【3771】忘れ物やケアレスミスが多い私は出来ない子なのでしょうか

Q:  20代女性です。私は 昔から、人の話の理解が出来ず、物忘れの多いボーっとした子ではありました。

今でこそ少なくなりましたが、授業中は、いつの間にか意識が飛び、周りの人は違う作業をしている。また指示の理解が出来なくて、友人に内容を訳してもらう、友人がいなければ、周りと違う行動をとり、先生から不審がられることもありました。
忘れ物やケアレスミスが多く、授業欄を上から確認しても丸々一つの授業の道具を忘れることがあり、小学校頃は泣きながら母親に手伝ってもらいました。道具を準備するにもそれを探すことから始まり、自分で見つけることも下手でした。ケアレスミスでは、勉強はそこそこできたものの、問題の単語を間違えて書き写したり、プラスとマイナスを間違えたり、アで答えるものをaと答えたりと、テストの度ケアレスミスをしないか不安でした。不注意な面が強く、運転中に考えことをしてしまい、講習中や仮免試験中にも関わらず、赤信号をスルーしたり、壁に衝突しかけたりもし、ある時はドアを開くのを忘れ、歯を欠ける怪我をしました。
大学生になり、アルバイトを始めたものの、数が数えられない、お客さんの声に反応できない、聞こえない、作業中に別の作業をすると前の作業を忘れる、電話を取っても自分だけ聞こえない(スピーカーにしたら聞き取りやすい)、指示の内容をすぐ理解できず、3ヶ月も持たず辞めました。耳がおかしいのかと思い、耳鼻科に行きましたがストレスで内耳過敏、運動してよく寝てくださいと言われました。私は、むしろ過眠気味で、毎日40分は歩くようにしているので、あまり納得ができませんでした。

中学まで友人がほとんどいなくて、周りと自分に差があることに気づけませんでした。人と馴染めないことを理由にネットで情報を探したところ、うっかりが多すぎるのはおかしいと気づきました。それでも高校・大学と人と話すことが増え、人と馴染めないことだけは改善できました。しかし、ここ最近それ以外のことがどんどんできなくなりました。前までは、日をまたいで発症していたのが、1日の間に何度も起こるようになりました。記憶の抜け、会話が噛み合わない、仕事のうっかりミスが増えていったものです。数分前に自分のやった行動を立て続けに忘れ、言われるまで気づかなかったり、何をしていたか思い出そうとする行動を何度としている状態で、前までは数十分前くらいで済んだのに、時間の幅が短くなりました。会話については、今週のことを話しているのに、自分は来週のことを話しているような状態です。
またミスの多さは、何かする度ミスを犯す。同じサークルのメンバーにあなたは出来ないんだから、周りに見てもらえと言われました。最近、症状が酷くなったのは、サークルで責任の重い役職につき、1人で1.5人分の仕事をしている状況で、死にたいと泣くことも増え、ステレスも溜まっている状況でした。こんな状況のままだと、仕事もうまく出来ず、私はどうしたらいいのか分からなくなりました。

話が長くなりましたが、私の症状はADHDといった類の何かしらの障害によるもなのか、最近の症状は何なのか、病院で診てもらえばいいのかということです。しかし、受診する時は病院に成績表を持っていかないといけないということを知り、成績表には特に私の困っていることには触れておらず、これを理由に私は普通だと診断されたら、私は一体何で悩んでいるのか、どうすればいいのか、そういう風になりそうで不安です。

 

林:
話が長くなりましたが、私の症状はADHDといった類の何かしらの障害によるもなのか、最近の症状は何なのか、病院で診てもらえばいいのかということです。

このメールに書かれている内容は不注意優勢型のADHDに一致しています。病院での診察を受けることをお勧めします。

受診する時は病院に成績表を持っていかないといけないということを知り、

持っていかないといけない」などということはありません。持って行けば診断の参考になることはありますが、ならないこともあります。

成績表には特に私の困っていることには触れておらず、

そういうことはよくありますので、上記のとおり、成績表は診断の参考にならないこともよくあります。

これを理由に私は普通だと診断されたら、私は一体何で悩んでいるのか、どうすればいいのか、そういう風になりそうで不安です。

したがって、成績表に問題行動等の記載がないことを理由に「普通だと診断」されることはありません。
それより上記の一文から読み取れる問題点は、

普通だと診断されたら、私は一体何で悩んでいるのか、どうすればいいのか、そういう風になりそうで不安です。

という部分で、病院を受診する前の時点では、「病気かどうかはわからない。病気だとしても何の病気かはわからない」という気持ちでいることが重要です。受診の前に、病気であるとか、逆に病気でないとか、さらには診断名はこれであるとか、などという気持ちを持っていると、医師の診断がそれとは違った場合に、失望したり、不信に感じたりすることがありがちですが、それは明らかに不合理であり、良い結果につながることは考えにくいです。この観点からすれば、

普通だと診断されたら、私は一体何で悩んでいるのか、どうすればいいのか、そういう風になりそうで不安です。

というのは全く不合理ということになります。

この回答の冒頭に私は

このメールに書かれている内容は不注意優勢型のADHDに一致しています

と書きましたが、「不注意優勢型のADHDに一致」しているということは、「だから不注意優勢型のADHDと診断できる」という意味ではありません。メールの記載内容がいかなるものであれ、実際に診察を受ければ、障害というほどではないということも十分にあり得ますし、他の病気だったということもあり得ます。

(2019.1.5.)

05. 1月 2019 by Hayashi
カテゴリー: ADHD, 精神科Q&A