【3055】統合失調症を発症してから15年なんともなかった妻が、再発してしまいました

Q: 私も妻も60代です。
統合失調症で入院して、その後退院してから15年間穏やかで何ともなかった妻が、ストレスから急性期症状で再発してしまいました。
薬はきちんと飲んでいましたし、悪夢で不眠状態になったので、通院し、薬量を増やしていたのにです。

現在入院中ですが、経過が思わしくありません。
今後、退院できた後、またストレスから再発してしまうのでしょうか?
たとえば、身近な者の病気や死などです。
それを考えると、不安になります。
もう辛く苦しい思いはさせたくないのですが、どう対応したらよいかわかりません。

また自分も最近耳鳴りや頭痛が続いていて、幻聴ではないのに、幻聴なのではないかと思ってしまったり、不安感が起こり、体調がよくありません。

 

林: 統合失調症では、薬をきちんと飲んで安定していても、一定以上のストレスがかかると再発することがあります。この【3055】のケースは、

薬はきちんと飲んでいましたし、悪夢で不眠状態になったので、通院し、薬量を増やしていたのにです。

ということは、再発の徴候が見られたため薬を増やすことで対応したけれど病気の勢いがその薬では抑えきれなかったとみることができます。

このような経緯からは、

今後、退院できた後、またストレスから再発してしまうのでしょうか?

とご心配されるのは理解できることですが、今回の再発について、

ストレスから急性期症状で再発してしまいました

としか記載がありませんので、回答は不可能です。
すなわち、今回の再発をもたらした「ストレス」が、どのようなものであったかが不明ですので、それが今後も現れ得るストレスなのか、それとも一生で1回しかないようなストレスなのかが問題です。つまり、ストレスをストレスという言葉でひとまとめにして論じている限り、対策は立てようがないということです。

ストレスの例として、今後のご心配として、

たとえば、身近な者の病気や死などです。

を挙げておられ、これはもっともなご心配といえますが、これもまた「身近な者の病気や死」とひとまとめにすることには無理があります。身近といっても、どのくらい身近なのか。病気とはどの程度のものか。また、その病気や死の伝え方や、周囲のサポートも、そのストレスをどのくらい大きいと感じるかに影響してくるでしょう。

今回のストレスについて分析し、同じようなストレスを与えることを避けること。また、将来同様のことが起きたり同様の徴候が現れたら、今回の薬の量を参考にして、薬の種類と量を決めること(これはもちろん医師の役割ですが、今回の経緯をその医師に正確に把握してもらうことが必要です)、こうしたことによって、再発の可能性を小さくすることができます。

(2015.9.5.)

05. 9月 2015 by Hayashi
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