【3977】お酒を飲んだとき性格が極端になった母はアルコール依存症でしょうか

Q: 40代の母がアルコール依存症及びアルコール性の精神疾患ではないかということについて質問させて下さい。家族構成は50代の父と20代の私(長男)と20代の弟(次男)です。
半年超ほど前から父は遠方に単身赴任、私は母と性格が合わず約3年前から隣の県に一人暮らし、弟も恐らく私と似たような理由で(本人が理由を語らないので実際どうかはわかりませんが)父と同時期に元の家と同じ県の離れた所で一人暮らしを開始して、母は元の家に残っているので家族は全員バラバラに生活しています。

数日前、弟のお祝いのために元の家に家族全員集まりその後外食をしたのですが、母がおかしくなってしまいました。外食した店から直接弟を一人暮らし先に送り届けることになり、そのために父が運転していていた時のことです。母が「Aという道に行って」と言い右に曲がるように指示しました。弟の家はAという道の近くにあり、この地点から東に進みAの道に出てその後北上すればいいのでAの道に向かうのは間違いがないのですが、すでに車はAの道がある東に向かっており、右に曲がってしまったため南に進むことになって目的地に遠ざかることになりました。カーナビも直進するように表示していました。ここで私が気付き父に元の道に戻るように言い、母が違うことを言っていると指摘しました。すると母は「おかしい」「このカーナビの性能は低いから従っていては駄目だ」というような言い訳をしたので、「方向を確認せずいい加減な指示を出したのが悪い」と責めました(カーナビは確かにかなり古いもので若干の故障がありますが今回のルート案内は間違っていませんでした)。非を指摘されたのが気に食わなかったのかここで母は激高して10分ほど父や私を怒鳴り付けました。壊れるほどではないですがカーナビの画面を叩くこともありました。私が免許を持とうとしないことなどあまり関係のないことまで怒っていました。怒っている最中に折角もとのルートに復帰したのにまたもう一度右に曲がらせて南に進ませることがありました。元々パーソナリティー障害のレベルとは決して思いませんが自分が絶対正しくて非を認めようとせず他人にあれやこれやと口を出したがる性格なのですがそれが誇張されたように感じました。一部の脳の病気でみられるような性格の先鋭化というものでしょうか? 道がわからなくなったのも見当識障害だったのでしょうか? その後落ち着いた後はコンビニに寄ってお手洗いを借りて水を買うことはできるものの「Aの道に行って」と何度かうわ言のように言ったりしていました。その後は寝てしまいました。起きたあとは普通でした。その時から母が別人のように変わってしまったということはなく、普段通り生活できています。方向音痴になったということもありません。この時の記憶もあるようですが、突っ込んで聞いてはいないものの多分興奮して普通の状態ではなかったとは認識していないと思います。

私は林先生のサイトを見まして母のこのような状態は病的ではないかと考えました。父と弟がこの事件をどう思っているのかはわかりません。母は自分では依存じゃないと思っているように見えますし、まさか私が本気でアルコール依存症を疑っているとは思っていないでしょう。お盆にはまた家族全員が集まることになるので何とかそれまでに今後どうすればよいのかについて情報を集めておきたいという状況です。

母の飲酒歴などについてお伝えします。
私が物心ついたときには飲んでいました。1日350mlの発泡酒が2本位で週に一度は飲まない日もあったように記憶しております。徐々にお酒は増えて現在では別の糖質オフの発泡酒を6、7本は飲みます。お酒のブランドが変わっているので含まれるアルコール分に違いがあるのかも知れませんが、確実に酒量は増えています。外食先で飲酒する時は生ビールの中ジョッキで3、4杯飲み、外食に行く前や行った後にも1、2本飲むことがあります。飲み終わるとその後しばらくして寝てしまいます。家で飲むときは9時から10時頃にリビングで寝て、1時頃に目を覚まし、風呂に入ったりして(この時にお酒を飲んでいるのは見たことがありません)2時半頃寝室で寝るという生活スタイルです。このような生活でも今は何か支障が出ている風には見えません。仕事も問題なくこなしているようです。今回の事件のようにキレることは家で飲む場合にはありませんが、以前外食の時に店で注文が来るのが遅いのを店員にしつこく責めていたことがありました。暴力的ではなく当時アルコール依存症など精神の異常についての知識もなかったのでちょっと普通と違うなという印象を持つだけでその場は終わりました。それ以外には異常を感じたことはなかったのですがそれは単に外食の機会が少ないからでもっと外食させればそれだけ頻繁に起こるようになるのかもしれません。外食しないのは私が免許を持っていないことと、母が外食するなら飲みたいと言うからです。母は飲んでいない時でも私に免許を取るようにしつこく勧めます。

