【2662】私はいくつもの人格障害にあてはまります

Q: 20歳後半の女性です。諸事情がありまして、とある人が演技性人格障害ではないだろうかという話からその症状を見た所自分もその症例に当てはまったのでメールさせていただきました。 そして、その事を纏めようとしていたら色々な症状があるのではないかと思い客観的な判断が欲しくなりました。出来るだけ簡潔にまとめようと思ったのですがまとめきれず冗長な文章になる事お許しください。 参考にしたのは様々なサイトですが、wikipediaを参照した所、ほぼすべてに当てはまりました。インターネットへの依存が顕著で、己を認めてほしい、己を賛美して欲しいという気持ちが強く、更に自分への注目が他の人に移動する事が苦痛に感じる事もあります。日常生活では周囲の視線が気になりますが、上記のような注目して欲しいという事ではなく、逆に見られて欲しくないという気持ちが強いです。 また、50代以上の男性の目を見て話す事に恐怖を覚え、更に責められるような言葉に嘔吐に近い感情を持ちます。これに関しては中学・高校時代に塾へ通っていたのですがそこの講師が私を生贄にして、私を卑下し貶め、「俺を見るな」「お前はあっちに行っていろ」など明らかに他の生徒と比較し続けた結果だという事は分かっております。塾をやめる時、講師から「お前を犠牲にする事で、他の生徒が真面目に勉強するように」等と言われたりしました。その結果私は、50歳代の男性の目を見て話す事は怒られる事、だから目を見て話すのは駄目だ、と思うようになりました。今気付いたのですが、全般的に、と言う事ではなく、己の近くにいる「教師の立場」である50歳代男性が駄目みたいです。 虚言癖もあり、嘘をつく事に罪悪は感じつつも止める事ができません。支離滅裂な事を言う事もあります。金銭的な面でもルーズで、計画性がありません。己に甘く他人に厳しい所があります。このようにメールしている時点でも、どうすれば悪いように見られないか、この文章は大丈夫なのか、等考えてしまうので事実だけを書くようにしております。 自分がどこか知らない所で悪く言われてないかと想像しだしたらどんどんその考えにとらわれるようになり、しばらくその考えが離れず、いいそうな人を何の根拠もなく疑ってしまいます。自分だけ上手に輪に入れないだけでも孤独感と入れてもらえないのは自分が悪いのかもしれないという気持ちに苛まれます。 小学生の頃、学校で体罰を受けていたのですが、卒業をしてすぐ赤ちゃん返りをして記憶を一切無くしてしまった事もあるようです。年齢のせいか、それともその忘却のせいかはわかりませんが殆ど思い出せません。思い出せるのは嫌な事ばかりです。 親しくしていた人が他の人とどんどんと仲良くなっていくと、自分だけが置いていかれて最初に仲良くなったのは私なのに、と嫉妬してしまいます。人間関係に対して執着するのに縁を切る事に躊躇いを持たず、この点でも支離滅裂だなと思っています。 自分に優しくしてくれる異性に依存するのに、こちらの負担になると思ったらその異性に対して嫌悪しか抱けず、好きになるけれども好きになられると逃げ出してしまいたくなる衝動に駆られます。 大学時代、心療内科に行った事もありますがその時も虚言で誤魔化していたものもありますが、現状では上記の事はきちんと言えます。当時は自分を病人にして安堵したかったのと同情されたかったのと、母親に責められるのが怖くて精神的な病気であれば怒られないと思っていた事があります。 長い付き合いの友人(女性)二人とは程よい距離を保つ事で15年近く付き合っているのですが、それだけでは駄目だと思っております。このままでは正常な人間関係を保つ事が困難になってしまうと思い、客観的に私はどのような症状が出ているのかを判断していただきたいと思います。よろしくお願い致します。

 
林:
wikipediaを参照した所、ほぼすべてに当てはまりました。

この文章は、「演技性人格障害(演技性パーソナリティ障害)」のほぼすべての項目にあてはまったという意味か、それとも、ほぼすべての人格障害(パーソナリティ障害)の項目にあてはまったという意味かが不明です。文脈からは後者のように読めますが、前者の意味で書かれている可能性も否定できません。
しかしいずれにせよ、人格障害(パーソナリティ障害)の診断基準にある記述は、記述の内容そのものだけからいえば、あてはまる人の数は膨大になります。けれどもそれは、その人達がすべて人格障害(パーソナリティ障害)であるという意味ではありません。【2559】にもお書きしたように、単なる傾向にすぎないというケースが大部分です。
したがって、この【2662】の質問者が人格障害(パーソナリティ障害)であるかどうかはわかりません。
けれども、メールに書かれている断片的な情報を総合すると、

「被虐待の既往があり、虚言を伴う、B群パーソナリティ障害の疑い」

ということができます。

「被虐待の既往があり」は、

小学生の頃、学校で体罰を受けていたのですが、卒業をしてすぐ赤ちゃん返りをして記憶を一切無くしてしまった事もあるようです。年齢のせいか、それともその忘却のせいかはわかりませんが殆ど思い出せません。

を指しており、ここに書かれている記憶障害は解離性健忘です。

虐待・解離は、現代の診断基準のB群パーソナリティ障害(B群パーソナリティ障害については「美少女L、その他、の虚言」をご参照ください)と密接な関係があり、メールの冒頭で言及されている演技性パーソナリティ障害もB群パーソナリティ障害のひとつです。
また、

自分に優しくしてくれる異性に依存するのに、こちらの負担になると思ったらその異性に対して嫌悪しか抱けず、好きになるけれども好きになられると逃げ出してしまいたくなる衝動に駆られます。

これは境界性パーソナリティ障害(少なくとも、その傾向)を思わせるもので、境界性パーソナリティ障害もまたB群パーソナリティ障害の一つです。

「虚言を伴う」はもちろん

虚言癖もあり、嘘をつく事に罪悪は感じつつも止める事ができません。

などを指しています。

このままでは正常な人間関係を保つ事が困難になってしまうと思い、客観的に私はどのような症状が出ているのかを判断していただきたいと思います。

というご質問ですが、

「被虐待の既往があり、虚言を伴う、B群パーソナリティ障害の疑い」

をキーワードとしてお調べください。

(2014.5.5.)

05. 5月 2014 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 境界性人格障害, 精神科Q&A, 虐待, 虚言, 解離性障害