【4213】不安を訴えると薬の量が増えるので怖いです。控えめに伝えた方がいいでしょうか(【3672】、【3759】、【3829】、【3904】、【3976】、【4064】のその後)

Q:【4064】家にこもるようになって少し変な気がします の40代女性です。

前回の質問のあと、薬を少しずつ増やしてレキサルティ2mgを継続していましたが、数日前に病院に行ったときに、家の外で誰かが見ている、わたしが家の中を歩くと上の階の人がついてくる、独り言が止まらないなどを伝えたら、ロナセン4mgも処方されました。

今は、
レキサルティ2mg
ロナセン4mg
パキシル25mg
トラゾドン50mg
ブロチゾラム、ビペリデン(量を忘れました)
をのんでいますが、ロナセンを飲み始めてから一日中眠くて、仕事中もアクビばかりでちょっと飲み続けられないな、という感じです。今夜からやめるつもりです。

症状はまだ揺らぐことがあって、気配で見張られていることや上の階の人の様子が分かるときと物音で分かるときがあります。いまは音がとても気になり、わたしに向けて音を出している気がして家の前に車が止まったり上の階から音がすると見張られている付いてくると分かり、音を聞くと責め立てられるような気がして恐ろしくなり激しい動悸がします。
ロナセンを飲み始めてまだ数日ですが、少し楽になった感じはあります。独り言もだいぶ減りました。レキサルティは飲んでもあまり変わらずという感じでした。

妄想なのか現実なのか考えるほど分からなくなります。そんな気がするという話をすると薬が増えるので、色んなことが身の回りで起こるのはわたしが作り出した話でありもしないことを言ってたらどうしよう、と思うと主治医の先生に伝えるのが怖いです。控えめに伝えた方がいいでしょうか。発語に難があり、全て筆談での診察なので頷く首を振るだけで何も伝えないことも多々ありますが、そうするといつも同じように診察が進み同じ薬の継続なのでホッとします。

主治医の先生から診断を聞いていないことと薬はどのくらい必要で、と言うか本当に必要なのかいつまで服薬が続くのかがハッキリ分からないことが不安で、治療の継続をその内やめてしまう気がしています。診察のときに聞くべきでしょうか。

書いていたら少し混乱してきました。この辺りで失礼します。ありがとうございました。

 

林: 統合失調症の治療では、適切な薬物療法を受けることが回復への第一歩です。「第一歩」といっても、その一歩になかなかたどり着けないことが実際にはしばしばあり、その意味では「最も重要」と言い換えてもいいと言えます。
この【4214】のケースの現在は、その第一歩になかなかたどり着けずに苦悩しておられる状態です。

前回いただいた【4064】のメールには、

薬ものんでるのに。でも診察で相変わらずあまり話をしないので伝わってないからよくなるものもなっていないのかもしれないです。

と記されていましたが、今回【4213】のメールには

妄想なのか現実なのか考えるほど分からなくなります。そんな気がするという話をすると薬が増えるので、色んなことが身の回りで起こるのはわたしが作り出した話でありもしないことを言ってたらどうしよう、と思うと主治医の先生に伝えるのが怖いです。控えめに伝えた方がいいでしょうか。

と記されています。この二つの記載から、質問者の中で、回復したい、でも薬を増やしたくない という葛藤が生じていることが読み取れます。そして薬には常にメリットとデメリットがある以上、このような葛藤が生じるのは自然であり、健全な心理であると言うことができます。

けれども前回の【4064】の回答にも記した通り、薬をのんでいても、症状が正確に主治医の先生に伝わっていなければ適切な処方をすることはできません。症状、すなわち質問者が不安に感じていること(その中には症状と症状でないものが混在しているのが常です。自己判断でこれは症状、これは症状でない、と分類するのは危険です)はできる限りすべて主治医の先生に伝えるよう努めてください。そうすることで治療の適切さが高まり、さらに改善することが期待できます。

ロナセンを飲み始めてから一日中眠くて、仕事中もアクビばかりでちょっと飲み続けられないな、という感じです。今夜からやめるつもりです。

このような自己判断もとても危険です。それでもどうしても副作用で飲み続けられずやめるしかない状況であったのであれば、次の診察のときにそのことを必ず主治医の先生に伝えてください。

主治医の先生から診断を聞いていないことと薬はどのくらい必要で、と言うか本当に必要なのかいつまで服薬が続くのかがハッキリ分からないことが不安で、治療の継続をその内やめてしまう気がしています。

治療の継続をやめたらその先には悲惨な結果しかありません。必ず治療を続けてください。

(2021.1.5.)

05. 1月 2021 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症