【3401】主治医が信用できない。病名が疑問。(【3252】のその後)

Q: 【3252】いま飲んでいる薬の強さとSSRIについて で質問をした17歳女性です。いつも見ていた林先生のページで回答いただけてすごく嬉しかったです。
ピレチアの必要性、薬の強さ、林先生の言う通りに主治医の先生に質問して解決しました。そして、無事に退院することが出来、今は通院に切り替わりました。ありがとうございます。
今回はまた別の質問がありメールを書いている次第です。

1つ目は病院についてです。
私は8ヶ月前から近くのメンタルクリニックにかかり、その先生(以下主治医A)に大学病院への入院の手続きを行ってもらいました。その後大学病院に入院し、その大学病院の先生(以下主治医B)に入院中はお世話になっていました。主治医Bはとても丁寧で優しい先生で何があっても前向きに受け止めてくれて病気の治りも早く、一度も嫌な思いをすることなく無事退院することが出来ました。
しかし退院後はその大学病院に外来で通うのは2時間待って診察は5分程度という診察時間の短さと家が遠いのが理由でできませんでした。
そのためまた主治医Aのメンタルクリニックに通院で通うことにしましたが主治医Bの丁寧な治療に慣れてしまったため次第に主治医Aの診察がすごく雑で、私の気持ちを全然わかってもらえない医師だなと思い始めてしまいました。
私は子供関係の割と責任の重く、密接に関わることを求められるボランティアをしていて、その行事があるのでそれに参加する旨を主治医Aに説明しました。内容はほとんど愚痴のような感じで、「ボランティアを取り仕切る方がすごく怖いけれど尊敬できる方なんです。でも頑張って行ってみます。楽しみです。」と言いました。
すると主治医Aは「○○(私の名前)さんはトラウマを作りやすい方だと思うので責任の重い仕事や怖い方の下で活動するのはよくありません。すぐにやめてください。ドクターストップです。」と言われてしまいました。私は「楽しみにしていたんです。ボランティアでたくさん学びたいんです」と食い下がりましたが強い言い方で却下されました。私もうどうしようもなくなってしまい、とりあえず「わかりました」とその場では言ったもののボランティアの仕事を断らずに主治医Aに内緒でボランティア活動をしました。ボランティア活動は成功に終わり、沢山のことを得ることが出来て主治医Aに従わなくてよかった、と思いました。そのことがあってから主治医Aは私の気持ちを理解してくれないんだ、とか、勝手に私のことをわかったような気になっていてすごく不快だ、などと感じるようになりました。病院を変えようかとも考えましたが私は未成年ですし、いい病院を見つけられず薬漬けになるのが怖いし、自立支援を受けているので役所に行って申請をしないと他の病院で自立支援を受けられません。そこで質問なんですが主治医Aの信用が私の中で失われている場合、やはり病院を変えたほうがいいのでしょうか? ご意見をお聞かせ頂けると幸いです。

続いて2つ目の質問、病名についてです。
入院中、主治医Bに退院する際にうつ病の可能性が高いと言われました。ちなみに7ヶ月前から2ヶ月入院しました。心理検査(MMPI,ロールシャッハ,木を描くテスト,風景構成法)の結果は統合失調症の可能性は低いと出ました。しかし、幻聴(自分を呼ぶ声、男が意味不明な言葉を話す声)が一度に2、3分、週に二、三度聞こえるなどの症状が8ヶ月前から今まであります。幻覚はいるはずのない場所に人がそこにみえる症状が一度だけありました。特にストレスもない、犬の散歩をしているときでした。うつ病でも幻聴、幻覚が聞こえることはあるのでしょうか?

 

林: 無事退院されたとのこと、おめでとうございます。
退院後の通院先は、多くの方がお悩みになる問題です。
医師の立場から言えば、治療は入院だけで完結するものではありませんから、たとえ入院治療ですっかりよくなったとしても、その後のフォローアップをしなければ真の意味で治療をしたことにはならないので、入院での主治医は退院後まで責任があると考えますが、この【3401】のケースのように地理的理由から入院先の病院への通院が困難な場合は、退院の時点で治療の継続性が失われやすいという現実があります。地元の病院やクリニックとの連携が求められるところですが、なかなかそう理想通りにはいかないものです。

ご質問への答は次の通りです。

主治医Aの信用が私の中で失われている場合、やはり病院を変えたほうがいいのでしょうか?

はい、変えたほうがいいと思います。
但しこの回答は、【3401】に記されている具体的内容を受けてのものです。一般論としては、「主治医Aの信用が私の中で失われている」ということを理由に病院を変えたほうがいいとは限りません。その信用失墜そのものが本人の病気の症状(妄想など)による場合が多々あるからです。そのような場合、病院を変えることは治療上プラスにはまずなりません。(この【3401】のケースはそれにはあたらないと思われますので、変えたほうがいいという答になります)

うつ病でも幻聴、幻覚が聞こえることはあるのでしょうか?

あります。但しこの【3401】のケースがうつ病であるかどうかはわかりません。17歳という年齢と、記されている幻聴と幻視の内容からは、うつ病の可能性が高いとは言えません。解離性障害統合失調症を考えるべきでしょう。

心理検査(MMPI,ロールシャッハ,木を描くテスト,風景構成法)の結果は統合失調症の可能性は低いと出ました。

とのことですが、心理検査で統合失調症の診断を否定することはできません。
但し逆に、この幻聴の存在だけを根拠に統合失調症と積極的に診断することもできません。結論としてはこの【3401】のケースの診断は不明です。

(2017.4.5.)

05. 4月 2017 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 病院を変えたい・変えるべきか, 精神科Q&A, 統合失調症, 解離性障害 タグ: , |