【3054】友人の治療が上手くいっていないような気がします(【3035】のその後)
Q:【3035】友人がおかしな言動をしています。うつ病でしょうか。 の20歳女です。回答ありがとうございました。
やっぱりうつ病ではなかったのですね。最初は対人恐怖症のようにも見えたのですが、どんどん妄想じみたものになっているのを感じていました。
友人は精神科に通院している、とのことです。
うつ病だと言っていたのでおそらくうつ病だと信じているのだと思います。
今回メールしたのは前のメールの補足です。
実は前のメールには書きませんでしたが友人の両親(特に母親)から学校にかなり電話がかかってきたそうです。
「うちの息子がクラスメイトに臭いって言われてるのになんで担任は咎めないんだ!」
「クラスメイトに写真撮られてネットに挙げられてるって言ってるのになんで見逃してるんだ!」
というような電話です。学校に乗り込んでくる勢いの感情的な電話だったと聞きました。この電話がきっかけで席替えのきっかけの一つでもありました。
実は、友人の被害妄想が目立ってくる前からも、いくつか友人両親からわりと攻撃的な電話があったそうです。
具体的には、クラスの行事の係りを決めたときあたりです。そのとき、友人は自分から係りを選びましたが、友人母から次の日あたりに電話があり、「あの子にそんな係りができるわけないじゃないですか!」と怒りをあらわにし、友人はその係りができなくなったという事情があったりもしました。(これはあまり関係ないことかもしれませんが、友人両親の性格を知ってもらうために書きました)
前のメールにも書いた友人の被害妄想をそのまま信じて、学校に抗議の電話を入れたそうなのです。
当然そんな事実は無いと証明されていますので、担任はそれを説明しました。
ですがいくら説明しても両親ともに納得せず、「うちの息子は嘘ついてない」の一点張り。最後までわかってもらえませんでした。
友人の両親にとってわたしたちの学校は敵となったままです。
現に友人の父は彼の荷物を取りに学校に来たときにわたしたちと教室を睨みつけていました。今でも学校が敵だという事実は変わっていないようです。
このように友人両親は彼の被害妄想を信じきっているとしか思えないような行動をとっています。友人の訴えが病気によるものだとわかっていないような…。そんな態度です。
林先生は「この症状をうつ病だと誤診するはずがない」と書かれていましたが、もしかしたら本当にうつ病と誤診されているかもしれません。友人はとても気弱でおとなしく、前のメールに書いたような言動はクラスで仲がいい人と、先生以外にはしていませんでした。
毎回意味のない診察が嫌だ、と話していたこともありますし。主治医に本当のことを話しているのか心配です。
誤診されていないとしても、友人両親の反応がおかしい気がします。
本人に告知はなくても家族に病気の説明はされると思うのですが、友人両親は前にも書いた通り彼の被害妄想をそのまま信じきっているとしか思えないのです。
学校への度重なる電話の内容から、失礼ですが現実を理解しようとする人たちにはどうしても見えません。
つまり、適切な治療を受けられていない可能性があるのでは、と勝手ながらに思いました。
友人からのメールを見るかぎり、同じ状態で良くなっていないように見えるし、大丈夫なのかな、と心配していました。
病気を良くするには家族の理解が必要ですよね?友人両親は彼を想って行動しているのだと思いますが、逆効果のような気がします。
統合失調症の家族に対してはどういう対応をするのが正解なのでしょうか?
それと、わたしにできたことは何があったでしょうか?
林: 貴重な追加情報をありがとうございました。
確かに、
このように友人両親は彼の被害妄想を信じきっているとしか思えないような行動をとっています。友人の訴えが病気によるものだとわかっていないような…。そんな態度です。
その通りだと思います。このような場合には、
・単にご両親は精神病への理解がない。(しばしばあることです)
・ご両親は、自分たちの子供が精神病であることを何が何でも認めない。(しばしばあることです。ご本人の精神病をご家族が絶対に認めないことはしばしばあります)
・ご両親も(両方か、またはどちらかお一人)統合失調症。(上の2つほど多くはありませんが、少なからずあります)
・ご両親は統合失調症ではないが、子供の妄想を共有している。(二人組精神病、共有性精神障害等の名前で呼ばれる現象です。頻度としては稀なものです。説明は【1753】父から引き離され、統合失調症の妻に引き取られた子供の激しい精神症状、【1974】母と娘の同じ被害妄想をご参照ください)
これらのいずれかが考えられます。
質問者は、
林先生は「この症状をうつ病だと誤診するはずがない」と書かれていましたが、もしかしたら本当にうつ病と誤診されているかもしれません。
と心配しておられます。
もし
主治医に本当のことを話しているのか心配です。
話していなければ、うつ病だと思われるのではないかという危惧はもっともではありますが、精神科受診は十代のときと推定でき、すると精神科医は最初に統合失調症の可能性を考えるのが常識ですから(この点、社会には大きな誤解があります。うつ病という病名だけが広がりすぎており、統合失調症というとても頻度の高い病気があまりに知られていないというのがその理由の一つです。十代でうつ病は珍しいことですので、精神科医が第一にうつ病を考えるということはありません)、これだけの被害妄想を隠し通してうつ病という誤診を導かせることはまずないことです。
ご両親については、
誤診されていないとしても、友人両親の反応がおかしい気がします。
本人に告知はなくても家族に病気の説明はされると思うのですが、友人両親は前にも書いた通り彼の被害妄想をそのまま信じきっているとしか思えないのです。
学校への度重なる電話の内容から、失礼ですが現実を理解しようとする人たちにはどうしても見えません。
その通りですが、その背景には上記のような理由が考えられ、そのどれであるかによって対応は変わってくることになります。
つまり、適切な治療を受けられていない可能性があるのでは、と勝手ながらに思いました。
友人からのメールを見るかぎり、同じ状態で良くなっていないように見えるし、大丈夫なのかな、と心配していました。
ご家族の適切な協力があってはじめて本当に適切な治療が受けられるという意味では、ご心配はもっともですが、そのことと誤診があるという危惧は別次元の話です。
病気を良くするには家族の理解が必要ですよね?友人両親は彼を想って行動しているのだと思いますが、逆効果のような気がします。
そういうことは非常によくあります。両親に限らず、身近な人がかえって病気を悪化させているというのは珍しいことではありません。ですから精神科の治療はそういうことも勘案して行われるものです。
統合失調症の家族に対してはどういう対応をするのが正解なのでしょうか?
この質問は漠然とし過ぎており回答不能です。
それと、わたしにできたことは何があったでしょうか?
医師に今の状況をすべてお伝えするよう促すことでしょう。これは「できた」ことではな、今からでも「できる」ことです。
(2015.9.5.)