【3846】必要な時には治療を行う姿勢で(【3429】のその後)

Q: 【3429】50代の母親の性格・言動がおかしくなってきた  の30代男性です。貴重なご意見をありがとうございました。
質問時から2年ほど経過しておりますが、経過のご報告をさせて頂きます。

林先生に質問をさせて頂いた後、ストレス軽減を目的として経済的支援を開始し、コミュニケーションをまめに取るように致しました。
その後母の正常とは言い難い言動は少なくなっていき、夏頃にはほぼ見られなくなったため、病院の受診は見合わせ致しました。

そこから1年ほど経過したタイミングで、わずかではあるものの不自然な妄想・言動があったため、母に心療内科を受診してもらいました。
伝聞情報となりますが、問診の後「異常があるとは言えない」という診断を下され、「不安であれば知能テストのようなものを受けることでより詳細な調査もできる」と伝えられたようです。

以来現在まで、不自然な言動等はあまり見られなくなりましたので、更なる受診を強く勧めることはしていません。

今後も何かあった際には診察を受け、必要な時には治療を行う姿勢で母と向き合いたいと考えています。
また経過をご報告させて頂くこともあろうかと思いますが、何卒よろしくお願い致します。

 

林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。
【3429】でお答えしたように、お母様は統合失調症か妄想性障害だと思いますが、このケースのように、(1)中年を過ぎてから発症  かつ、 (2)発症にストレスが関与 かつ、(3)そのストレスは一時的または今後は避けることが可能 な場合には、服薬しなくても幻覚や妄想が消えるか、少なくとも生活に支障がない程度まで弱まることは少なからず認められるものです。
お母様の場合も、いったんは受診されたものの、

以来現在まで、不自然な言動等はあまり見られなくなりました

とのことですので、

今後も何かあった際には診察を受け、必要な時には治療を行う姿勢で母と向き合いたいと考えています。

という方針で、基本的にはよいと思います。
ただ、現実には、その 「何かあった際」 が見落とされて、気づいてみるとかなり悪化しているということがしばしばありますので、十分にご注意ください。

(2019.7.5.)

05. 7月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 妄想性障害, 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |