【3612】醜形恐怖症の判断基準に容姿は含まれるのか
Q: 私は20代女性です。
【3509】ただの醜い女が卑屈になっているだけなのでしょうか を拝読して疑問に思ったので質問させていただきます。
【3509】の質問者は「醜形恐怖症は一般に容姿に問題のない人がなりやすいから自分は違う」と考えており、林先生はそれに対し、その考えこそ典型的な醜形恐怖症の反応だとお答えでした。
しかし、この反応が出るのは「醜形恐怖症は一般に容姿に問題のない人がなりやすい」という言説が流布しているからかと思います。
そこで質問なのですが、醜形恐怖症と診断されるのに、当人の容姿は判断基準に含まれるのでしょうか?
つまり、同じように極度に容姿に悩んでいる人が、その悩みに見合わない容姿ならば醜形恐怖症と診断され、その悩みが実際の容姿に当てはまっていれば診断されないのでしょうか?
素人考えでは、いずれにせよ容姿についての考えが一日中頭から離れない、そのことによって生活に支障が出ているような状況であれば、実際の容姿にかかわらず、病的で治療を必要とする状態かと考えます。
もしそうなら、この「容姿に問題のない人がなる」という言説が、醜形恐怖症当事者が適切な医療に辿り着きにくくしているような気がします。
(おそらく、醜形恐怖症の可能性で医療機関を受診することが間接的に「私は問題のない容姿である」と言うように感じられて、そのことで嘲笑を受けることを恐れるような心理が働くかと思います)
わたし自身すこしだけその傾向があり、気になったので質問させていただきました。
(ちなみに、四六時中そのことで悩んで生活に支障があるというレベルではないのですが、ふとした時に「醜くて存在そのものが不快と思われていないだろうか」と考えたり、都合の悪い出来事を全て容姿のせいと考えたりしてしまうのは、単に人間性が未熟なのでしょうか。鏡で見る自分の顔を醜いと思っていないですし、人と対峙しているまさにその時には容姿のことはあまり気にならないので醜形恐怖症ではないと思うのですが、ひとりの時にその思いに囚われて苦しいことがよくあります。 これを改善するには自己啓発やらで精神力を鍛えるしかないのでしょうか)
林:
醜形恐怖症と診断されるのに、当人の容姿は判断基準に含まれるのでしょうか?
もちろん含まれます。
つまり、同じように極度に容姿に悩んでいる人が、その悩みに見合わない容姿ならば醜形恐怖症と診断され、その悩みが実際の容姿に当てはまっていれば診断されないのでしょうか?
もちろんその通りです。その場合は醜形恐怖症という診断はつきません。
いずれにせよ容姿についての考えが一日中頭から離れない、そのことによって生活に支障が出ているような状況であれば、実際の容姿にかかわらず、病的で治療を必要とする状態かと考えます。
それもまたその通りです。けれども治療が必要であることと、醜形恐怖症という診断がつくかつかないかということは全く別の話です。(これはうつ病と擬態うつ病の関係と同じです。擬態うつ病はうつ病ではありませんが、だからといって治療が必要ないということにはなりません)
(2018.1.5.)