【3230】妻の自殺行為は薬の副作用だったのでしょうか
Q: 私は30代男性です。30代の妻について質問です。私との結婚は8年前です。
妻は幼少期に性的暴行を受けました。父親は薬物の取締りで逮捕され母親は離婚後、偏った宗教に心酔している夫(父親)と再婚。意味不明な引越しを5~6回繰り返し学校にも馴染めず「いじめ」の仕打ちを受け「不登校」にもなりました。そんな事もありPTSDとも診断されました。そんな事情をほぼ結婚前から知っていましたが目立って精神的な異常行動はそれまで見られませんでした。
ところが出産後まもなくから妻は朝起きられなくなる日が続きましたので、初めて近所のクリニックを受診したところ、うつ病と診断され、ジェイゾロフトを処方されました。うつ病の知識も何もない私は動けない妻を目の当たりにし不安を抱えたまま次回の診療まで1週間待ちました。1週間ごとにジェイゾロフトを1錠ずつ増やしました。(この増やし方はのちに理解しました)1ヶ月がすぎこの病院が都合で閉院となってしまい、また近所にある別の「クリニック」へ伺いました。抗うつ薬はジェイゾロフトから1年経ちサインバルタに変わりました。途中ジプレキサ、トレドミン、レンドルミン、リーゼ、ソラナックス、リスパダール、メイラックス、リボトリール、スルピリド、レキソタンなど沢山の薬が約2年間の間に処方されました。多いときには7~8種類一度に処方されました。
勝手かもしれませんが妻は通院前は「起きられない」という症状で通院しはじめてから初期は目眩や幻覚みたいなものや悪夢といった症状からはじまりだんだんエスカレートしていき腕を刃物で100箇所以上切り刻んだりタオルなどで首をしめたり走行している車に突っ込んだりビルの屋上に登ったりの自殺行為をするようになりました。また大きな声で叫んだり家の壁を破壊したりと幼い子供たちは恐怖で家の隅で震えていました。 妻の症状は良い時(普通)と悪い時の典型的な波があり会話ができるときに治療について朝方まで話したりしました。その当時、1週間のうちほぼ丸2日は寝込んでおり、あとの日も寝たり起きたりの日々でした。話し合いの結論として本人の意思を可能な限り尊重して薬を減薬⇒断薬という道を選択しました。その時処方されていたのはサインバルタで、まずは減薬。そして最終的には「薬なし」との事です。本人も納得し私も覚悟をしました。断薬直後から離脱症状とみられる苦しみが本人を襲い約1週間もがきました。その後1週間は半身がマヒの状態で苦しみましたが日に日に改善しその後はゆっくりとではありますが通常の主婦業をこなすようになりました。断薬後は一度もイライラすることもなく朝も毎日起き、夜まで寝込むことなく楽しそうに子供と遊びながら生活してまるで『別人』のようです。かなり落着いてます。その状態がもう2ヶ月になります。 しばしば抗うつ薬は処方を誤ると『死』の危険性もありうると聞く事がありますが妻も自殺をギリギリで発見し食い止めたケースが何度もあり死んでいてもおかしくない状況でした。薬を飲んでいた時の状態、現在の状態、を比較して 薬の量、種類は正しかったのか? と疑問に思わざるを得ません。まだ断薬後2ヶ月程度ではありますが先日この状況を担当医に聞いてみたところ自殺行為などの奇行は薬でなく病気のせいであると断言。ご意見を頂戴したく質問させていただきました。 余談ではありますがこの先生はとても親身になってくれる方で辛いときはいつでも相談にのっていただき何度も救われました。でもあの「辛いとき」 は薬が作り出したものだとすると・・・。 乱文お許し下さい。
林:
腕を刃物で100箇所以上切り刻んだりタオルなどで首をしめたり走行している車に突っ込んだりビルの屋上に登ったりの自殺行為をするようになりました。また大きな声で叫んだり家の壁を破壊したり
これは、病気の症状と薬の副作用のどちらも考えられると思います。落ち着いているといってもまだ2ヶ月とのこと、今後慎重に経過をみることが必要でしょう。
薬を飲んでいた時の状態、現在の状態、を比較して 薬の量、種類は正しかったのか? と疑問に思わざるを得ません。
その疑問はこの経過からみればもっともではありますし、
途中ジプレキサ、トレドミン、レンドルミン、リーゼ、ソラナックス、リスパダール、メイラックス、リボトリール、スルピリド、レキソタンなど沢山の薬が約2年間の間に処方されました。多いときには7~8種類一度に処方されました。
このように多種類の薬を同時に処方することは一般論から言えば望ましくありません。
しかしそれは一般論であって、実際のケースでは症状に基づき、そのようにしなければならないこともあり得ますので、この処方が適切か不適切かは判断できません。そもそもこのケースでは症状の記載が非常に抽象的ですので、いかなる処方についても、それが適切か不適切かは判断できません。このメールのように、薬を飲んでいる時の症状のみが具体的に記されていれば、それは薬の副作用ではないかという印象が生まれますが、その印象は記載されている情報の偏りから生まれるもので、客観的な判断とは異なります。質問者自身が薬について疑問をお持ちであることによって、記載に偏りが生じていることも考慮しなければならないでしょう。
なお、回答の冒頭、「病気の症状と薬の副作用のどちらも考えられる」 といっても、それは文字通り「考えられる」であって、確率的には病気の症状の可能性のほうがはるかに高いですし、そもそもがこのメールの記載のみからの判断にすぎません。
実際には当然にこの記載以外の具体的な事実があるわけですので、主治医の先生が
自殺行為などの奇行は薬でなく病気のせいである
とおっしゃる以上は、そう判断される根拠があるはずですので、薬の副作用である可能性はきわめて低いと考えるべきでしょう。
(2016.6.5.)