【3422】 憑依妄想をスピリチュアルな考え方で打ち消し生きてきました

Q: 33歳男性です。10年ぐらい引きこもって、30歳目前に神秘体験のようなものがあって引きこもりから抜け出せるようになりました。
しかし、私は17歳の時に、入っていた宗教団体のストレスで、精神が不安定になり、憑依妄想を今日まで感じています。
22~26歳前後はかなり妄想が酷かったと思います。しかし、今日まで何とか投薬治療なしに生きてきました。
憑依妄想を逆にスピリチュアルな考え方で打ち消し生きてきたからです。
しかし、私は最近スピリチュアルな世界観を否定したいので、投薬治療を受けようかとも考えています。
今まで、自分の思考法で何とか憑依妄想を抑えてきたのですが、鋭敏な思考力維持のため、今まで押さえ込んで来られたなら、これからも薬を使わず、生きるべきなのでしょうか。
統合失調症の症状がそれ程は酷くない人の場合、憑依妄想と上手に向き合って、寧ろ投薬治療なしに向き合っていく事も考えるべきでしょうか。
また、今の自分の置かれている状況は統合失調症のどの時期に当たると思われますか?
ちなみに人生はより積極的になっています。

 

林: まず経過を振り返ってみますと、

しかし、私は17歳の時に、入っていた宗教団体のストレスで、精神が不安定になり、

このような形での精神不安定は、精神病(多くは統合失調症)か、または解離性障害の発症が一般的です。
その後の、

憑依妄想を今日まで感じています。

については、質問者が「憑依妄想」という言葉でどのような体験を指しているかが不明ですので、それが憑依妄想かどうか不明です。妄想かどうかも不明です。
けれども、

10年ぐらい引きこもって、30歳目前に神秘体験のようなものがあって

このように、何らかの異常体験の後の引きこもり、そしてある時点での「神秘体験のようなもの」があったことを総合すると、質問者は統合失調症である可能性が最も高いと言えます。
その後の

引きこもりから抜け出せるようになりました。

これについては、これだけの記載では、改善なのか悪化なのかわかりませんが、ここに至る経過からすると、悪化とみるほうが妥当でしょう。。

今日まで何とか投薬治療なしに生きてきました。
憑依妄想を逆にスピリチュアルな考え方で打ち消し生きてきたからです。

それは質問者の独善的な判断にすぎないと思います。おそらく客観的には一刻も早く治療が必要な状態で、しかし本人が服薬を拒否し続けてきていたのでしょう。そして本人は「憑依妄想を逆にスピリチュアルな考え方で打ち消し生きてきたから」大丈夫であると主張し続けてきたのでしょう。周囲の人は非常に困窮していたと思われます。

今まで、自分の思考法で何とか憑依妄想を抑えてきたのですが、鋭敏な思考力維持のため、今まで押さえ込んで来られたなら、これからも薬を使わず、生きるべきなのでしょうか。

今まで、自分の思考法で何とか憑依妄想を抑えてきた」は本人の主観にすぎず、事実ではないでしょう。「著しく悪化し入院に至ることはなかった」ことを「抑えてきた」とみなすのであれば別ですが。

統合失調症の症状がそれ程は酷くない人の場合、憑依妄想と上手に向き合って、寧ろ投薬治療なしに向き合っていく事も考えるべきでしょうか。

そういうケースが例外的に存在しないとは言えませんが、この【3422】のケースはその例外にはあたらないでしょう。

また、今の自分の置かれている状況は統合失調症のどの時期に当たると思われますか?

積極的な薬物療法が必要な時期です。

ちなみに人生はより積極的になっています。

それはおそらく独善的な解釈にすぎません。

しかし、私は最近スピリチュアルな世界観を否定したいので、投薬治療を受けようかとも考えています。

動機はともかくして、投薬治療を受けるべきです。

(2017.5.5.)

05. 5月 2017 by Hayashi
カテゴリー: 精神科Q&A, 統合失調症, 解離性障害 タグ: , |