【3793】近隣住民からの嫌がらせは妄想ですか

Q: 30代男性です
やや以前の話ですが、居住していたマンションで、夜中や夕方など、突如チャイムが鳴り、警察官が臨場し、「あなたの部屋から騒音や、足音がひどいと通報が来ている」と言うのです。一人暮らしで子供もおらず、暴れるようなこともないので心当たりがなく、臨場する警察官も、チャイムを鳴らす前に音の確認をしているようで、「騒音苦情、事実なし」「居住者に『苦情が出ている』旨だけ伝えて結了」という記録があります。
なぜ記録がわかるかといえば、警察官が110番通報があると、警察署は110番の記録の「措置票」を作成するので、これは警察署で自らの個人情報として、通報者の情報は黒塗りですが、開示を受けることができるのです。
それが約10回ほど、半年ほど続き、夜間、日中問わず突如警察官が臨場してくる不安感、ストレスから退去を余儀なくされてしまいました。

もともと不眠やうつ病(状態含む)で長期間苦しんでいたこともあり、掛かりつけの病院の主治医に「近隣住民から理由の心当たりがなく狙われている、嫌がらせを受けている」と訴えたところ、カルテを見ると統合失調症という診断名がありました。 (カルテ開示により判明)
これは、「主治医に『住民から嫌がらせを受けている。不安である。だれかわからず困っている」と相談した時点では、通報記録などのウラも取れておらず「統合失調症のケがあるな」と、
相談内容からざっくりと判断されたのではないかと思っているのですが。

賃貸人たる不動産管理会社に訴えても取り合ってくれず (気のせいではないかという対応)
退去費用を求める訴訟を提起してもいます。

さて質問ですが、
警察官が多数回臨場していること、
それにより生活に支障が出ていると、感じていたこと。
警察署から通報記録の開示を受けている。
不眠によりフルニトラゼパム、マイスリー、デパスなどの抗不安薬などの処方を受けている事実、服用している事実
20年ほど前、マジックマッシュルームを体験していたことがあること。

これらの情報(少なくとも自分では事実と思っている)から、病識がない、統合失調症ないし妄想、という感じはありますか?
私は不眠やうつ病、双極性障害も含む、と診断されていますが統合失調症となると病識の問題があり主観では判断できない部分があり「質問者の言っていることがおかしい、病的である」部分がありましたらご指摘いただきたく存じます。よろしくお願いします。

林:
やや以前の話ですが、居住していたマンションで、夜中や夕方など、突如チャイムが鳴り、警察官が臨場し、「あなたの部屋から騒音や、足音がひどいと通報が来ている」と言うのです。一人暮らしで子供もおらず、暴れるようなこともないので心当たりがなく、臨場する警察官も、チャイムを鳴らす前に音の確認をしているようで、「騒音苦情、事実なし」「居住者に『苦情が出ている』旨だけ伝えて結了」という記録があります。

これが事実であるとすれば(つまり、苦情があって警察官が来たが、質問者が騒音を出したという事実はなかったとすれば)、最も考えられるのは、質問者の居住するマンションに、統合失調症ないしは妄想性障害の住人が居住しており、その住人が被害妄想に基づき警察に通報したというストーリーです。このストーリーは、統合失調症や妄想性障害ではよくあるパターンであり、それに対し、逆に質問者が心配されているように質問者の方が統合失調症や妄想性障害であったと仮定した場合(あるいはマジックマッシュルーム使用の後遺症としての精神病性障害であったと仮定した場合も)、このメールに書かれているような被害妄想を有するというパターンはあったとしても稀です。
したがって、質問者が統合失調症、妄想性障害、薬物性精神病などに罹患している可能性は低いです。

質問者のカルテに統合失調症の病名があったことについては、質問者自身の推定の通り、

「主治医に『住民から嫌がらせを受けている。不安である。だれかわからず困っている」と相談した時点では、通報記録などのウラも取れておらず「統合失調症のケがあるな」と、
相談内容からざっくりと判断されたのではないかと思っているのですが。

その理由が最も考えられると思います。

ただし上記は、このメールに書かれている内容が正しいと仮定し、加えて(こちらも非常に重要な仮定ですが)、このメールに書かれていること以外には診断上重要な事実は存在しないと仮定したうえでの回答です。

妄想を有する人はしばしば、ご自分が正常であるという判断根拠になる事実だけを選んで積極的に述べる傾向があるものです。妄想が非常に強い場合はそのようなことはできず、いわば素直に、客観的には誰が聞いても明らかに妄想とわかることを強く主張し続けるのが常ですが、それほど強くない場合は、巧みに(客観的には巧みにという意味です。本人がどう考えてそのようにされているのかまではわかりません)病的な部分を隠蔽した報告をされることがしばしばあります。

この質問者がそのようなケースにあたるかどうかはわかりません。少なくともそのようなケースにあたると積極的に考える根拠はありませんが、そうでないと強く言える根拠もありません。

したがって上記の回答はあくまで、このメールに書かれている内容が正しいと仮定し、加えて、このメールに書かれていること以外には診断上重要な事実は存在しないと仮定したうえでの回答ということになります。

(2019.3.5.)

05. 3月 2019 by Hayashi
カテゴリー: 妄想性障害, 精神科Q&A, 統合失調症