ご質問は5点です。お忙しい中すみませんがどうかお願いします。
1.母はアルコール依存症になっている、あるいはなりつつあるという私の推測は正しいですか?
2.アルコール依存症である場合まずどのような方法から試せばよいですか。
A.連絡を遮断するなどして底つきを体験させる。
B.アルコール依存症の治療をする病院などに強制入院(医療保護入院?)させる。
C.私がアルコール依存症を真剣に疑っていることすら多分知られていないのでまずは説得する。
D.他の方法。
3.こういったケースでの相談機関は保健所や病院の精神科があたるのでしょうか?病院は母を通わせなければならないので母の近くの所にするとしても保健所は私の住む地域の近くか母の近くのどちらでも相談できますでしょうか?とりあえず質問の回答が出るまでには私の近くの保健所に行ってみますがこの質問を読まれる方向けにお答えいただければと思います。
4.性格が極端になったり方向がわからなくなったりしたのは通常の飲酒の影響を逸脱するものですか?つまりただの酔っぱらいではなくアルコール性の疾患とか脳にダメージを受けている状態ということなのでしょうか?回復困難なものでしょうか?
5.この質問が掲載されたものを母に見せることはプラスの影響とマイナスの影響のどちらが大きいと思われますか?

 

林:
1.母はアルコール依存症になっている、あるいはなりつつあるという私の推測は正しいですか?

わかりません。
お母様がアルコール依存症になっている、あるいはなりつつあるという質問者の推測の主たる根拠は、弟さんのお祝いの日に起きた出来事のようですが、このような単一の出来事からアルコール依存症であることを推定するのは不合理です。
質問者はさらに、お母様のこれまでの飲酒歴に言及されており、それは確かにアルコールによる問題を示唆するものではありますが、

このような生活でも今は何か支障が出ている風には見えません。

という状況であれば、つまりそれは問題はないと解釈せざるを得ず、もし上記の弟さんのお祝いのときの出来事が質問者が確認した唯一の問題であるとすれば、アルコール依存症であると推定するには根拠として弱すぎます。

2.アルコール依存症である場合まずどのような方法から試せばよいですか。
A.連絡を遮断するなどして底つきを体験させる。
B.アルコール依存症の治療をする病院などに強制入院(医療保護入院?)させる。
C.私がアルコール依存症を真剣に疑っていることすら多分知られていないのでまずは説得する。
D.他の方法。

上記の通りお母様をアルコール依存症であるとは判断できませんので、この質問2.については一般論としての回答になりますが、その回答は C. です。
A. の「底つき体験」とは、「連絡を遮断する」というような生易しいことを指すのではなく、家族が本人を捨てて去ってしまうとか、仕事を失うといったように、本人がどん底に落ちるような体験を指すものです。
また、B. の強制的な入院は、全く無意味です。

3.こういったケースでの相談機関は保健所や病院の精神科があたるのでしょうか?病院は母を通わせなければならないので母の近くの所にするとしても保健所は私の住む地域の近くか母の近くのどちらでも相談できますでしょうか?とりあえず質問の回答が出るまでには私の近くの保健所に行ってみますがこの質問を読まれるかた向けにお答えいただければと思いま す。

通常はまず保健所に相談することが勧められます。

4.性格が極端になったり方向がわからなくなったりしたのは通常の飲酒の影響を逸脱するものですか?つまりただの酔っぱらいではなくアルコール性の疾患とか脳にダメージを受けている状態ということなのでしょうか?回復困難なものでしょうか?

このメールに書かれている一回の出来事からは何も言えません。

5.この質問が掲載されたものを母に見せることはプラスの影響とマイナスの影響のどちら
が大きいと思われますか?

マイナスの影響の方が大きいでしょう。お母様が家族に裏切られたと感じるおそれが相対的に高いからです。

(2020.2.5.)

05. 2月 2020 by Hayashi
カテゴリー: アルコール依存症, 精神科Q&A タグ: |