【3562】人を殺したことがあるという同僚

Q: 私は30代女性です。会社の同僚におかしな男性がいます。彼は30代前半で、一見、素朴な田舎の好青年風に見えるのですが、なんとなく初対面の時に作りすぎている印象を受けました。「こんな風にしておけばあまり波風を立てないで生きていける」というのをそのまま体現したような人だ、というのが私の第一印象です。その後、何度か話をしているうちに「この人はアスペルガー症候群ではないか?」という疑念を抱くようになりました。周囲の人たちは、浮世離れしたところもあるが真面目な青年だと認識している様子なのですが、単なる世間知らず(裕福な家に生まれたそうです)というのとは違い、人のたとえ話をダイレクトに受け止めてしまうとか、仕事をしていても一会社のシステムレベルの話を国家機密レベルぐらいに捉えてしまうとか、コミュニケーション能力自体は低くないものの、何かしら特徴的で不自然さを感じることが多々ありました。それで最初に感じた違和感は、本人も生きづらさを感じていてなるべく無理のない範囲内でやっていく事を目指した結果なのだろうと解釈していたのですが…。 ある日、なにかの話の拍子に「実は隠し子が何人かいる」という話をされました。彼は未婚で、しかも至って真面目そうに見えますし、頭が堅すぎるのではと思うぐらいでしたので、内心とてもビックリしましたが、一方で、もしかしたら空想ではないかと思いました。(それほどモテそうな感じにも見えません)それからしばらくすると、今度は「以前に人を殺したことがあるが記憶があいまいだ。殺した事は間違いない」と言い出しました。さすがに本当の話だったら犯罪ですし、冗談や空想だったとしても、言っていい内容の話ではなく、この人は単なるアスペルガーではないのでは?と思い始めました。 他にもいくつも気になる点があります。 彼は投資をしていて、数日で会社の年収レベルを稼いでいるという話なのですが、何故そういう人が年数百万レベルの平社員を続けているのだろうという疑問があります。また、彼のプライベートには遊んでいる風の10代~20代女性が多く集まってくるという話で、その女性たちに援助してくれとよく頼まれるそうです。(自慢でしょうか?)上記もそうなのですが、彼の話をよくよく聞いてみると「お金」「女性」に関する事ばかりです。ニュースの話をしていても「若い女性の犯罪者」に深く興味を示す傾向があり、色々調べているようです。また、以前に私自身がとても犬を飼いたがっていて、毎日のようにその話をしていた時期があったのですが、最初は生き物を飼う事に否定的だった彼が、どういうわけか急に犬を飼い始めました。そうして犬の写メを送ってくれたのですが、何故だか犬の名前は頑なに教えようとしません。曰く「会社の同僚にする話ではないから」だそうですが、同僚に人を殺した話はするのに犬の名前は教えられないというのが意味不明です…。最近ですと、「震災が起こった直後に東北へ行けば良かった」と言うのでボランティアの話かと思いきや「人の死んでいる姿をたくさん見ることが出来た」と言っていました。以前にも「何故人を殺してはいけないのかよくわからない。人も物も同じにしか思えない。誰かと殺し合いをしてみたい」と言っていた事がありました。生きることが空虚だそうです。まるでマンガかゲームの薄っぺらい悪役キャラのような事を言っていると思いました。ゲームはかなり好きなようですが…。 しかしこのようなタイプの人には生まれて初めて出会いました。一体なんなのでしょうか、この人は?試しに心療内科にでも行ってみてはどうかと勧めたところ、ああいうのはインチキなので行くつもりはないと言われました。一応、自分自身がおかしな人間だという自覚はあるようです。このまま放っておいても大丈夫なのでしょうか。

 

林: この男性の語る内容の多くは事実でないことは間違いありません。虚言か、または妄想ということになります。

何度か話をしているうちに「この人はアスペルガー症候群ではないか?」という疑念を抱くようになりました。

これだけでアスペルガーではないかと考えることには無理があります。
しかし、彼の事実に反する話が虚言だとすると、いわゆる虚言癖の人の虚言とは異なる色彩があります。また、妄想だとすると、妄想としてはかなり珍しい内容で、純粋な妄想というより、背景に何らかの思考障害があることが読み取れます。すると、発症してからかなりの年月が経過した統合失調症ということも考えられるでしょう。他方、虚言だとすると、何らかの発達障害が背景にあることが考えられ、質問者の指摘するアスペルガーかどうかは別として、質問者の直感には正しい面があるといえます。
以上、結論としては、よくわかりません。したがって、

このまま放っておいても大丈夫なのでしょうか。

わかりません。

(2017.11.5.)

05. 11月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 発達障害, 精神科Q&A, 統合失調症, 虚言