【3534】妄想が激しい祖母を医師にみせたら「気の持ちようだ」と言われました
Q: 私は高校2年生の女です。
祖母の病名が不明なせいで家族がめちゃくちゃになっています。
祖母は母が幼い頃(40年以上前)から ｢服を盗まれた｣｢注射針で刺された｣と妄想を言うようになり、 それがいかにも本当にあったかのように話すので祖母の周りの人は皆祖母から離れていったそうです。何度か母やその兄弟達が祖母を病院に連れ込んだこともあるようですが、祖母は薬を飲むのを拒み、結局薬は飲まず終まいで、それからも妄言は続いたようです。
壁に大量の目(チラシから切り抜いたもの)を貼り付けたり、テレビを見るだけで｢レーザービームが飛び出てきた｣と叫び声をあげたり、 ｢金を盗まれた｣と隣の家に怒鳴り込みに行って警察沙汰になったりと、とうとう家族以外の人間にまで迷惑がかかるようになってきたのですが、病院に行くにも本人が暴れて行けなくて、明らかに何らかの精神的な異常があるのにも関わらず治療せず放置することになってしまったようです。
私が生まれるまでの何十年もの間、祖母はずっと｢泥棒に盗られた｣｢注射針で刺された｣と言っては警察沙汰を起こし、というのを繰り返していたようですが、孫の私が生まれてから随分よくなった、と母は言っています。
確かに私自身、つい最近まで、祖母が｢泥棒に盗られた｣とか｢注射針で刺された｣とか言うのは何度も聞いたことがあっても、それ以外は見たことがありませんでした。
しかし、最近、祖母と母の姉が喧嘩してから(祖母が母の姉に｢金を盗んだだろ｣と怒鳴り散らして電話したから)突然変になってしまいました。
突然電話がかかってきては、｢殺される殺される｣と何度も言い、祖母の家を訪ねたら至る所に目を貼っていて、 祖母の笑い方もなんか薄気味悪くて、口角は確かに上がってるけれど、ニヤニヤしている、という表現が正しいでしょうか、悪巧みをしているような、とにかく変な笑顔でした。いつもの祖母ではないことは雰囲気でわかりました。人が変わったようでした。
祖母はそんな状態でも喧嘩したことと自分の娘にひどいこと(｢娘を疑うような親はとっとと死ね｣という言葉)を言われたことはしっかり覚えていたようで、娘に殺されるぐらいなら先に死んでやる、とぶつぶつ呟いているのを見て、母が祖母を無理やり精神科に連れていきました。(私もついていったのですが、認知症の専門の先生でした)
そこで病院のD先生は｢妄想障害かなにか｣だとおっしゃいました。
こればっかりは薬で治せない、気の持ちようだ、と。
私も母も正直D先生がおっしゃったことは違うのではないかと思いました。
私も母も祖母の症状から見て統合失調症だろうと踏んでいて、それにあった薬を飲めばきっと良くなるだろう、と思っていた矢先、 D先生は薬を処方することはなく、妄想障害かなにかだと診断されました。
病名も今ひとつ定まらず薬ももらえずで 今もずっと祖母は隣人を疑い、芸能人を疑い、娘息子を疑い、とうとう私まで疑われるようになりました。
祖母の病気は本当に｢妄想障害かなにか｣ですか？
そしてもし統合失調症ならば長年放置し続けてしまったものでも回復の見込みはありますか？
林: お祖母様は統合失調症だと思います。別の病院を受診し、治療を受けてください。症状の改善は十分期待できると思います。
お祖母様の現在の年齢が不明ですが、
祖母は母が幼い頃(40年以上前)から ｢服を盗まれた｣｢注射針で刺された｣と妄想を言うようになり、
という記載からは、精神病症状の始まりは遅くとも20代か30代と思われますので、統合失調症の発症としてはごく普通の年齢です。
そして、お祖母様の症状は妄想が前景ですが
壁に大量の目(チラシから切り抜いたもの)を貼り付けたり、テレビを見るだけで｢レーザービームが飛び出てきた｣と叫び声をあげたり、
｢注射針で刺された｣とか言う
笑い方もなんか薄気味悪くて、口角は確かに上がってるけれど、ニヤニヤしている、という表現が正しいでしょうか、悪巧みをしているような、とにかく変な笑顔でした。
などからは、妄想性障害よりむしろ統合失調症とみるほうが妥当です。
統合失調症ならば長年放置し続けてしまったものでも回復の見込みはありますか？
十分に回復するかどうかは未知数ですが、少なくとも陽性症状(幻覚妄想など)については、抗精神病薬の効果が十分に期待できます。
それにしても、
病院のD先生は｢妄想障害かなにか｣だとおっしゃいました。
こればっかりは薬で治せない、気の持ちようだ、と。
これはとても医師とは思えない診断と対応です。
もちろん医師であっても専門外の分野については正確な診断が不可能なことは多々ありますが、このD医師は認知症専門を自称しているわけですから、少なくとも認知症については一定以上の知識を持っていなければなりません。そして認知症では周辺症状として妄想が出現することはしばしばあり、薬などで治療することもしばしばあることですから、(たとえ認知症によるものでなくても)妄想という症状に対して
こればっかりは薬で治せない、気の持ちようだ、と。
と述べるとは、あきれて物が言えないというレベルです。このD氏はとても医師とは認められません。
祖母の病名が不明なせいで家族がめちゃくちゃになっています。
ご家族がめちゃくちゃになったのはD氏の責任です。
(2017.9.5.)
