【4185】産後うつは甘えですか

Q: 30代女性です。

Twitterにて、「性差別と人種差別を許さない」「児童虐待の厳罰化を求めます」と謳う女性が、 『もし奥様が「産後うつ」を言い訳にして家事や育児を怠ったら怒鳴りつけて躾けましょう。私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました。 「産後うつ」は「甘え」です。』
と発信していました。
私としては、産後うつは決して甘えではなくれっきとした病気だと思いますが、このTwitter女性の発言に対し、先生はどうお考えでしょうか。
また、”子供の前で父親が母親に怒鳴りつけて躾ける”ことは、子供に精神的ダメージを与え児童虐待になり兼ねないと思うのですが如何でしょうか。

 

林: 人が、「自分はX(病名)のためYができない」と主張したとき、それは病気の場合も甘えの場合もあります。これはXが何であっても同じで、産後うつであっても同じです。

私としては、産後うつは決して甘えではなくれっきとした病気だと思いますが、

あなたの見解は正しいです。

私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました。

これはTwitter女性の個人的な体験にすぎません。それは個人的体験としては事実なのでしょう。
しかし

 「産後うつ」は「甘え」です。

個人体験に基づいてこのような一般化した結論を出すことは当然に誤りです。

”子供の前で父親が母親に怒鳴りつけて躾ける”ことは、子供に精神的ダメージを与え児童虐待になり兼ねないと思うのですが

それはその通りで、質問者はTwitter女性を批判しているように読み取れますが、このTwitter女性は「(父親が母親を) 怒鳴りつけて躾ける」ことは推奨していますが、それを「子供の前で」することは推奨していませんので、怒鳴りつけることの可否は別として、児童虐待に結びつけるのは筋違いの批判です。
したがって、このTwitter女性の発言のうち、批判されるべき部分は、「産後うつは甘え」という断言の部分で、それが批判されるべきだという理由は、その断言が個人的体験の不当な一般化だからです。

(2020.12.5.)

05. 12月 2020 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A