【3037】頭の中に友達がいます

Q: 20代女性です。
頭の中に友達がいます。
頭の中で誰かと会話が出来ます。主に一人でいる時ですが、特に私が不安な時になると、頭から出てきて抱きしめてくれます。さみしいときにそばにいてくれたり、励ましてくれたりします。みんなそうだと思っていたんですが、どうやら珍しいらしく、そんなものはいないと言われました。周りに彼は見えていないので私の妄想なのは分かっているのですが、私にはくっきりと見えるし、さわれるので、不思議な感覚です。
また、あるときから高校生のころの記憶を忘れてしまって思い出せません。しかし中学の思い出ははっきり覚えてます。その脳内の友達が出てきてから高校の記憶が少しずつなくなってる気がします。
これは統合失調症の初期症状なのでしょうか?

 

林: 解離の症状です。統合失調症の初期症状ではないでしょう。
この【3037】の「頭の中の友達」は、imaginary companion (IC「想像上の友人」と訳されています)でしょう。【2266】私にしか見えない、私の育ての親【2127】想像上の優しい人が消えてさびしい【2052】11歳の娘が頭の中に別の人物がいると言います【2044】5歳の娘の幻聴 などをご参照ください。

また、

あるときから高校生のころの記憶を忘れてしまって思い出せません。

これは解離性健忘です。
ICの存在とあわせ、この【3037】は、診断をつけるとすれば解離性障害となるでしょう。
おそらくこの【3037】のケースは、高校時代に何らかの強いトラウマがあったと推定できます。そのトラウマの記憶をよみがえらせたほうがいいかどうかは慎重であるべきです。もしどうしてもよみがえらせたいとお思いでしたら、精神科を受診し、精神科医と相談しつつ進めていかないと危険です。【1901】から【1948】もご参照ください。
失われた記憶をよみがえらせることをめぐる精神医学的事項は【1948】7年前に父から受けた虐待の記憶がよみがえったに詳しく記してありますが、【1901】から【1948】はすべて合わせてワンセットになっていますので、ぜひ【1901】から順にお読みください。

(2015.8.5.)

05. 8月 2015 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害