れたり急に落ち込んで引きこもったりというように日常生活に手がつけられなくなり、親が病院に連れて行き(僕が素直に受診を受け入れたようでこれが良かったと思います)、何回かの診察を経て閉鎖病棟に強制入院(医療保護入院)となりました。 入院生活は今思うと薬の鎮静効果で非常に苦しかったですが、3ヶ月程入院して症状がおさまり、その後退院し外来となりました。 調子が良くなったので勝手に断薬をし、2回程再発してその2回とも再度入院しました。今は薬はルナプロン3ミリを1日1錠で非常に安定しています。

ここからが本題ですが、今僕が思うのは精神病というものへの事前知識が非常に重要だなと思います。自分の心と体に変調をきたした時、どうしていいのかわからないからです。僕が統合失調症の本を読んだのは発症後10年後です。病気のことを知り、服薬の重要性を認識し、今現在安定して仕事もしています。単に病院の先生から「あなたはこうです。飲んでください。」と言われても不安もありましょうし納得できない時もあるでしょう。それは己が己を知らないし、病気のことも知らないからです。 病識がないというのが特徴の統合失調症ですが、事前に病気に対しての知識があれば、発症時に「もしかしてこれは?」というような思いにもなり早期の受診にもつながると思います。 ネットでいろいろ調べても情報が錯綜しているようなだけでよくわかりません。書籍の方が信用できます。初心者向けから少し難しいものまでいろいろあります。いらぬ知識を持って病院の先生に難くせをつけるのはいけませんが、このサイトを見ているとあまり信用できぬ医者の方もおられるようです。服薬をしながら、慎重に敏感に自分の心と体の変化に注意を払い、病院の先生に話をして「効果と副作用」のバランスを見極め、自分の体を安定させることが大事だと思います。 今現在、高校で精神病に対しての授業が行われているというような話も少し前に聞きました。発症前に事前知識があれば早期の対応ができ、非常に喜ばしいことだと思います。 時代が変わり、世代が変わり、知識が増え、精神病患者の人達への偏見や差別がなくなっていき、早期の治療・回復が進んで行くことを願います。

 
林: 貴重な経験のご報告をいただきありがとうございました。すべての読者の方々にとって、中でも特に、統合失調症という病気の一面しか知らずに強い不安を持っている方々にとって、このうえなく貴重な実体験の情報になることは間違いないと思います。今後も質問者の病状が改善・安定されることを願っています。

(2013.10.5.)

05. 10月 2013 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症