【4101】うつ病が再発し、偏見にとても苦しみましたが、治療を受けて回復しました
Q: 【3827】母は統合失調症で、従姉妹は発達障害ですが、私はうつ病でしょうか での回答ありがとうございました。知りたかったことだったので非常に嬉しかったです。当時23歳、現在24歳の女です。
その回答を頂いた際、私は特にうつ病の再発に気をつけるべきと書かれていましたが、案の定うつ病が再発してしまいました。
きっかけは専門学校を卒業して就職した事です。就職先の人間関係や仕事に馴染めず、ストレスを溜めてしまっていました。しかしそれ以前から就職活動が上手くいかなかったこともあり、それも原因の1つだったと今振り返ると感じます。
新卒で就職した職場は週に1日だけ、日曜のお休みしかなく、日に日にストレスをかかえてこのままでは不味いと自分でわかりつつも病院に行けなかったこともよくありませんでした。
結局はベルトをカーテンレールに結んで首を吊って自殺未遂をしました。苦しくて死ぬまでは耐えられなくて情けない限りですが、それ以来職場は無断欠勤、病院に連れていかれてサインバルタの服薬が始まりました。
当初主治医の勧め通り休職届けを出したのですが、専門学校の元担任に休職するくらいなら退職しろと言われ、退職することになりました。
退職のために元職場に出向いたときの苦痛は回復した今でも時に思い出しては苦しみまた、怒りが湧き上がってきます。
その職場というのは歯科医院で、私は院長と話をすることになりましたが、その院長はうつ病は薬なんて飲んでも治らない、ちゃんと人と関われ、私の友人もうつ病だったが私が関わって治したなどと言いました。
その上私が退職してこの先職を転々とするのではないかとか、人を殺すのではないかなどと心配し始めるのです。ちょうどその頃精神障害の手帳を持った人が犯人の殺人事件があった頃でした。
もう悲しくて仕方ありませんでした。そして回復した今となっては怒りが大きいです。ただうつ病と言うだけで殺人犯予備軍のレッテルを貼られてしまうのです。
また、専門学校の元担任にも薬なんて飲んでも意味無い、精神科なんて通ってないで地に足を付けて生きろなどなどこちらを追い詰める様なことばかり言われました。
このようにとんでもなく辛かったですが、仕事をやめて家でのよく休み、薬もきちんと飲んでいたらちゃんと元気になりました。薬なんて飲んでも治らないなんて嘘っぱちです。お前らに何が分かるんだという気持ちです。
まがりなりにも医療に関わる人間の認識がこの程度なのですから、世間一般の精神障害への偏見は如何程かと思いました。
3ヶ月ほど休養と服薬で回復してきた私はB型事業所に通い始めました。
そこで外出することや少しでも仕事をすることで徐々に自信をつけた私は、再び資格を活かして歯科で働きたいと思うようになりました。
その時専門学校の元担任と和解?し、紹介してもらった職場で今働いています。
その職場ではあらかじめ私の病気の事なども説明しましたが、受け入れて頂いて、少しずつ仕事に慣れて、いまはフルタイムの正社員として働いています。
今は仕事が楽しいです。うつ病を再発したことは辛かったですが、それによってやっと自分の病気をやっと受け入れることが出来ました。
今もサインバルタは飲んでいますし、主治医からは再発した人は長く飲み続けた方がいいと言われています。私もうつ病を受け入れることが出来たので、しっかり服薬を続けて今の良好な状態を保ち、一生うつ病と付き合う気持ちでいます。
今後の人生を考えるとまだまだ不安はありますが、とりあえずちゃんと働けるようになっただけで良しとしたいと思います。
長くなってしまいましたが、その後のご報告でした。
精神障害を持つ人々が偏見など受けずに受け入れられ、普通に生活できる社会になることを願ってやみません。
林: 経過のご報告をいただきありがとうございました。再発の苦しみに加えて、周囲の方々からの不条理な言葉に大変つらい思いをされたご様子、深くお察し申し上げます。ご指摘の通り、精神疾患への偏見は明に暗に非常に根深く、精神医療に携わる者が中心となって解決に努力を続けていかなければならない問題ですが、目の前の当事者の方に対しては、適切な治療を受けて回復・安定されることをお勧めすることが最優先事項であると思います。その意味でも、この【4101】の質問者が
私もうつ病を受け入れることが出来たので、しっかり服薬を続けて今の良好な状態を保ち、一生うつ病と付き合う気持ちでいます。
とおっしゃっているのは、今後の良好な経過を強く期待させるもので、何よりと思います。
現代において、うつ病と呼ばれているものにはとても大きな幅があります。というより、うつ病と呼ばれているものの多くは擬態うつ病であるというのが正鵠を射ているでしょう。ということは、薬による治療が必要ない「うつ病」(カギカッコをつけたのは、それは真のうつ病ではなく、うつ病と呼ばれているだけ、または、自称されているだけ、ということを意味しています)も膨大な数が存在するということです。この【4101】の質問者の雇用者や先生が、「うつ病に薬を飲んでも無意味」とおっしゃったのは、彼らが擬態うつ病しか見たことがないか、あるいは、最初の見た「うつ病」が擬態うつ病であったため、真のうつ病(この【4101】のケースがそれにあたります)を見ても、もはや事実を見るという姿勢が失われているためであったからであるとも考えられます。このように、精神疾患への偏見が生まれる背景には複雑な事情があります。
それはともかくとして、この【4101】のケースは、必ず薬による治療が必要で、治療をしなければ非常に高い確率で再発し、再発すれば非常に高い確率で重症化することが強く予想されるタイプのうつ病です。【3827】にもお書きした通り、将来、少しの不調でも早めに精神科を受診することを強くお勧めします。一生にわたって再発予防のため薬を飲み続けたほうが安全かもしれません。
(2020.8.5.)