【3848】グループホーム入居者の不可解な言動

Q: 私はグループホームで世話人をしている30代女性です。利用者は50代女性で軽度の知的障害、てんかん、うつ病、多発性硬化症を持っています。
就労先は就労Bでクッキーやパンを製造している仕事をしています。
その就労先は今から半年前に通い始めたのですが、その時から利用者に不可解な行動がみられるようになりました。
体調が悪く就労を休んだ日。午前中の時です。突然その人が自室で 「わぁーわぁー!!」と叫び始めました。今まではもごもごと滑舌の悪い喋り方だったのですが叫んだ時の声はテレビで役者が叫んでいるかのようなとてもはっきりとした滑舌のいい声でした。
急いで部屋に行ってみると利用者はベッドの上でうつぶせで倒れ横に左右に小刻みに揺れていました。声をかけても、体をゆすっても顔をあげて反応はせずただただ左右に揺れているだけです。
1分もたたないうちに利用者は顔をあげましたが目は虚ろで目の前にいる私に目を合わせてくれません。
とりあえずは落ち着いたなと利用者の部屋から退出しました。その五分後には利用者も何もなかったかのようにトイレや食事をされました。
それから数時間が経って利用者が私の方へやってきました。「体調崩しちゃった」「大丈夫?」「うん、もう平気」と表情も明るく会話をしました。世間話もしました。3分くらいして会話が終わり、利用者は自室に戻りました。
その一分後またも自室から「やめて!!やめて!!」という叫びが聞こえました。とても大きい声です。
またも急いで利用者の部屋に行くと利用者はベッドの上に座って手で口元を抑えながら目も見開いて「やめて!」と叫んでいました。目線は斜め上の天井を見ていました。
そのあとすぐベッドにうつぶせに寝そべり左右に揺れ始めました。声をかけても反応なしです。あとは午前中と同じで1分もたたないうちに顔をあげましたが目は虚ろ。今度はそのまま窓の方をじっと見つめたままでした。
私は何だか怖くなり世話人室に戻りましたが、五分もたたないうちに利用者が部屋から出てきました。私服だったはずの服がパジャマに変わっていました。普段はふらつきや転倒しやすい足取りなのにその時だけは早く足取りも軽やか
そして私のところに来て「洗い物ありますか!?私洗いますよ!」と元気な表情で聞いてきました。私はないけど大丈夫なのと聞きました。本人は「大丈夫!」と元気に返事しました。

それ以来その利用者は月に1~2回その症状が出ます。ほかのスタッフもその症状を目撃しています。ある時は早朝トイレ内で「あぶないでしょ!?」という叫びが聞こえスタッフが駆けつけると目を見開いて驚愕といった表情をしてトイレから出てきた時がありました。そして最近はその叫んでからベッドの上で揺れた後は必ず台所に来て意味もなく水道水を長時間流している様子がみられます。流し終わった後は何事もないように部屋に戻ります。
そして少し時間が経つとそのことについてなに一つ覚えていないこともあります。
掛かりつけの精神科にも受診して話しましたが本人は「え。そんなこと私していない!」と驚いて少し怒ります。こちらも見た情報をそのまま先生に伝えてはいるのですがもう少し様子を見ましょう。と言われました。
ほかの利用者やスタッフに危害を与える様子は今のところ見られていませんが正直怖くて心配になります。

スタッフ間では統合失調症又はレビーを疑っています。
薬はダイアモックス、ランドセン、テシプール、テグレトール200、100スローケー、ファモチジン、エクセグラン、ベネット、ジレニアです。

 

林: これは主治医に正確な診断名と、ここに書かれている状態についての解釈をお尋ねするのが第一です。

スタッフ間では統合失調症又はレビーを疑っています。

その推定には全く根拠がありません。そのような推定をすることは、事態を混乱させるだけで何のメリットもありません。

利用者は50代女性で軽度の知的障害、てんかん、うつ病、多発性硬化症を持っています。

このように列記された診断名からも、この方の実像は見えてきません。その主たる理由の一つは、これらの診断名は、互いに別々のものとは考えられず(つまり、この4つの病気をたまたま合併しているとは考えられません)、関連しあっていると考えるのが妥当です。(たとえばですが、知的障害による不適応から二次的にうつ病になっている、など。もっとも、そのような場合は本来はうつ病と呼ぶべきではありませんが)。そして、てんかんという診断名が確実なら、このメールに書かれている突然の異常言動は、まずはてんかんの可能性を第一に考えるのが適切です。また、多発性硬化症の症状は、心理的な原因による症状(ヒステリーと呼ばれることもあります)と誤診されやすいというのもよく知られているところです。

いずれにせよ、この方の病状は複雑であり、安易な推定は禁物です。主治医に意見をお聴きするのが必須と言えるでしょう。

(2019.7.5.)

05. 7月 2019 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, てんかん, 精神科Q&A タグ: , |