【2660】嘘が異常に多く、窃盗もした息子

Q: 私には今年21歳になる息子がいます。中学高校ぐらいからだんだんと嘘が多くなり、嘘がばれるのを恐れてさらにまた嘘を重ねるといったケースが多く、周囲の人たち、友人にもずっと迷惑をかけてきました。私達両親が過干渉すぎたり、しつけと勘違いして厳しかったりしたり、母親である私自身が、人の手前だけ息子をよく見せようとしてしまったり家で同居していた姑と折り合いが悪くいつも息子は小学生まで大人の顔色をうかがっていた状態でした。本人に考えさせる振りはしてきても、結局何も考える時間を与えられなく全て私達のエゴを押しつけてきてしまい従ってきていました。今更ながら後悔しています。兄弟もいなく一人で抱えてきてしまったと思います。
思春期に入り嘘が多くなりその都度注意はしてきてもだんだんとエスカレートしていく状態でした。

高校を卒業してから専門学校へ行ったのですが自分の車がどうしても欲しく友達や金融機関にお金を勝手に借りたりしていたりネットオークションもやっていたのですが、物が届かない、お金が入金されていないなど様々な問題を起こし、結局学校もやめてしまい自分でそれを隠すようになったり就職に関しても何も相談せず勝手に決めてきたと思ってはそこでも嘘が原因でトラブルになりやめていたりの繰り返しで、とにかく今までの育て方が間違っていた、これから何でも話し合いながら決して感情的に怒らず心を開いていく努力をして嘘を減らせるようにがんばろうと本人もその時点では納得して努めてきました。

ところがそれからまもなくようやくきまった就職先で無断欠勤をしてしまい、夫と息子と会社の人で話し合い結局解雇になるというところを自主退社という形をとって頂いたにも関わらず翌日その会社に勝手に入り込み窃盗をしてしまいました。監視カメラですぐに分り、自宅に連絡を頂き、警察へ出頭させました。窃盗を働いた原因は信じがたいことだったんですが、自分がお付き合いしていた女性の為、急遽、まとまった金額が必要だったということだったんですが、相手の女性に警察が確認をしたところ事実でした。私達に相談は怖くて出来なかった、周りにも相談できなかったどうしようもなく手をだしたと言っていますが、今までも嘘が原因で色々な場所で色々な方たちに多大な迷惑をかけ続け、それを隠すためにまた嘘をつき通し質問すれば怒って、どうでもいい言葉の端々で突っかかってきます。

今では、主人とはあまり話をしようとせず私に自分の思い通りにできないことは八つ当たりのように怒りをあらわにしてきて最近エスカレートしています。仕事についても急に就職したと言って時間通りに家を出るのですが調べたら全て嘘でした。もう嘘はやめよう、悩んでることがあれば話すように、別にすぐ働く必要もないと言い聞かせても、親がすぐ家を追い出そうとするから居場所なんかない、、、と親が全て悪いと思っているようです。これは人格障害なのでしょうか。やはり育て方が悪かったのでしょうか。

 
林: おそらく息子さんは反社会性パーソナリティ障害でしょう。中学・高校時代の嘘などの問題行動から、当時は行為障害という診断がつく状態であったと推定できます。現代の診断基準では、反社会性パーソナリティ障害と診断をつける必要条件は、本人が18歳以上であることで、18歳未満においては行為障害であったことも、診断の条件になっています。つまり、行為障害と反社会性パーソナリティ障害は、年齢によってつけられる診断名が異なるだけで、実際は同じものであると考えることもできます。(但し、行為障害の人がその後必ず反社会性パーソナリティ障害になるわけではありません)

やはり育て方が悪かったのでしょうか。

育て方の問題ではありません。少なくとも、育て方だけの問題ではありません。
反社会性パーソナリティ障害は、現代の主流の考え方としては、「性格の著しい偏り」ですが、反社会性パーソナリティ障害の脳研究の結果は、前頭葉などに機能障害があることがほぼ確実な所見になりつつあり、将来は「病気」に分類されることになると予測されます。

(2014.5.5.)

05. 5月 2014 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 精神科Q&A, 虚言