【4158】ジプレキサで落ち着いているが、糖尿病になることが心配

Q: 32歳男性です。
精神科Q&Aの林先生の回答や、質問者さん達の生の声を聞いて徐々に病識(自分の症状は病気からくる妄想なんだと思う気持ち)が出てきました。
今は自分としては、自分の今ある能力に見合った生活が送れていると思ってます。
私は高校生の頃から周囲に嫌われている、自分が幸せに暮らすことなどできないのだという気持ちから、ヤクザに狙われている、親でさえも自分を疎ましく思っているなどの妄想が生じて、自分を守る目的で部屋に目張りをする、大きな声をあげて相手も威嚇するなどの防衛を行なっていました。
しかし二度の医療保護入院をして、その時の投薬の効果で、今までの周りからの攻撃は、確かに現実にはあり得ないものだと思えるようになりました。 統合失調症という診断にも納得しています。
今はジプレキサ20mgを毎日欠かさず飲んでいます。主治医には本当に感謝もしているし信頼しています。
しかしなんだか最近食欲が増えてきたように思います。ネットなどで調べてみると糖尿病には使えない薬なのだと知りました。
このままでは糖尿病になりジプレキサも使えなくなってしまうのではと恐怖で仕方がないことを主治医に伝えました。しかし主治医は「あなたに合っている」との理由から薬を変えることを考えてくれません。
太るのも嫌ですし、第1再発したときに増量できないのが怖いのです。
できれば今の主治医の先生に通院したいです。どうしたらいいでしょうか?

 

林: 今の主治医の先生に通院し治療を続けてください。

このままでは糖尿病になりジプレキサも使えなくなってしまうのではと恐怖

ジプレキサは糖尿病の人には使えない薬ですが、ジプレキサを飲み続けることによって糖尿病になることはありません。これは意外に多くの人が誤解しています。

但し、ジプレキサで体重が増加する場合があるのは事実です。この【4158】のケースではそれが具体化しており、「太るのも嫌ですし」という気持ちも理解できます。

しかし、薬とは効果と副作用のバランスによって適応を決めるものであって、2回の医療保護入院を経て今は落ち着いているというこの【4158】のケースでは、せっかく安定が得られた処方を、多少の副作用があるからといって変えることは推奨できません。
このとき、「多少の副作用」の「多少」とはどのくらいかが問題で、体重増加は、その程度によっては「多少」とは言えない場合もあります。
しかし、この【4158】のケースの経過と症状を把握している主治医の先生が、今の処方を続けるという方針を取っておられる以上、副作用より効果の方が大きいと判断されているということですので、いま処方は変えない方がいいというのが正しい判断になります。今の主治医の先生に通院し治療を続けてください。

(2020.11.5.)

05. 11月 2020 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症, 薬の副作用 タグ: , |