【2864】境界性パーソナリティ障害は精神の成長によって治りますか‏

Q: 私は40代女性です。私は20代の頃は食べては吐いての過食嘔吐が止まりませんでした。転職や、性的逸脱を繰り返したのちに、ある会社に落ち着き、職場は安定しましたが「いつ首になるのか」とびくびくしながら10年間勤めました。その間は、ある男性を養っていました。過食嘔吐がおさまるとアルコール依存が始まりました。先生のホームページを拝見し、境界性人格障害について、自分に多々当てはまる項目があったので、何とか直したいのです。現在は統合失調症の入院経験がある主人と二人の子供との4人暮らしです。主人も私も仕事や生活には困っていません。私の現在の仕事は2年続いています。しかし、「いつ首になるか分からない」不安で一杯です。生活ぶりは主人も私もアルコール依存症を自認していますがなかなか止められない状態です。私は1ヶ月に一度、精神科でアモバンを貰っています。酒は止められる日もあれば飲んでしまう日もあります。月の半分は夜飲んでいます。毎日、重苦しい欝気分で楽しいことがありません。家族で旅行に行っても楽しく有りません。どこに行き何をしても楽しく有りません。子供もめったに笑わない母親から愛情不足を感じている様子で6歳の長女は病気の振りをしたり、大人を困らせて自分にひきつけるような態度をとるようになりました。普通の母親になりたいのですが、自分が親からの精神的な虐待の経験から立ち直っていないので母親モデルを自身の中にもてません。機械的なロボットのような人間だと自分でも思っています。こんな私でも人間的な成長を遂げることにより、心の健康を得ることができるのでしょうか?

林: 境界性パーソナリティ障害は、年がたつにつれてよくなっていくケースが少なくないことが、多くの研究から明らかになっています。この【2864】のケースは、短い記述の中に、20代の頃よりも40代の現在のほうが良い精神状態であることが窺われます。

こんな私でも人間的な成長を遂げることにより、心の健康を得ることができるのでしょうか?

人間的な成長によるものかどうかはともかく、年齢を重ねていくにつれて、より良い状態になることは期待できます。
但し、

生活ぶりは主人も私もアルコール依存症を自認していますがなかなか止められない状態です。私は1ヶ月に一度、精神科でアモバンを貰っています。酒は止められる日もあれば飲んでしまう日もあります。月の半分は夜飲んでいます。

このケースではアルコールが問題で、境界性パーソナリティ障害が改善したとしても、アルコール依存症については、飲み続けている限り、年を重ねるにつれて悪化していきます。

毎日、重苦しい欝気分で楽しいことがありません。家族で旅行に行っても楽しく有りません。どこに行き何をしても楽しく有りません。

これにもアルコールが関係している可能性があります。

断酒してください。

(2015.1.5.)

05. 1月 2015 by Hayashi
カテゴリー: アルコール依存症, パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A