【3646】私の被害妄想は消えないのでしょうか
Q: 20代の男性で、精神科で統合失調症と診断されている者です。
幻覚は無いものの、被害妄想や意欲の減退、記憶力・集中力の低下などの症状に悩まされています。
被害妄想は、具体的には…
「街ですれ違う人の中に敵がいて、自分を襲おうとしている」という迫害妄想、
「周囲の人が鼻すすり、咳払いをするのは、自分に対する当て付けだ」という関係妄想、 「物音やエアコンの室外機の音でアパートの隣人に監視されている」という注察妄想、 「外出中、他人にあとを付けられている」という追跡妄想 …などがあります。
特に、関係妄想が強いです。
病院の先生に、被害妄想で困っていて毎日の生活に恐怖を感じるといったところ、 今までに、エビリファイ、リスパダール、ロナセン、ヒルナミン、ルーラン…と様々な抗精神病薬を投与してもらったのですが、一向に改善が見られません。
あまりにも被害妄想が治らないため、自分は本当に統合失調症なのかという疑念さえ浮かんできます。
私の被害妄想は治らないのでしょうか?何か、治す方法はないのでしょうか?
林: まず、この【3646】のケースが統合失調症であること間違いないと思います。
このメールに書かれている妄想の内容はかなり典型的なもので、しかしご本人がそれらを妄想であると自認しているということは、すなわちかなりの程度まで病識が得られているということで、薬物療法の効果が出ていると言うことができます。
問題は、ここからさらに改善するのか・しないのかということですが、可能性としては大きく3つが考えられます。
(1) 完全によくなる。
(2) 完全にはよくならないが、妄想があっても気にならないレベルまではよくなる。
(3) このままの状態が続く。
このケースでは、
今までに、エビリファイ、リスパダール、ロナセン、ヒルナミン、ルーラン…と様々な抗精神病薬を投与してもらったのですが、一向に改善が見られません。
とのことですが、このように「色々な薬を試したがよくならない」といった場合、それぞれの薬が十分な量、十分な期間投与されていたかということが大きな問題になります。中途半端な量を中途半端な期間しか飲んでいないために、十分な改善が得られないことはよくあります。この【3646】のようなケースでは、まずそれが第一に考えられます。つまり、十分な量の薬を十分な期間飲めば、(1)完全によくなる ことが期待できますし、仮にそこまで
行かなくても (2) 完全にはよくならないが、妄想があっても気にならないレベルまではよくなる でしょう。
但しごく稀には (3) このままの状態が続く という難治性のケースも存在します。
(2018.4.5.)