【3044】精神科のお医者様は、一方の話しか聞かないのに、妄想か真実かなにを持って判断されているのですか?

Q: 私は32歳女性です。
「精神が不安定なご近所の奥様が、我が家を監視しているようだ。見られて困るものはないけど気味が悪い。」と、友人に愚痴を言ったところ、「まさかとは思うけど、あなたが統合失調症じゃないよね?(ご近所さんは普通で、私が異常という意味)」と言われ、「ええ??」と不安になり、色々調べているところです。

以下、私が統合失調症ではないと仮定して文を書きます。

ご近所の奥様は40代ですが、言動や行動が矛盾しており、一つの例を挙げるとするなら……
「足音を立てると、ご近所からに睨まれるから家の中では忍び足で歩いてるの」という日もありますし、かと思えば、翌日には「家族でうちに遊びに来て」「遠慮はしないで」「ご主人にも遠慮はしないでと伝えて」「明日1時ね」と、矢継早にメールをじゃんじゃん入れてきて、夫婦で角の立たない断り方を考えたけども思いつかず「これは断れそうにないな」と諦め、お招きにのったことがありました。その際、やんちゃ盛りの子供3人を連れて行きましたが、私のしつけが悪いので、ご近所宅でドスドスと歩き、また、猪のようにドドドドと階段を下っていました。
「静かに歩きなさい」と、私が注意するたび、「怒らないであげて。あの子達は、悪気はないんだから。私には分かるのよ、あの子達の気持ち」と、私がご近所奥様から延々と諭されます。「でも、ご近所迷惑では?」と問うと「大丈夫。私の夫、怒ると怖いんだから。もし『うるさい!!』と怒鳴り込まれたら、夫が怒鳴り返してあげるから」と。

そのお招きの翌日、庭で草むしりしている奥様に「今日も暑いですね」と声を掛けると、無視して目を逸らされたので、「?」と思いつつも家に帰るとメールの着信があり、「ゴメンね、外で声を出すと裏のジジイが睨んでくるから、一言もしゃべれないの」とのこと。

その時は、「何か精神を病んでらっしゃるのかな?大変だな。私にべったりと親友のような付き合いを望むのは、病気だからなのかな?」くらいにしか思ってませんでしたが、どんどんエスカレートしてきまして、ご近所から睨まれる被害妄想からたった1週間後には、まるで知的障害のような素振りまで見せるのです。
それまでは、メールも普通の文章だったのが、誤字脱字だらけ、接続詞の使い方や句読点がおかしい文章になり、時刻表が読めないとのこと。

彼女が被害妄想や知的障害の素振りを見せる時は、大抵、頼みごととセットでして、「ご近所の目が気になって外を歩けないけど、銀行に行かなきゃいけない」「税務署に行くにはバスに乗らなきゃいけないけど、バスの時刻表は複雑で乗る自信がない」など。要約しましたが、実際はもっと延々と途方にくれた雰囲気で語られます。最初は、「私を利用しようと仮病使ってるのかなー?」と呑気に構えていましたが、演技が狂気じみている気がするのと、どんどんエスカレートしているのと、彼女は、私と二人きりになったときとメールや電話でだけ被害妄想や知的障害のふりをするので、他のご近所さんたちは、彼女のことは普通の奥様だと思われているその3点が、急に怖くなりまして、距離を取ろうと決意、彼女のことを少し冷たくあしらうようにしたところ、我が家の出入りをチェックし始めたようで、「今日は仕事休み?」「今日家出るの遅かったけど間に合った?」などのメールが入るようになりました。
それで、友人に「ご近所から監視されてる」と愚痴り、「あなたが病気では?」の冒頭のくだりに続きます。

お伺いしたいのは下記です。

私が妄想しているのか、ご近所の奥様が精神疾患を抱えているのか、あるいはその両方かの3つの可能性が考えられます。精神科の先生は私一人からの問診で判断できるのですか?ご近所の奥様の話を聞かずに、私の話が真実なのか妄想なのかどうやって判断されるのかが、不思議です。

【2297】その場にいたわけでもない人にどうして被害妄想とわかるのですか‏の林先生のお話と似ていますが、何度読み返しても答えが出ず、とても不思議なのでメール致しました。

今後なにかトラブルがあったときのためにと、ご近所奥様の異常と思える言動を日記形式で細かくまとめている最中ですが、細かく記せば記すほど「こんな支離滅裂な行動をとるなんて、非現実的だ。やっぱり私の妄想なのか?」と心配になる一方、彼女とのメールでのやり取りは、主人と一緒に文面を考えて返信していることが多いので、私の妄想は無いはず。と思える日もありますが、いや、もしかしたら私の夫がメールの返事の文面を一緒に考えてくれてる、それも妄想かもしれないと思ったりしています。
仕事中はそんなことは考えず、集中して気持ちよく仕事できますし、休日も予定が入っていれば、楽しくお出かけもできます。
ただ、夜、夫と子供が寝付いたあと、一人になるとそういうことを考えてしまいます。病気なら日常生活に支障が出るはず。出ていないじゃないか?それが、私が正常な証拠だ。いやいや、統合失調症の多くの人が、「まさか私が」と思いながら初診を迎えるのだろうし、私もそうなのかも?と思ったり。 さっさと精神科を受診すれば良いのに、「一方から話を聞いただけで、妄想か真実かなんてわからないのでは?」なんて愚図愚図してしまいます。

 

林:

「一方から話を聞いただけで、妄想か真実かなんてわからないのでは?」

それはもっともな疑問ですが、回答は【1864】妄想か妄想でないかの客観的な判断方法 にほぼ語り尽くされています。さらに 【1865】嫌がらせを妄想と決めつけるのはおかしいと思いますも参考になると思います。

私が妄想しているのか、ご近所の奥様が精神疾患を抱えているのか、あるいはその両方かの3つの可能性が考えられます。

それは冷静な考え方です。

精神科の先生は私一人からの問診で判断できるのですか?ご近所の奥様の話を聞かずに、私の話が真実なのか妄想なのかどうやって判断されるのかが、不思議です。

論理的にはその通りです。しかし上記【1864】の説明内容で、大部分のケースは判断できます。(【1864】にもお書きしたように嫉妬妄想は例外ですが、この【3044】のようなケースでは判断に迷うことはまずないでしょう)

(2015.9.5.)

05. 9月 2015 by Hayashi
カテゴリー: 妄想性障害, 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |