【2768】母の発言は妄想か、それとも父の仕業か

Q: 60代の母の発言に悩んでいます。その内容は、
「靴のヒールを折って壊して履けなくする。」
「ダイニングチェアーのクッションのところをカッターで切りつけられてボロボロになった」
「寝ている間に髪の毛を切られている。美容院で聞いてみたらやっぱり誰かに切られていると言われた。」
「寝ている時に部屋に入って来て釘で背中を傷つけられる。怖いから角材を買って来てふすまに立て掛けているけどそれもなんとか外して入って来るから、傷つけられている間は目を閉じてじっと我慢している。」
これらは全て父に向けられたもので数年前からです。日常生活は問題なく送れています。
父は亭主関白で自己中心的な性格です。母もそれにじっと耐え、たまにはけんかをしながらもやってきました。父の浮気も疑っているようです。浮気や上記の様な発言に対して父はやっていないと言っています。母は数年前からのこの行為に対して爆発して離婚すると言って家出中です。ヒールについては写真も見せられましたが、もし妄想ならば既成事実を作って写真を撮るという事もあるのでしょうか?
父もこそこそ何かやりかねないところがあるのでどちらを信じていいか分からず、しかし、母の発言は信じ難く悩んでいます。

林: お母様の言としてここに書かれている内容は、統合失調症や妄想性障害に見られる典型的な被害妄想に一致しています。

ヒールについては写真も見せられましたが、もし妄想ならば既成事実を作って写真を撮るという事もあるのでしょうか?

そういう捏造は、統合失調症や妄想性障害の人はまず行いません。但し、自然に起きた現象を(このケースでいえば、ヒールが自然に折れたといった現象)や、実際には被害というほどのことではないものを、被害の証拠だと言い張ることはよくあります。
証拠の捏造は、空想虚言症( 美少女L、その他、の虚言参照)の人は、行うことがあります。

ところでこのケース、

父もこそこそ何かやりかねないところがあるのでどちらを信じていいか分からず

とのこと、であれば、まず事実の確認をすべきでしょう。
しかし、仮に事実があったとしても、それはこのメールに書かれているお母様の言葉の中の一部にすぎず、統合失調症か妄想性障害という診断が強く推認されることに変わりはありません。

(2014.9.5.)

05. 9月 2014 by Hayashi
カテゴリー: 妄想性障害, 精神科Q&A, 統合失調症