【3735】薬が効いているように思うのですが、私は自閉スペクトラム症なのでしょうか?

Q: 40代半ばの男性です。以下に説明するような人生を送ってきましたが、近年、発達障害やASDなどの言葉が知られてくるようになると、自分もそうなのだろうか、自分の人生はなんだったのだろうかと思い始めました。

小さい頃から人見知りでいじめを受けたりしていたものの、大きな問題はなかったと思うのですが、大学2年のときに人間関係のストレスから急激に自閉的になりました。友人が心配して外に出かけるよう誘ったりしてくれたことを覚えています。結局、そのような状態は改善しませんでした。
なんとか卒業して、最初の会社の3年目にパニック障害を発症し、通勤電車に乗れなくなりました。それで会社を辞めて、相当な勇気を振り絞ってメンタルクリニックに行き、薬を飲んで過ごしたら少しずつ治っていきました(ただ、今でも映画館には怖くて行けません)。
2つ目の会社はうつ病になって退職し、通院しつつ一年間無職で過ごしました。以後は主に非正規で会社を転々としています(薬はいろいろと変わりましたが、ずっと飲んでいます)。働き始めてもやがて対人恐怖で居づらくなり、後先考えずに自分から辞めることがほとんどです。一か月や半年で辞めることもあります。

以下、箇条書きになりますが、思いつくことを列挙します。

・若い頃から何度も、いつも怒っているような顔をしていると言われる。
・他人は基本的に敵で、敵か味方の二分思考になっている。
・会話の相手や隣にいる人が明らかに不快に思うようなことを話してしまうことがある。事前に注意しようと思っても止められない。自分が嫌になるので人間関係を築くのは諦めて仕事以外ではなるべく独りで過ごすようになった。
・パキシルを飲んでいたときは特に、どちらかといえば大人しかった性格が変わって攻撃的になった。他人への文句を躊躇せずに言ったり店にクレームを言うなど、普段の空気を読めない部分が増長し、心ない言動で友人を怒らせたりなくしたりした。
・同じような行動パターンを繰り返す(好む)ことが多い。仕事の予定が急に変更になると怒りが湧いてくる。
・自己否定の感情が常にある。調子が悪いときは「自分はダメ人間」という言葉を頭の中で繰り返してしまい苦しくなる。他人の笑い声を聞くと不安になる。
・職場であまり話さない人を無視してしまう。挨拶もできず、相手がいないかのように振る舞う。失礼だとは思うが止められない。
・ストレスが酷いと他人の言動をなんでも悪く(自分を攻撃しているように)受け取って攻撃的に反応してしまう。普段と変わったことがあると他人がやったのではないかと想像してしまうことがある(後からおかしな妄想だったと気付く)。
・実際には起こっていない他人からの攻撃的な言動を想像し、それに対する自分の反応を延々と妄想してしまう。
・うつ気味のときに知り合いの連絡先を片端から削除して人間関係を絶ってしまう。メールが来ても無視してしまう。
・車を運転したり、家を買ったり、結婚して子供を持ったりすることが自分とは違う「大人」のやることだと思ってしまう。
・多くの人がやっているような、他人とつながりを持ち(現実でもネットでも)そこから自分の世界を広げていくようなことができない。
・不注意・多動性はない。反社会的なところはない(社会にあまり興味がない)。積極的な自殺願望はないが生きるのに疲れてきた。

ASDについて主治医に相談したこともありますが、いちおう自立して生活できているし、仮にそのように診断されても何も変わらないと言われました。これまでなんとか社会生活を送ってきましたが、年齢的にもやがて仕事を見つけられなくなり生き延びることができなくなると思うと暗い気持ちになります。

易怒性や自己否定の感情は、最近ラモトリギンを服用するようになってから軽減されました。抑うつ状態については、気分をアップさせると主に対人関係でおかしなことをやらかしそうなので、少しマイナスの気分でいるのが無難だと思っています。

1) 私は自閉スペクトラム症(または別の病気)だと考えられるでしょうか?
2) 投薬(と私の現状)に改善の余地があるかどうかご意見をお聞かせいただけますと幸いです。

現在の一日の処方は以下のとおりです。
ラモトリギン100mg, アリピプラゾール3mg, セルトラリン25mg, リボトリール0.5mg, ゾピクロン 7.5mg

 

林:
1) 私は自閉スペクトラム症(または別の病気)だと考えられるでしょうか?

自閉スペクトラム症の傾向はお持ちだと思います。自閉スペクトラム症と診断できるかどうかは微妙です。この【3735】のケースは、医師によってはそのように診断するかもしれませんが、診断をつけるまでには至らず、「傾向」にすぎないとする医師のほうがどちらかというと多いでしょう。

ASDについて主治医に相談したこともありますが、いちおう自立して生活できているし、仮にそのように診断されても何も変わらないと言われました。

「何も変わらない」かどうかは、何とも言えません。自閉スペクトラム症を支援する優れた社会資源が質問者の手の届く範囲に存在すれば、変わることも考えられます。しかしそのような資源は少ないのが現状ですので、現実的には「何も変わらない」ということになるかもしれません。ただし、診断を下すかどうかはともかく、自閉スペクトラム症の傾向があることを自覚され、自閉スペクトラム症についての知識を積極的に得ることは、今後の人生を豊かにする方向に作用することが期待できると思います。

2) 投薬(と私の現状)に改善の余地があるかどうかご意見をお聞かせいただけますと幸いです。

すでにラモトリギン服用による改善を自覚されているとのこと、さらなる改善への補助的手段として、薬物療法の効果は期待できると思います。

(2018.10.5.)

05. 10月 2018 by Hayashi
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