【3254】保護者と学校側の理解の重要さを実感しました(【2673】【2778】のその後)
Q:【2673】嘘をついて支離滅裂な言動をする高校生と病院の対応について
【2778】林先生の回答に納得しましたが、やるせない気持ちが残ります
の質問者である高校の教員(40代男性)です。その節はご丁寧な回答をいただき、ありがとうございました。
当時、私のクラスの男子生徒Aについて質問をしましたが、先日卒業を迎えたため、ご連絡させていただきます。
その後のAの生活態度としては、クラスが少し賑やかになると「うるさい死ね」と周囲に聞こえるように呟いたり、気に入らない教科担当者に「教師として終わってる」「マジでカス」と罵ったり、触れられたくないワード(例えばあだ名など)を耳にすると「あいつら全員ぶっ殺す」と身を震わせながら怒ったりと、随所において幼さや口の悪さが目立ちました。また、服装や言葉遣いなど、好きなアニメの登場人物になりきるかのような奇抜な素振りが見られました。進路活動の際は、明らかに手の届かない有名大学を強引に受験し、不合格となり、浪人することになりました。
こういった様子から、Aに友人は出来ず、いつも1人で過ごしていました。幸いクラスメイトも、あまり相手にせず、何か言われても聞き流すようになったため、いじめなどに発展することはありませんでした。
密接な人間関係を築いていないことから、1年次のように、虚言をばら撒いたり、大声を上げて暴れたりするような場面にも遭遇しませんでした。
母親は精神科の受診を促されて以来、学校に対する不信感を抱いたようですが、それでも面談などは淡々と済ませ、日々の生活を送っていました。
卒業を迎えた今、3年間担任を務めた身としてほっとする気持ちはありますが、やはりこれから先、彼がどのような人生を歩んでいくか、非常に気になります。
保護者にもう少し理解していただき、適切な治療を受けさせることができたなら、 彼の今後も明るくなるのではないかと思い、それを促しきれなかった自分に対する不甲斐なさも多分にあります。しかし、それは単なる自己判断に過ぎないのかもしれないとも思います。
実は、Aとは別に、女子生徒Bのことも3年間受け持ったのですが、Bは高校2年次に統合失調症を発症し、活発だった学校生活が一転して、入退院を繰り返すようになりました。
たまに登校しても「男の声に死ねと言われる」などと言い、泣き出したり上の空になったり倒れたり、また衝動的な自殺願望が途絶えなかったりと、苦しい時期が続きました。
それでも保護者の献身的なサポートがあり、学校側も事情考慮の対象として欠席日数分を家庭訪問などで何とか対応し、また、クラスメイトもBの病気を受け入れて優しく温かく支える様子が見られ、先日、皆と一緒に卒業することができました。
もちろんAとBは病気の種類や程度が大きく異なるため比較になりませんが、まず何よりも保護者の理解と、それに伴う学校側の理解について、その重要性を改めて感じました。
林先生にご報告すると共に、ひとつの事例として多くの方に知っていただければと思い、ご連絡させていただきました。
林: その後の経過、及び、さらなるご経験をご報告いただきありがとうございました。貴重な事例として承りました。感謝申し上げます。
(2016.8.5.)