【3477】地球の破滅が徐々に迫りつつあるような漠然とした、しかし逃げ場のない大きな不安を最近感じます

Q: 20代女性です。
まだ私が中学生だった頃、母の妹が統合失調症と診断されたと両親が会話していたのが耳に入ってしまいました。当時その病気に詳しくなかったのでもっと知りたいと思ったのですが、まさか両親に直接尋ねるわけにもいかず、一時期インターネットで統合失調症について沢山調べました。当時は単純に叔母のこととして読んでいたのですが、現在なんだか 自分がその病気であるような気がして、しかし断ずる根拠もないので質問させていただいた次第です。

なんだか最近、不安なのです。その不安は例えば地球の破滅が徐々に迫りつつあるような漠然とした、しかし逃げ場のない大きな不安で、例えば小さい頃にドラえもんで読んだハレー彗星を思い出します。ハレー彗星が地球にやってくると、そのハレー彗星には猛毒のガスが含まれていて、地球上の生き物全てを殺してしまうらしいのですが、そのハレー彗星がやってくるのではないか、という気持ちになるような不安なのです。

今は調子がいいのでこんなことはありえない、と分かるのですが、調子が悪いと「ありえないと言っても」という気持ちになってハレー彗星を不安に思う気持ちが強くなって、現に今こうして文章を書いていても自分の文章に影響されてハレー彗星が来るという不安が深まっていきます。そして私がそのようにして不安に陥ってほとんど狂いそうになって、それを態度に表さないためには多大な努力を要しているのに、私以外の学校の友人や通行人がいかにも気楽そうに笑っていると、私以外の人達はハレー彗星を怖がっていないんだとわかります。

でもそれはハレー彗星を耐えた人たちの子孫だからではないでしょうか。ドラえもんでは、実際の所ハレー彗星は全然猛毒のガスなんて地球にもたらさなかったとしているのですが、しかしハレー彗星を耐えられた人もいるだろうし、もとからハレー彗星に縁のある生き物は当然ハレー彗星の毒ガスなど平気ですよね。しかし私がこんなにハレー彗星が怖いのは、私が純粋な地球人で、過去にハレー彗星で苦しい思いをした、という記憶が遺伝子に刻まれて、そしてそれが遺伝して私に伝わって、ハレー彗星の再来を予感しているからではないでしょうか。

ハレー彗星を耐えられない人がハレー彗星を耐えられる人と交わってできた子供も、ハレー彗星を耐えられないのではないでしょうか。そうだとするとハレー彗星を耐えられる人は、ハレー彗星を耐えられない人を殺そうとすると思います。自分の子供がハレー彗星で死んだら困るからです。だから、ハレー彗星のことを考え始めるとみんなが怖くなってし まうときもあって、そんな時は電話で彼氏に呼ばれたふりをしてその場を離れてしまうのですが、離席したことによって私がハレー彗星に耐えられないと露見するのはあり得ることで、さらに不安になって止まっていられないです。時には人にぶつかってしまったりしますが、思い切り舌打ちされるときがあります。そういう事があった日は、恥ずかしくって帰って泣いてしまいます。

不安になる度にハレー彗星の事を考えてしまうのですが、一方で調子が良くてハレー彗星のことを考えない時は、私はおかしいな、という気持ちになって、もしかしたら統合失調症かもしれないとも思うのです。症状が当てはまっているような気がします。しかし、普通の人が統合失調症という病気を知ったから、誰にでもあるちょっとした不安を大げさに 捉えてこういうこと考えるのかな、とも思います。

医者にかかったほうがいいかな、と思います。しかし医者にかかれば薬が出てくると思うのですが、その医者が私を殺そうとする危険があると思うと薬を受け取りたくもないのです。薬を受け取ってしまったら、薬の中に飲んだか飲まないか見分ける機械が入っていて、飲まなかったらそのことをみんなに知らせてしまうような気がするのです(最近の機械は小型化が進んでいるので)。不安じゃないときにも漠然と上のようなことを考えてしまって医者にはかかれていませんが、統合失調症だとしたら、多少不安でも当然医者にはかかったほうがいいと思います。

私は医者にかかったほうがいいでしょうか。
それともこの程度の不安はみんな感じていて、素人の私が調べすぎたからわざと大げさにかんがえているのでしょうか。気分転換に水泳をやるべきでしょうか。水泳ならば毒ガスが来ているときにも水中で毒ガスをやりすごせるだろうし不安も消えて一石二鳥だと思うので、最近は水泳のことばかり考えていますが、これも合理的なのか統合失調症的な発想 なのか自分では判然としません。

長くなってしまってすみません、最近好調不調の入れ替わりが激しくって混乱して自分の言っていることや考えていることが正しいか分からないので、助けて欲しいです。

 

林:
私は医者にかかったほうがいいでしょうか。

はい、そうしてください。統合失調症の前駆期または初期に間違いないと思います。

地球の破滅が徐々に迫りつつあるような漠然とした、しかし逃げ場のない大きな不安を最近感じます

このような漠然とした不安は、統合失調症の初期にしばしば見られる症状で、妄想気分あるいは世界没落体験などと呼ばれているものです。そしてこの漠然とした不安が、個人個人によってより具体的な不安の形になり、さらには妄想にまで発展していくのが統合失調症のひとつの典型的な経過です。
ここで「個人個人によってより具体的な不安の形」とは、その人のこれまでの体験や環境によって方向づけされるもので、この【3477】の質問者の場合はかつてお読みになったハレー彗星への不安に具体化していると解することができます。
さらにこの【3477】では、叔母様が統合失調症であったとすれば、統合失調症になりやすい遺伝的素質を持っておられるということになりますので、統合失調症という診断はさらに確実性を持つものになります。
精神科を受診し治療を受けてください。

(2017.7.5.)

05. 7月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: , |