【4256】受診しました。いくつも疑問が出てきました。(【3825】、【3385】、【3982】のその後)

Q: 【3982】過去の喪失体験に類似の出来事への反応(【3825】、【3385】のその後) で回答いただいた30代女性です。ご回答ありがとうございました。

【3982】での先生のアドバイスに従って、受診いたしました。
原因となった出来事に関しては「話したらまた調子が悪くなっちゃうかな」と尋ねていただき、話すと考えただけで、緊張して調子が悪くなりそうだったので、ただ頷いて、話すのをやめてしまいました。
症状に関しては「解離」や「いわゆる転換症みたいな感じ」という言葉を使って説明してくださいましたが、上手に付き合っていくしかないからとも言われました。
発作時の頓用のお薬をいただき、困ったことがあったらまた来ていいからねと言われて、治療は終了になりました。

後から、たとえ調子が悪くなったとしても(ならずに冷静に話せる可能性もありますし、)原因となった事をちゃんと話すべきだったのかなと思いましたが、精神科医の先生は原因が分からずとも適切な診断ができるものでしょうか?(できるから話さなくても良いとしてくださったのだと思いますが…)
また、一度調子を崩すと引きずられてしばらく調子が戻らなくなるので、せっかくここ数ヶ月調子が良くなったのだからと話すのをやめてしまったのですが、実際はどうするのが適切だったのでしょうか?
「付き合っていくしかない」と言われたのですが、ここ半年は全く調子が良かったので、このまま治ってくれると期待していました。再発する可能性は高いのでしょうか…
アルプラゾラム0.4mg錠を半分に切って、ひどい発作時に誰かに服用させてもらうようにと言われました。
発作後の精神的な落ち込みの方が発作よりずっとしんどいことを伝えたのですが、それは薬ではどうにもならないと言われました。
でも、薬の説明には「ゆううつな気分を改善させる」とあります。
そういう状態の時に飲んでみてはいけないでしょうか…(今後なんともなければそんな機会もなく、それが一番いいのですが)

またいろいろと疑問が出てしまいましたが、とりあえず受診したことで自分自身が安心できました。
受診を勧めていただいたこと、感謝しています。
本当にありがとうございました。

 

林: 受診されたことで、回復に向けての大きな一歩を踏み出されたと思います。

精神科医の先生は原因が分からずとも適切な診断ができるものでしょうか?

もちろん原因がわかったほうがより適切な治療ができます。
しかし、トラウマ関連の疾患の場合は、初診の時点では無理に原因を追求しないのはむしろ普通です。
その意味で、

原因となった出来事に関しては「話したらまた調子が悪くなっちゃうかな」と尋ねていただき、

初診された先生のこの対応は、トラウマ関連疾患の初診時としてはごく普通のことです。
これは決して原因をいつまでも不明のままにしておくという意味ではありません。また逆に、必ず原因を特定しなければ治療は進まないという意味でもありません。
さらに言えば、本人としては これが原因 と信じていても、診療が進むうちに、そうではなかったことが判明することもあります。

というような事情がありますので、

精神科医の先生は原因が分からずとも適切な診断ができるものでしょうか?

それをいま心配する必要はありません。いま必要なのは治療を受け続けることです。

一度調子を崩すと引きずられてしばらく調子が戻らなくなるので、せっかくここ数ヶ月調子が良くなったのだからと話すのをやめてしまったのですが、実際はどうするのが適切だったのでしょうか?

それも全く問題ありません。「話すのをやめてしまった」ということ自体が、診断に向けての重要な事実です。精神科の診断とは、そういったことをすべて総合して進むものです。

診察時にあれこれお悩みになること自体が重要な症状であるとも言えますし、だからこそ、診察時にあれこれお悩みにすることは不適切どころか適切なことであるとも言えます。治療を受け続けることを今は第一の目標とお考えください。また経過のご報告をいただければ嬉しく思います。

(2021.3.5.)

05. 3月 2021 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 解離性障害