【2542】元々極端な性格であるばかりか、自分の嘘を真実と思い込んでいるようなのですが、妄想でしょうか‏

Q: 私は30代女性です。私が10数年前に2年ほど交際していた、現在40代前半男性Xの事で相談させて下さい。 私とXは、現在も親交のある共通の友人Aを介して知り合い、当時はその他男女10名前後と頻繁に集まったりしていました。その当時からXは、他人との距離感が掴めず仲間内の人間の私生活から仕事に至るまで、一方的に「アドバイス」と称して上からの目線で自分が全く経験のない分野まで口を出したり、しばしばその相手の人格や仕事のスキルを全否定するような言い方もしていました。更に数回飲み会などで会っただけであるAの友人にまで仕事中に顔を出して上記の様な行動を繰り返していました(多少相手により発言の度合いや威圧感の程度は変えていたようです)。相手が不快感を顔に出しても「図星だから感情的になるんだ。」と言ったり、その頃から他人の感情を慮ると言う考えそのものが欠落していました。 当然上記のような行動は程度は違えど私に対してもあり、ある時、Xは面識もない私の友人との件に関して「おまえ(私)は、お前の友人にとっては友人としての価値がない」と言われた事が決定打となり、別れる事となりました。勿論「Xには関係のない事。何も知らないのにそんな事を言う人とは友人としてもやっていけない」とはっきりXにはその場で伝えましたが「謝っているのに許さないおまえ(私)が悪い」と責めて来たりと、事の重大さや問題の本質は全く理解できなかったようです。その後も頻繁な電話(X自宅にある私の私物を取りに来いなど、猫なで声や泣きながらでした)、自宅前での待ち伏せ(私を見つけると泣きながらどれだけ私が必要かなどを訴えてくる)、私の姉にも電話などしばらくつきまとい行為が続きましたが、Aの「またいつか会いたいなら、相手(私)を怖がらせるような行為は今すぐやめた方がいい」という言葉で、自分の極端な行動を客観的に認識できたかどうかは不明ですが、漸く所謂「つきまとい行為」は止んだという経緯があります。
そして今回こちらで相談させて頂くに至ったきっかけですが、数日前にAから「Xが私の実家(交際時の自宅です。現在は私は海外にいます)に行った」と聞いた事です。実際にインターフォンを鳴らしたりはしなかったようですが、「震災後からずっと心配だった。10数年前からずっとそこは危ないから家族全員引っ越すべきだとあれだけ言ったのに。」と言ったそうです(結構な被害はありましたが、そんな事は言われていません)。その時Aは、単にXは私との復縁を考えているだけと思い、私は海外にいる事、カモフラージュとして虚偽の地名を伝えると「実は俺は去年そこへ行って事業を興そうと考えていた。これは運命だ。」などと言い出し(Xは日本語以外話せず、事業を興した経験は一度もありません)、その時から現在にわたる約3週間ほど、それまで殆ど連絡もせず、5年以上も会っていないAに電話をかけてきては過去の私との交際時の話や別れの原因などについて延々と語っているのですが、その内容は彼にとって都合の良いもの、むしろ彼の理想といっていいもので実際の話とは酷くかけ離れています(別れの原因は、Xが私との結婚を早く決断しなかったために私を幸せにする事が出来なかったから、等)。私の性格などに関してもまるで全てを知っているかのように語るようですが、それについても実際の私とは全くかけ離れており、彼の中で別人の様になっているようです。更にその後Aに電話をする頻度はどんどん増して、話の内容は主に私に関するものですが「俺が守ってやらないと」と言ったり、彼の都合のいい様に塗り替えられた同じ話を何度も繰り返したり、むしろどんどん詳しくなっている上(Aいわく一貫性があり、まるで昨日、今日の出来事のように語る)、他にも当時の友人関係に片っ端から連絡したり当時の友人達の居住地にふらっと行って見たりしていると話しています。 そして最近になって、Aに対して去年秋ごろあたりに「共通友人Bは裏の世界にどっぷりはまって連絡がつかない。B母の葬儀にすら参列しなかった」と言っていた事が、Xが作り上げた全くの嘘であった事(B母が亡くなったのは事実)、Xが共通友人Cに電話をして「Aは今人生の岐路に立たされており、精神的に余裕がないので連絡はしないでやって欲しい。