【3291】交際中の彼が双極性障害ではないかと思います。私にできることは?
Q: 私は30代女性です。現在交際中の彼(40代後半)が双極性障害(躁うつ病)ではないかと疑っています。 というのも、半年前からお付き合いが始まったのですが、・一日2〜3時間の睡眠で活動的に動き回る・新車を2台購入、新築マンションの購入を即決で行う・一日中しゃべりまくる・自分は神から使命を与えられた特別な人間だと吹聴する・アイデアが次々とうかんで、脳みそがよく回転してとまらない、などと言う・ほんの些細な事で部下を怒鳴り散らす・運転中、前の車を執拗にあおる・自分を否定されると突然怒鳴る、1時間怒鳴り続ける・私に対しての異常なまでの愛情を注ぐ など、4ヶ月間、このような状態が続きました。 私は付き合う以前の彼をあまりよく知らないのですが、本来は口数も少なく、繊細で神経質、謙虚でおとなしい性格のようです。 以前から私に好意をよせていたようで、私と付き合うことになってから、急激に性格が変わったと、周りは言います。
ですが、4ヶ月が過ぎたころから、よく背中が痛む、頭が痛い、と言い出し、元気のない日がつづきました。突然泣いたり、朝は全く起きられない日が続く。私以外の人と会おうとしない。話もしようとしない。ご飯も食べない状態が続きました。 実は私には子供が2人いて、お付き合いを始めた頃からずっと、「俺が父親になってやる」「世界で一番幸せになれる」「世の中はみんな俺たちの味方だ」「幸せになってみんなを見返してやれ」「こんなに金運のいい男と結婚できるお前は幸せだ」などど、かなり自信過剰な人だったのですが、4、5ヶ月目には、「子供を育てるのは無理かもしれない」「みんなに心配かけて幸せにはなれない」「子供がなつかない、ショックだ」とかなり落ち込んだ様子を見せるようになりました。 声も小さくなり、出かけるのを嫌がるようになり、子供の声が聞こえると胸がざわざわするようです。5ヶ月目(今から1ヶ月前)に入り、少し体調もよくなったのか、外食したり、笑顔で話したりできるようになりましたが、それでも朝一番には不快感が強いらしく、お昼過ぎまで起きられないようです。
今現在もお付き合いが続いていますが、私がそばにいて支えてあげることが今の彼の心のより所になっているようです。 ですが、私は彼の将来を考え、病気を治してほしいのです。 彼は、「俺は躁うつ病じゃない。ちょっと久々の恋愛に舞い上がってやりすぎてしまっただけで、正常だから。今は、ハイテンションになりすぎた分、体が疲れているか休養しているだけ」と言い張りますが、実際は自分でも不安になり、ネットで病気をしらべたり、以前から通っている心療内科にかかったりしたようです。 彼は高校時代と、20代に、二度ほど失恋をきっかけに半年ほど引きこもっています。 本人はうつ病になりやすいと自覚しているため、苦しくなると、病院で薬をもらうようです。 その病気のせいなのか、」考えすぎる性格のせいなのか、一度も結婚していません。結婚に自信がないといつも言っています。ですが、私に限っては、子供もいますが、真剣に結婚したいと思ったと話してくれました。 今は、落ち着いているときにいろいろな話をします。結婚のことは口にしませんが、ずっと好きでいてほしい。ずっとお互いに思いあっていたい、という話をよくします。 私は彼にちゃんとした病院にいってほしいと思っていますが、彼は「大丈夫。心配しないで。今度テンションがあがっても、やりすぎないようにセーブするから。ちゃんと早く元気になるから」と言います。 今後、私はどうしたらいいのでしょうか? 子供もいるので、ずっと一緒にいるわけにもいきません。ちゃんと病気を治してほしいと思っています。
林:
現在交際中の彼(40代後半)が双極性障害(躁うつ病)ではないかと疑っています。
双極性障害(躁うつ病)であることは間違いないと思います。精神科での治療が必要です。
というのも、半年前からお付き合いが始まったのですが、・一日2〜3時間の睡眠で活動的に動き回る・新車を2台購入、新築マンションの購入を即決で行う・一日中しゃべりまくる・自分は神から使命を与えられた特別な人間だと吹聴する・アイデアが次々とうかんで、脳みそがよく回転してとまらない、などと言う・ほんの些細な事で部下を怒鳴り散らす・運転中、前の車を執拗にあおる・自分を否定されると突然怒鳴る、1時間怒鳴り続ける・私に対しての異常なまでの愛情を注ぐ など、4ヶ月間、このような状態が続きました。
典型的な躁状態です。これだけを見ても双極性障害にほぼ間違いないと言えますが、さらに、
私は付き合う以前の彼をあまりよく知らないのですが、本来は口数も少なく、繊細で神経質、謙虚でおとなしい性格のようです。
このように、躁状態が本来の性格とは明らかに異質であることが確認できた時点で診断は確定できると言えます。
