【3742】自殺未遂した統合失調症の同級生

Q: 私は【3741】の質問者です。以前から先生の書籍やHPを拝見していました。
20代の頃に同級生が統合失調症を発症し、パニックからマンションのベランダから飛び降り、下半身不随となりました。当時は私も他の友人も、そして本人の家族も精神疾患の知識がなく、友人の中には事故の前に本人から誰かに監視されている、ニュースで自分の事を話されている と訴えていたことを知っていた人もいたのに、その話を聞いた誰もが「なんか変だった」で終わらせてしまい、結果医師もその経緯を知らず、「うつ状態」と診断されてしまいました。私も突然の自殺未遂、という風にしか思っていませんでした。
幸い本人が半身不随の事実を受け入れてリハビリに励み、職業訓練に通うなど前向きに車いす生活をスタートさせた頃に症状が再発(緊張状態)し、その時に何かおかしいと初めて色々と調べだした結果、統合失調症なのでは、と思いあたったものの家族にうまく伝えられず、眠れないということで家族と受診した複数の心療内科にて「うつ病」としか診断されていない事実にやきもきしたことがありました。その後幻聴があり、本人が車いすのまま車道に飛び込もうとした事で、精神科に緊急入院し、統合失調症の診断が下りました。
以降本人は服薬を続け8年間症状は落ち着いたまま、継続してフルタイムの仕事もしており、結婚もして、平和に暮らしています。
この経験から、私は精神の病に関して「知っておく」ことの大切さを学びました。
すんだことを言っても意味のない事ではありますが、未だに、事故の前の予兆があった時期に誰か一人でも統合失調症を疑っていれば、友人は今も自分の足で歩いていられたかもしれないと、考える時があります。
【3741】については、過去の経験からAの事を統合失調症かな?と疑う事ができています。
どちらのケースも私は家族ではないので、直接介入はできないのですが。
ただこの2つのケース(【3741】と【3742】)は対極にあるなと思います。【3742】の日本の友人のケースは家族や友人の理解・協力があること、本人がコントロールに前向きであったこと。【3741】のAのケースは本人の友人や家族に理解者が居ない事、本人も消極的であること。環境要因も大事ですね。個人的には国も言葉も違うのに、妄想の内容がほとんど同じだった事が興味深いです。

林先生のホームページで色々な事例をご紹介されている事は、精神の病気を知る上で、とても重要な事だと思います。私の場合は統合失調症を通してですが、事例を知っていると知らないとで、いざ問題に直面した時に起こせるアクション、そして関わるほうのストレスの度合いが全然違ってくることは経験として実感しています。大変だと思いますが、これからもご活躍ください。
読んでいただきありがとうございました。

 

林:
この経験から、私は精神の病に関して「知っておく」ことの大切さを学びました。

おっしゃる通りで、統合失調症をはじめとする精神の病について、事前に知識さえ持っていれば悲しい経過や結末になることを避けられたと思われるケースは膨大に存在します。貴重なご経験を報告していただきありがとうございました。

(2018.10.5.)

05. 10月 2018 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症, 自殺