【3576】周囲がぼやけてみえる、現実感がない  

Q: 20代女性です。
幼少期から、周囲に霧がかかったようにぼやけているような感覚があります。
また、後頭部から何かが抜け、浮くような感覚が現れるときもあります。(これは、叱られた時などに多い気がします)

いつもぼんやりとしていて、多くの物事に現実感がありません。(全て他人事のように感じたり、自分が自分ではないような感覚があります。また、嬉しい、悲しい等、感情にあまり実感がありません。例えば、他人に褒められた時、人は嬉しいと感じるはずなので、自分も嬉しいと思っていると言い聞かせているのですが、本当は何も感じていないような気がしています)

稀に目が覚めるような感覚があり、そのときは周囲がクリアになり、現実感を感じるのですが、あまり長くは続きません。多くの人は常にこの感覚で過ごしているのではと考えています。

今までの学生生活では、上記症状があっても一人でいることが多く、孤独も感じることがなかったため、特に不都合はなかったのですが、社会人になってから、仕事において観察力が足りないとよく指摘を受けます。

観察力が足りないため、他の人が行わないようなズレた行動や発言をしてしまったり、他の人が周囲を観察し、真似ることで当たり前に行っていることが出来なかったりします。

気をつけて周囲を観察するようにしているのですが、現実感がなく、周囲がただのオブジェクトのように思えてしまうため、どこに注目すればよいのか分からず、なかなか改善することができません。

大したことではない気もするのですが、この頃非現実感が増してきており、無気力感も強くなってきています。仕事にも支障が出てきているので何とかしたいと考えているのですが、これは治すことが出来るものなのでしょうか。(稀に起こる目が覚める感覚で常にいれたらいいなと考えてしまいます。)

また、これは誰にでもある感覚なのでしょうか。それとも何かの病気なのでしょうか。
宜しくお願い致します。

 

林: 回答は【3569】とほぼ同じになります。
すなわち、

質問者が体験された症状は、離人に一致しています。但し離人という症状そのものは、単独で現れることもあれば(その場合は離人症ということになります)、他の病気の一症状、たとえば統合失調症の症状として現れることもありますので、離人という症状があったというだけでは、診断名や今後の経過予測は不可能です。

ここまでは【3569】と同じです。

【3569】とこの【3576】の大きな違いは、【3569】は離人が一過性に表れ、この【3576】では幼少時から持続しているということです。
症状の記述だけから見ると、違いはこれだけのようにも思えますが、離人という症状は、よくお聴きすると、それぞれ主観的体験内容が微妙に違っているものです。(ここで「微妙に」というのも、ご本人の言葉での表現上は微妙という意味にすぎません)
そしてその違いまでは、メールから判断することは困難で、ほぼ不可能です。

また、離人では、離人症状そののだけでなく、ほかに随伴する症状があるか否かも診断上重要です。
以下もまた、【3569】と同じ回答文になります。

もし症状と経過についての情報がこのメールに書かれていることだけだとすると、受診しても経過観察ということになるでしょう。(だから受診する意味がないということではありません。この場合、経過観察にも十分な意味があります)

(2017.11.5.)

05. 11月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A タグ: , |