【3481】治療に向けてさらに前進しました(【3430】【3459】のその後)

Q: 【3430】10数年ひきこもっている弟が最近、特許や亡命にこだわるようになった【3459】保健所に相談し、一歩前進しましたの質問者である40代の姉です。林先生、ご回答ありがとうございました。

その後、【3459】で面談して頂きました先生に弟と面談して頂くべく、保健所にいきました。
数日前には日時を確認する電話もあり、弟は30分前には保健所にきていました。

前日、前々日には私達家族を心配する内容でしたが頻繁に連絡があり、面談に対しての不安な気持ちがいつも以上に幻聴等に影響しての、私や家族を心配する頻繁な電話なのかと思い、心配しなくても面談行った所で一気に変わったりしないから心配せんで大丈夫、と言ったら電話はなくなりました。

弟が特許や亡命と言い出し始めた頃(半年程前に)、私は弟の言ってる意味がわからない、統合失調症って言う病気があるみたいでそれじゃないか、精神科や保健所に相談に行った方がいいと弟に言った事があります。まぁそれは大丈夫と言われ話はおわりましたが。

そして今日は精神科の先生とお話しする旨は伝えていましたが、病識のない弟は自分の特許について解決できる事を期待して保健所に来たのではと思っていました。
いつも持ち歩いているらしいですが、自分の特許である根拠の資料?等が入ってるパンパンの鞄も今日持ってきていましたが、開ける事はありませんでした。

先生は特許の話は否定も肯定もせず、ただ特許と主張するものからの攻撃やらで緊張感が続いて弟さん自身しんどくないですか?
鈍感力をもった方が良い、緊張している状態を和らげる薬があります、精神科医として緊張をずっとしている様に感じる、規則正しい生活をしてしっかり睡眠をとってリラックスしないと体調のバランスが崩れるからそれが心配、しんどい時は保健所や精神科のクリニックに来て下さい、弟さんに力になれる事があると思います。と、先生も保健所の職員さんもお話しして下さいました。

弟は緊張とリラックスは自分でバランスとれるからご心配ありがとうございます、でも大丈夫ですという感じでした。

もちろん私も今日の面談で、弟自身がクリニック行くわ!と言うとは思っておらず(だったらこんな事にはなってませんから)、今後どうして行ったら良いのか身動き取れないので保健所に相談しました。

面談終了後、どうやった?と軽く聞きましたが、俺は大丈夫やし自分でできるからといつも通りの返事でした。

父親も弟に起こっている事を弟自身につっこんで聞いた事はなく、弟から特許等の話を聞いたのは多分初めてで、今日の面談行くまでは、精神科行って何になるの?  と言っていましたが、実際に特許について熱弁している弟を見てショックを受けた様で(弟の言動はおかしいとは思っても生活もできるし、働きたくないための言い訳と思っている所があった)、少し時間を置いてから、自分でやってみて体調等はどうや?緊張とれたか?精神科のクリニックに行ってみるか?と聞いてみると言っていました。

保健所の職員さんに面談後お話ししましたら、弟さんは家族が大事で自分が受けている被害を心配しての、頻繁に心配の電話なんですねと言われました。

今日、精神科の先生とお話しする、私は以前病気じゃないかと言った事がある、私が心配して保健所に相談したと父親から聞いてる、にも関わらず今日の面談に来たのは、弟の中でおかしい?と言う病識があるのでしょうか?

無理やり連れて来た訳ではないので、来ない、保健所から面談前に帰宅する、等の選択肢もありました。

面談終了後、保健所の職員さんが弟に名刺を下さいました。
サイフに名刺をしまっていました。
どうでも良ければサイフに入れたりしないのではないか、と思うのは考えが甘いでしょうか?

特許の話はしてましたが、私はもっと攻撃的(←言葉での、虚勢と言うんでしょうか)になるのでは、と思っていました。それは保健所の精神科の先生のアプローチの仕方が否定的でのなかったからなのかもしれません。

保健所の精神科の先生もやはり無理やり精神科に行くのはいけないとのお話しで、私も薬を飲むのは弟ですし、無理やり連れて行っても薬を継続して飲まなければ改善しない、精神科の先生は病気ではなく緊張を和らげると言うアプローチをして下さいましたが、弟は自分でリラックスできると言ってます。そんな弟にはどうアプローチしたら良いのか次に進めるのか。

保健所の職員さんから今日の先生から紹介状を書いてもらう事もできるし、病院の紹介もできるとご案内頂きました。それを持って私だけでもまず病院に行った方が良いのでしょうか?

今日の先生も市内でクリニックをされていて予約が取りにくい様ですが、面談して頂いているし事情をご存知である、現時点では弟は先生に対して敵視と言うか、批判的には思っていない様子に見受けるので、今日の先生に行ってみる方がよいのか、予約が取りやすい病院にして1日でも早く治療した方がよいのでしょうか?

アドバイス頂けましたら幸いです。

追記
林先生からご指摘頂き、前回保健所の職員さんが弟の説明をしている時に笑ったりされていたので切羽詰まっているこちらとしては、批判的な言葉を言いましたが、仕事とは言えよくやって下さってると思っています。

また私自身、統合失調症についての本を読んだりして、少しは知識を入れてい面談に臨めたので、先生の面談内容や先生のおっしゃる内容を弟の性格を考えて噛み砕いて説明したりできましたので良かったです。

 

林: その後の経過をとても具体的にご連絡いただきありがとうございました。質問者をはじめとするご家族の慎重で適切な対応、および保健所の先生のプロフェッショナルな対応によって、治療に向けて順調に進行していると思います。ご家族としてはもっと速い進行にならないものかともどかしい思いもお持ちかと思われますが、あせりは禁物です。弟さんの病状からみて、ここまで最も迅速かつスムースに進行していると判断できると思います。この後もあせらずにお進めください。

今日、精神科の先生とお話しする、私は以前病気じゃないかと言った事がある、私が心配して保健所に相談したと父親から聞いてる、にも関わらず今日の面談に来たのは、弟の中でおかしい?と言う病識があるのでしょうか?

その通りです。このような現象は統合失調症ではよく見られるもので、「曖昧な病識がある」あるいは「病識はないが病感はある」などと呼ばれる状態です。【1541】皆と同じようにiPodの手術を受けたいなどをご参照ください。

面談終了後、保健所の職員さんが弟に名刺を下さいました。
サイフに名刺をしまっていました。
どうでも良ければサイフに入れたりしないのではないか、と思うのは考えが甘いでしょうか?

甘くはありません。これも「曖昧な病識がある」あるいは「病識はないが病感はある」ことの反映と見ていいでしょう。

その他の質問、すなわち今後の受診への具体的な動きについては、すべて保健所の先生のご指示に従ってください。弟さんのように病識が不十分な統合失調症の方の受診への促し方は非常にデリケートな注意を要するもので、メールからの情報はそれがいかに詳細であっても限度があります。直接診察していただいた先生のご判断に勝るものはありません。

(2017.7.5.)

その後の経過(2019.7.5.)

05. 7月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症 タグ: , |