【4286】虐待された時の記憶が曖昧です

Q: 14歳の女です。この間、母や姉が、幼児期、私たちに父親が虐待をしていたと話していました。私はその時の記憶がかなり曖昧です。 たしかに、私が幼稚園の時から小学生一、二年に至るまで、原因は忘れたのか分からないのかですが、父親に両足を持って窓から逆さづりにされた記憶があるようなないような……。寧ろ、母や姉にいわれて「ああ、そんな事もあった……か?」という具合です。他の兄弟に聞いてみたところ、そのときのことを事細かに説明してくれます。覚えていないのが不思議なくらいだ、とも言われました。さらに聞くと、父親が八つ当たりで子供を殴ったりとか色々あったそうです。今はここ数年、単身赴任でいませんが、そろそろ帰ってきます。 解離性……というやつでしょうか?

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林: そうです、あなたに虐待された記憶がないのは、あるいは虐待された記憶が曖昧なのは、解離性健忘です。このようなケースでは、虐待が本当にあったかどうかははっきりしないことがしばしばあります(たとえば【0276】私は本当に虐待されたのでしょうか【1924】子ども時代の記憶が曖昧です。父に暴力を受けていたらしいのですが。【1926】母からの暴行、義父からの性的虐待、どちらも記憶が曖昧など。なお、【1901】から【1948】の一連のQ&Aはすべて虐待と解離性健忘を扱っています)。この【4286】では、現在の質問者本人やご家庭の状況が不明なので、「これは解離性健忘です」とまでしか言えませんが、このような解離性健忘では、記憶を取り戻すことが本人にとって適切かどうかは一概には言えないということは知っておられたほうがいいでしょう。

(2021.4.5.)

05. 4月 2021 by Hayashi
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