Aの一番の親友である俺からのお願いだ。」(Aが一時的に問題を抱えていたのは事実)などと人間関係を操作するような嘘までついていたことまで発覚しました。加えて、X(独身)はCに対してそれ以外にも頻繁に連絡してCの結婚生活に関して口を出し否定し続けた事などによりCはXからの電話には出ずにいたのですが、XはAに「Cは面倒臭いから、関係を切ってやった。携帯のメモリからも削除した。向こうから連絡が来ても俺は出てやらない」と、全く正反対の事をいっている他、昨日はAに対して「共通友人Dが結婚前提で交際していた彼女を、Aが奪ったと知っている。相変わらずだねぇ。」(Aと彼女は面識すらなく、過去に友人の交際相手を奪った事はない)などと、まるでチンピラが誰かに絡むような口調で(A談)言い出しています。 問題は「Xがこれらを事実と思い込んでいる」様子である事です。最初にAから私が連絡を受けた時は、今更復縁を望むなんて不可解であると言った様な印象でしたが、彼の妄想とも言うべき事実誤認がどんどんエスカレートしている状態は、「極端な性格が更に極端になった」域を超えており、AもXをこれ以上刺激しないように、実害がない限りは彼によって記憶を塗り替えられた話をただ聞いている状態です。私が海外にいる事をAが話してからは、AがXの為に私に関する情報収集をしており、むしろ私と未だにつながりを持っているのは情報収集のためだとさえ思っているとの事です。ちなみに私は5年以上前に結婚しましたが、復縁を考えているなら一番重要と思われる「私が結婚しているかどうか」については一度もAに聞いていません。 Xはここ数年無職で現在は住むところもなく、一度はほぼ絶縁となった父親の経営する会社の片隅に寝泊りしている状態な上に、上記の様な一連の行動で友人知人から敬遠されてしまい孤独な生活を送っています(電話をしても出ない人が殆どで、その事についてAに「あれだけよくしてやったのに恩知らずだ」といった内容を話す)。その父親も名義上は現役ですが実質他人に会社を任せているので、Xと顔を合わせていないはずです。この状態では事実かどうか疑わしいですがXの話によると、X母はその再婚相手と共に刑事事件で逮捕されてしまい、「俺(X)が弁護士をつけてやっている」と言うことです。(一方でAに、お金がないからどうしても行きたいコンサートのチケットを買ってほしいとも言っています。) Aは、チンピラのような口調で言いがかりを付けられた事のほかに、AがXの話が真実ではないと告げた時に執拗に謝罪を要求された事などから、攻撃性が見え隠れしているようにも思われるので、実際にXが特定の誰かに攻撃的な行動を遅かれ早かれ取る様になるのではないかと危惧しています。 ほぼ全く心の拠り所のないとても厳しい状況故に一時的に迷ってしまっているのか、それとも何か病気のサインなのでしょうか。先ほども申し上げたように、Xに私が直接コンタクトを取ると刺激してしまい余計に彼の状態を悪化させるような気がするので出来ませんが、連絡先を調べられるならXの父に面識のあるAか私が連絡を取って現状の説明だけでもした方がいいのか迷っています。 どうかアドバイスをお願いいたします。

 

林: Xさんに病的な虚言があることは確かです。おそらくXさんにはパーソナリティ障害の診断がつくでしょう。空想虚言症(これは古典的な病名です)にあたるかもしれません。

連絡先を調べられるならXの父に面識のあるAか私が連絡を取って現状の説明だけでもした方がいいのか迷っています。

そうすべきかどうかは、質問者が今後、このXさんとどこまでかかわろうという気持ちがあるかどうかによって決まるでしょう。たとえ自分が傷つくことになっても、Xさんとその周囲の方々のために尽力されるのか、それとも過去の知り合いとしてもうかかわらないようにされたいのか。それをご自分でお決めください。

(2014.2.5.)

05. 2月 2014 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 精神科Q&A, 虚言