【3008】統合失調症で入院した姉が、ある時期からみるみる回復に向かいました(【2844】のその後)

Q: 【2844】統合失調症で入院した姉の治療方法に不信感を持っていますに回答いただきありがとうございました。

姉は10ヶ月の入院、その後3年の自宅療養を経て 現在では週3日の作業所通所と週2日のデイケア参加をするまでになりました。

最近はデイケアでは興味のあるプログラムがなくなったので週5日作業所に切り替えたいと話したりしています。もっと賃金の良い仕事をしたい希望もあるようです。通院、服薬を続けており電車などの公共の場が苦手という面はあるものの、傍目には障害があるとは思えないくらいです。

治療開始から4年が経っていますので、この回復が早いのか遅いのかわかりませんが、少なくとも最初の1年半は回復しているという感じはありませんでした。

もともと暴れたり妄想の話をするわけではなく問いかけに的を得ない返事をしたり、緘黙状態だったため入院となりました。以前からうつ病を患っていたということもあり長引きそうだという説明は受けていましたが、入院後も状態はあまり変わらず、それに加えて(薬の副作用もあるのでしょうが)操り人形のようなぎこちない動作や全体的な反応の鈍さが目立っていました。保護室にも何度か入ったようです。

ケースワーカーの方と話をしても「入院した頃は意思の疎通がとれなかったものが、今はとれていますよね?」というような説明を受けましたが、「病気になる前の状態に戻れるのか?」という疑問がずっとありました。

目に見えて回復してきたのは自宅療養を初めて半年(治療開始から1年半ほど)経った頃だと思います。自発的に買い物に行くようになり、さらに半年後には友達や恋人の相談話などをするようになり、その後はみるみる回復していったように思います。

姉の入院当初は「薬漬けの様な治療はしないでほしい」と医師に言ったり、いっこうに回復する兆しがないことに不安になり「転院した方がいいのでは?」と考えたり、病中の姉の意見を聞きすぎて病院に不信感を持ったりしました。

ですが、統合失調症について学び理解すると共に、目の前の状況に一喜一憂せず、医師の納得がいくまで十分な治療が行えるように協力するべきと考えるようになりました。

両親は私より複雑な想いだったと思いますが、治療には協力してくれました。

精神科Q&Aの統合失調症に関する質問、林先生の執筆・推薦されている書籍は大変勉強になりました。
ありがとうございました。

林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。
【2844】統合失調症で入院した姉の治療方法に不信感を持っていますの当時の精神科への不信と、回復した現在のお気持ちの対比は、多くの読者にとってとても参考になると思います。
精神科病院、それも統合失調症の急性期の治療を行う病棟は、大部分の人々にとって、日常とはかけ離れた異界とも感じられる空間ですので、ある程度の不信をお持ちになるのは当然とも言えます。それを乗り越えて治療を受け続けられるかどうかが、統合失調症のご本人の将来を決定する大きな因子の一つです。その意味で、【2844】の不信から【3008】の信頼に変化したこのご報告は、大変貴重なものです。ご報告いただいたことにあらためて感謝申し上げます。

(2015.7.5.)

その後の経過 (2019.10.5.)

05. 7月 2015 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: |