【3423】新興宗教に傾倒している両親が医療を拒否し、状態が著しく悪化しています
Q: 私は20代男性です。50歳代の両親について相談があります。
両親は、私が物心ついたときには既にある新興宗教に入信していました。
その宗教は現代医学を悪と捉えており、手をかざすことや、無農薬有機野菜等の食物を摂ることで疾患を治すといったふうな信条を持つものです。
両親はその宗教をかなり熱心に信仰しており、息子である私も幼少期必要な予防接種は一切させてもらえず、高熱が出た際も怪我をした際も病院に連れて行ってもらったことはありませんでした。
思春期に入ったあたりで、これはさすがにおかしいと思い、両親に反発し、親類や友人の親の協力を受け、自分に必要と思われる医療は受けるようになりました。
両親とは、宗教関係以外では対立やわだかまりもなく、比較的仲のいい親子だったと思っています。
しかし、私が結婚したことで今関係が悪化しています。
ここから相談に入るのですが、
まず、妻が出産を控えていますが、産院にかからず自宅で出産することを強要しようとしてきます。かなり妻にストレスがかかっているようで参っています。
おそらく産まれた子供についても、医療を受けさせないようかなり執拗に関わってくると思われます。
次に、恰幅の良かった父がこの1年程のうちに見た目でわかるほどげっそり痩せ、顔色も灰色のような緑色のような感じになってきています。
最近は呂律が回らなかったり、歩くときも明らかにゆっくりで、ぎこちない歩き方になってきています。
とにかく、一目見て何かの病気であると思ってしまうような状態なのですが、頑なに病院にはいきません。
妻へのストレスや、父の状態が心配です。
上記のことについて、何度も話し合いを持とうと努力していますが、全く聞き入れる様子はありません。
近々、力づくで病院に連れて行こうと思っているのですが…
両親の意思を無視して病院に連れて行くことは良いのでしょうか?
連れて行くとすれば、まずは心療内科からで問題ないでしょうか?
精神科の病名がつくとすれば、どういったものが考えられるでしょうか?
林: ご両親は精神の病気かもしれませんし、精神の病気ではないかもしれません。わかりません。
統合失調症などの精神の病が原因で、不条理な新興宗教などに傾倒することはあり得ます。しかし他方、精神の病でなくても、不条理な新興宗教などに傾倒することはあり得ます。この【3423】のご両親がそのどちらにあたるか、このメールの記載からは判定不能です。
したがって、苦労して精神科や心療内科を受診させても、「病気ではない」と診断されて徒労に終わるおそれがあります。
しかしそれとは別の問題として、
恰幅の良かった父がこの1年程のうちに見た目でわかるほどげっそり痩せ、顔色も灰色のような緑色のような感じになってきています。
最近は呂律が回らなかったり、歩くときも明らかにゆっくりで、ぎこちない歩き方になってきています。
という事実がある以上、何らかの身体の病気に罹患しており、しかも重篤な病気である可能性は高いですから、医療が必要な状態であることは確かです。
このようなとき、本人の意に反して受診させることが正当かどうかは、しかし、法的にも哲学的にも難解な問題です。
他方、
息子である私も幼少期必要な予防接種は一切させてもらえず、高熱が出た際も怪我をした際も病院に連れて行ってもらったことはありませんでした。
このように、親の不条理な信念のために子供が適切な医療を受けられない場合は、話は全く別になります。質問者が子供時代に重篤な病気に罹患しなかったのは幸運なことでした。
今後は、
産まれた子供についても、医療を受けさせないようかなり執拗に関わってくると思われます。
それに対して、質問者が毅然とした態度を貫くことが望まれます。
(2017.5.5.)