【3408】知人が突然悪の組織などと漫画じみた奇妙なことを言い立てて興奮している

Q: 私は40代女性です。同年代の知人の様子が去年突然おかしくなりました。通信機器を興奮して壊し、悪の組織などと漫画じみた奇妙なことを言い立て、家族がその手先だと激しく言い張ったそうです。統合失調症の症状に似ていると、その話を聞いた際素人考えで思いました。
しかし元スポーツ選手の薬物使用を巡るニュースを聞き、疑問が生じました。元選手が店に入り、そこで人に悪口を言われていると思い込んで激高し、店の備品を叩き壊したという話ですが、知人の症状は薬物依存のそうした症状にも似ていると感じました。これもまた素人考えですが。
知人は以前から旅行を非常に好み、去年は特に旅行三昧でした。ごく大まかな行き先を告げ、後は連絡も一切無しで何週間も家を空け、やっと帰宅して約一か月後、最初に書いた不可解な激しい言動が突然始まったそうです。
現在知人は一見静かで落ち着いていますが、漫画じみた奇妙な考えは今も捨てていないようです。他人を敵か味方に分類し、常に強い警戒心を抱き、病院も家族も信用しないそうです。誰にも見えない何かを追い払おうと突然怒った声を上げたり、訳の判らない独り言をブツブツ言ったり、時折パーティーとかフィーバーとかいう言葉を口走ることもあるそうです。
知人の旅行先を家族に尋ね、少し調べたところ、滞在先に大麻の入手が容易と言われる所が、偶然かも知れませんが複数含まれているのに気付きました。家族によると、若い頃から知人はそうした所に何度となく滞在しているとのことです。
林先生にお尋ねしたいのは以下の二点です。
・知人の病名は何なのでしょうか。
・知人は回復できるのでしょうか。

 

林:
・    知人の病名は何なのでしょうか。

統合失調症中毒性精神病でしょう。
中毒性精神病とは、覚せい剤などの薬物を原因とする精神病で、統合失調症と事実上区別不能な症状になります。
したがって、

統合失調症の症状に似ていると、その話を聞いた際素人考えで思いました。
 
知人の症状は薬物依存のそうした症状にも似ていると感じました。これもまた素人考えですが。

質問者のこれらのお考えは基本的に正しいです。
但し、薬物依存というのは、あくまでも「依存」に着目した診断名ですので、幻覚や妄想などの精神病症状がなくても薬物依存ということはあり得ますし、逆に薬物が原因でそうした症状があっても依存には至っていないということもあり得ます。したがって、この【3408】のケースで考えられる診断名は「薬物依存」ではなく「中毒性精神病」です。

 ・知人は回復できるのでしょうか。

治療を受ければ回復できるでしょう。

 

(2017.5.5.)

05. 5月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症, 覚醒剤