以前から私に好意をよせていたようで、私と付き合うことになってから、急激に性格が変わったと、周りは言います。
双極性障害の病相(躁状態またはうつ状態)は、このように、何らかの出来事きっかけに出現することがしばしばあります。良い出来事があれば躁状態に、悪い出来事があればうつ状態になるとは限りません。出来事とは逆の形になることもしばしばあります。
ですが、4ヶ月が過ぎたころから、よく背中が痛む、頭が痛い、と言い出し、元気のない日がつづきました。突然泣いたり、朝は全く起きられない日が続く。私以外の人と会おうとしない。話もしようとしない。ご飯も食べない状態が続きました。
うつ病相の出現です。朝に特に重いというのも典型的です。
実は私には子供が2人いて、お付き合いを始めた頃からずっと、「俺が父親になってやる」「世界で一番幸せになれる」「世の中はみんな俺たちの味方だ」「幸せになってみんなを見返してやれ」「こんなに金運のいい男と結婚できるお前は幸せだ」などど、かなり自信過剰な人だったのですが、
躁状態です。
4、5ヶ月目には、「子供を育てるのは無理かもしれない」「みんなに心配かけて幸せにはなれない」「子供がなつかない、ショックだ」とかなり落ち込んだ様子を見せるようになりました。 声も小さくなり、出かけるのを嫌がるようになり、子供の声が聞こえると胸がざわざわするようです。
うつ状態です。
5ヶ月目(今から1ヶ月前)に入り、少し体調もよくなったのか、外食したり、笑顔で話したりできるようになりましたが、それでも朝一番には不快感が強いらしく、お昼過ぎまで起きられないようです。
若干改善してきていますが、まだうつ状態であると見るべきでしょう。改善してきても、朝の不調が長引くというのも典型的です。
今現在もお付き合いが続いていますが、私がそばにいて支えてあげることが今の彼の心のより所になっているようです。
その通りだと思います。この方にとって、質問者と出逢えたことは人生最大の僥倖かもしれません。
ですが、私は彼の将来を考え、病気を治してほしいのです。
当然です。彼にとっては、質問者と出逢えたことによって、そのチャンスが訪れたと言えるでしょう。
彼は、「俺は躁うつ病じゃない。ちょっと久々の恋愛に舞い上がってやりすぎてしまっただけで、正常だから。今は、ハイテンションになりすぎた分、体が疲れているか休養しているだけ」と言い張ります
双極性障害の人の典型的な発言です。
実際は自分でも不安になり、ネットで病気をしらべたり、以前から通っている心療内科にかかったりしたようです。
発言とは裏腹に、ある程度までは病識があると言えるでしょう。つまり、適切な治療を開始できるチャンスは十分にあるということです。
彼は高校時代と、20代に、二度ほど失恋をきっかけに半年ほど引きこもっています。
双極性障害の人によくお話をお聴きすると、このように、かなり若い頃に、うつ状態(または躁状態)と思われる時期があったことがわかることは少なからずあります。但しそのうつ状態(躁状態)は、双極性障害の診断基準を満たすまでのレベルのものではなく、いわば不全型とでも言うべきエピソードです。けれども診断基準とはそもそもが表面的な症状の記述だけに基づく暫定的なものにすぎませんから、純粋に医学生物学的な観点からは、この若い頃のエピソードは双極性障害の発症であるとして差し支えないでしょう。
結婚に自信がないといつも言っています。ですが、私に限っては、子供もいますが、真剣に結婚したいと思ったと話してくれました。 今は、落ち着いているときにいろいろな話をします。結婚のことは口にしませんが、ずっと好きでいてほしい。ずっとお互いに思いあっていたい、という話をよくします。
そのためには今なにをすべきか。是非そこまで話し合ってください。
私は彼にちゃんとした病院にいってほしいと思っていますが、彼は「大丈夫。心配しないで。今度テンションがあがっても、やりすぎないようにセーブするから。ちゃんと早く元気になるから」と言います。
無理です。セーブなどできるはずがありません。治療を受けない限りは。
今後、私はどうしたらいいのでしょうか?
彼に精神科で治療を受けさせてあげてください。そうすればお二人の未来は幸福なものになるでしょう。治療を受けなければ破綻するでしょう。双極性障害の人は、うつ状態については治療を受けたいと思っていても、躁状態についてはそうでないことが多いものです。
今度テンションがあがっても、やりすぎないようにセーブするから。
という認識は双極性障害の人に典型的なものです。そして治療を受けないままに次の躁状態が来ます。そして破滅します。次の躁状態では運良く破滅に至らなくても、何回目かの躁状態で破滅します。治療を受けずに何とかするのは無理という事実を認識させてあげてください。あなたならそれができると思います。
(2016.10.5.)