【2823】発達障害を受験前の本人に告知していいか

Q: 私は40代女性、高2の長男と中3の次男の母親です。質問の中心は次男のことです。次男は中学一年の担任と信頼関係が築けず教師、学校不信と反抗期が重なり月に何度も学校から親が呼び出しをされ、その都度注意や指導を受けてきました。暴言や学校備品の破壊、校則破りや遅刻などが重なり、学力は低い訳ではありませんが授業態度や提出物の評価が悪く成績は入学時より下がり続けています。

2歳上の長男は今から4年前、中2でADHDと診断されました。中1よりからかわれたり友達とのコミニュケーションの取り方がうまくいかないことが表面化し、自分から病院に連れて行ってほしいと言われて、医師に診断されました。服薬や医師、スクールカウンセラーから長男への接し方をアドバイスの実施により高校進学ができました。中学時代ADHDと診断されたことへの不安などから、自傷行為や次男(現在中3)への激しい暴力が数年続きましたが、今は自傷行為は収まりました。次男への暴力は今もたまにありますが、止めても私のほうが身体が小さい力が弱いため次男を守ることができませんでした。長男がADHDであることは弟にも説明し怒りの発作が起きると誰にも止められないのでその場から逃げて自分の身を守るように伝えました。次男は、度重なる長男からの暴力(兄弟喧嘩がエスカレートすることがほとんどです)のため、長男とADHDを激しく憎んでいます。

学校で長男の事情を私から説明しました。しかし次男の担任や学校は家と学校での出来事は分けて学校では問題を起こさないように!といった態度で、次男は学校や教師に失望したようです。家ではいつ長男に暴力をふるわれるかわからず学校も頼れない。

そのころから次男は問題行動が増え万引きで警察に3回も捕まり、タバコで補導もされました。嘘も多く親の財布からお金を盗むことも何度もしました。
学校のスクールカウンセラーに中1から相談にのっていただき、万引きに関しては警察の少年係やカウンセラーに相談もしました。あまりにも親の言うことを聞いてくれないので何かの病気かもしれないと思いましたが、長男のこともありADHDを憎んでいる次男に病院に行こうとは言えませんでした。また、次男は長男と性格はほぼ正反対でADHDではないと考えていました。

しかし万が一次男も発達障害の場合適切な対処をと考え、児童相談所に通いウィスクやバウムテストなどを受け、医師より次男も自閉症スペクトラム、ADHDでしょうと診断されました。
しかしこれまで書いたことを検討した結果本人や学校に診断名を伝えるメリットよりデメリットが大きいと判断して少なくとも本人が違和感や困難を訴えるまでは診断名を伝えないことにしました。

次男は今年中3のため受験生ですが、塾も屁理屈を行って辞めてしまい勉強をしません。
学力は長男より上で実際ウィスクのIQも長男91次男110でした。長男はADHDであっても頑張れる、馬鹿にしてきた奴をみかえしてやると勉強を頑張っていましたが、次男は「テストの点が悪くないのに悪い成績をつける先生がおかしい!」と何もあらためようとしません。このままでは成績が悪く入学可能な県立高がありません。

長くなりましたが高校受験を前向きに捉えて自覚をしてもらうために次男に診断名を受験前に伝えたほうがよいかをご相談したくてメールしました。

林: 発達障害にせよ、そのほかいかなる診断名にせよ、本人に告知した場合、プラスに作用することもマイナスに作用することもあります。

前向きに捉えて自覚をしてもらう

というのは、告知した場合にプラスの作用として期待できる点ですが、そのように期待通りにいくかどうかはわかりません。逆にマイナスに作用することも十分にあり得ることで、どちらに作用するかはケースによって異なり、メールの情報からはどちらに作用するかを判断することは不可能です。

ただ一般論としては、障害の告知は、たとえ最終的に本人に受け容れられるとしても、告知された当初は否認や怒りという反応が出ることがしばしばあります。この【2823】のケース、ご長男のことがありADHDを憎んでいるとのとですので、告知の当初からスムーズに受け容れられることは期待しにくいでしょう。

(2014.11.5.)

05. 11月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 発達障害, 精神科Q&A