【4610】小学校6年生の頃から気になる症状があります

Q: 20歳の大学生の男です。
相談させていただきたいのは、私は精神病なのか、また仮にその可能性があるならば、どの精神病の診断を受け得るのかということについてです。
私の症状について記載します。

(1) 私は、少なくとも小学校6年生の頃から時折、独り言を呟いたり、意図せずに空想してしまうことがありました。独り言の内容は「もう終わりだ。」「だめだ」「死にたい」などネガティブな言葉や「ふざけるな」など怒りのニュアンスを含む短いセンテンスが大半を占めます。また空想の内容は、自身が理不尽な目に遭うものや、既存の作品(マンガ、小説など)のキャラクターや世界観を用いた自分のオリジナルの物語のようなものがほとんどです。そして空想と独り言はリンクしていることが多く、例えば自分が被害に遭うことについての反応として「ふざけるな」と言う言葉が意図せず口から漏れ出てしまうのです。独り言について小学校6年の時分に友人から指摘され、初めてこれを認識しました。現在でもこの妄想癖とでも呼ぶべき症状は続いており、夢想が始まると意識が空想にしか向かなくなるため勉学やコミュニケーションの妨げになっています。

(2) 次の症状は、高校3年生の時に起こりました。日が沈み始める頃、一人で自室内において勉強していた際、扉を閉めるような物音がしました。私はこの音を、不審者が自宅に侵入してきた音と思い込み、自身の身を守るため、自室の電気を消してカッターナイフを持って息を殺して1時間ほど部屋の死角になる場所に隠れ潜んでいたことがあります。その後、誰も侵入していないと理解したため勉強を再開したのですが、後になって考えると異常な行動であったと恐ろしく思っています。扉を閉める音を聞いただけで不審者の侵入と思い込むのは明らかにおかしいですし、そもそもこの音が幻聴でない保証もないと考えています。

(3) 一つ目の症状に加え、現在では人とのコミュニケーションが億劫になっており、何をしても(ゲームをしたり漫画を読んでも)楽しいと思えなくなっています。

(4) また、自分が他者から笑われているような感覚がすることと、衝動的な行動をすることが極めて多い点です。

(5) もちろんこれがあり得ない事は理解しているのですが、日常的な動作が友人、知人などにカメラを通して監視されていて、それがドッキリ番組のように揶揄われている光景が意図せずに脳内で「再生」されてしまいます。再生というのは妙な表現ですが、本当にそのように言い表すしかない症状なのです。

以上が私の状態です。差し支えなければ回答していただけると非常に嬉しく思います。

 

林: (1)-(5)はいずれも統合失調症の色彩ある症状です。このうち、(2)は一時的なエピソードにすぎませんが、(1)は持続しており、またそれより後の時期の(3)(4)(5)は、より統合失調症らしく、しかも一定程度持続しているようですので、統合失調症が徐々に進行していることを反映している可能性ありと見ることができます。(そうは言っても現時点でも、統合失調症と診断することはできないでしょう。「統合失調症が徐々に進行している」というのは、「統合失調症特有の脳内の変調が徐々に進行している」ということを意味しています)  精神科の受診をお勧めします。

(2022.12.5.)

05. 12月 2022 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: , |