【3147】隠しカメラがある等と言いだした息子は統合失調症でしょうか

Q: 高1の男の子の母です。学校や家に隠しカメラがある等と言いだし先月に初めてクリニックに行きました。
医師はまだ病名は分からないと言われていますが統合失調症の可能性が高いと思っているような感じです。

最初、リスパダールを0.5mg処方されましたが、私達を本当の親でないとか神様の存在の話ばかりしだし妄想が激しくなりすぐにジプレキサ2.5mgの半分を処方されて2週間位になります。

薬を飲み出して頭がぼーっとしてきたと言って一日中口を開けてぼーっとしています。
薬を飲むまではかなり勉強も出来る子供でしたので塾や大学合格のサイトを見てはいるけれども集中力が続かず辛いと言います。

また、自分でインターネットで調べて症状が統合失調症と思うと言ってきました。また、薬を飲んでから喜怒哀楽が無くなったとも言っています。

子供には薬のせいではなく病気のせいなので薬は飲むように言っていますので飲んでいます。
妄想は軽くなっているとは思いますが益々ぼーっとしてきたと思います。先生は薬は少量しか出していないので薬の影響ではないと言います。

少し気になっているのが、発達障害の可能性もあるのではないかということです。
勉強はできますが、それ以外の常識的な事が何となくできなくて、よく『勉強だけでは社会に出てから困るよ』と注意をしてきました。
また、2、3歳の頃は遊びに行ったら絶対に弁当箱を手放さないとか小学生の頃は友達が遊びに来ても石を磨いている(お気に入りの鉱石を持っていました)ので遊ばない、朝どんなに早く起きても7時にご飯を食べるのが健康にいいと言って食べない等とちょっとした違和感のようなものを感じてました。違和感については先生に話していません。

先生は統合失調症の可能性が高いと思われますか?

 
林: 統合失調症 の可能性が高いと思います。

学校や家に隠しカメラがある等と言いだし

統合失調症の初期、または前駆期として、非常によく見られる典型的な症状です。
もっともこれだけではまだ単なる勘繰りと解釈する余地がありますが、

私達を本当の親でないとか神様の存在の話ばかりしだし

このようなことが続いて見られたことからすると、統合失調症であることはほぼ確実です。

薬を飲み出して頭がぼーっとしてきたと言って一日中口を開けてぼーっとしています。 薬を飲むまではかなり勉強も出来る子供でしたので塾や大学合格のサイトを見てはいるけれども集中力が続かず辛いと言います。

この状態は、統合失調症の症状という要素と、薬の副作用という要素の両方が関与していると考えられます。
口を空けてぼーっとしている」様子を直接観察しないと何とも言えませんが、この部分に関しては薬の副作用の要素のほうがおそらく大きいでしょう。

また、自分でインターネットで調べて症状が統合失調症と思うと言ってきました。また、薬を飲んでから喜怒哀楽が無くなったとも言っています。

この「喜怒哀楽が無くなった」も、統合失調症の症状という要素と、薬の副作用という要素の両方が関与していると考えられます。
こういう場合に非常によくある誤解は、「薬を飲んでから」始まった症状なのだから、薬が原因に違いない と推測することです。この経過はより冷静かつ客観的に見れば、「病気が発症し、薬を飲み始めた」という事象が起きた後に生まれた事象ですから、原因としては(1)病気の症状 (2)薬の副作用 の両方が考えられることになります。にもかかわらず、(2)薬の副作用 に違いないと考えるのは、非論理的な推論です。たとえばインフルエンザと診断され、薬を飲み始めたが、その後も熱が上がってきたとします。この場合、第一に考えられるのはインフルエンザによる発熱で、薬がまだ十分に有効でないため病気が進んでいる、という推論であって、薬を飲んだことによって熱が出た という推論は、あり得ないことではありませんが、第一に考えるべきことではありません。精神の病でも全く同じ論理が適用されるはずですが、多くの人々は話が精神のこととなると非論理的な考えに陥るものです。

それはそうと、この【3147】のケースに今みられている症状は、上記の通り、統合失調症の症状という要素と、薬の副作用という要素の両方が関与していると考えられます。
ですから、

 子供には薬のせいではなく病気のせいなので薬は飲むように言っていますので飲んでいます。

これは、「薬を飲むように」という結論は正しいですが、「薬のせいではなく病気のせい」とは言い切れません。というより、薬のせいもあると考えるのが妥当でしょう。

 妄想は軽くなっているとは思いますが益々ぼーっとしてきたと思います。先生は薬は少量しか出していないので薬の影響ではないと言います。

この医師の説明も、本当は正しくありません。薬の影響もあるでしょう。
けれども、たとえ薬の影響があっても、「薬は少量しか出していないので薬の影響ではない」という説明をすること自体は正しいと思います。
また、親である質問者が「薬のせいではなく病気のせい」という説明をすること自体は正しいと思います。
なぜなら、この【3147】のケースは統合失調症であって、今は薬を飲むということが必ず必要な治療で、そしてこの時期には本人(も家族も)は薬に懐疑的になって飲まず、結果として病気がどんどん悪化することが非常によくあるからです。
この時期に、たとえば親が「それは薬のせいだ」と言って薬をやめさせるのはよくあることで、多くは悲惨な結末になります。また、医師が「薬のせいも一部はある」と説明したために本人が薬を減らしたりやめたりするのもよくあることで、これもやはり悲惨な結末になります。
そういう事態を避けるためには、「薬のせいではなく病気のせい」「薬は少量しか出していないので薬の影響ではない」という説明をすること自体は正しいと思います。

但し精神科Q&Aは、人を助けるためのものではなく、単に事実を伝えるものですから、そのような説明はいたしません

なお、

少し気になっているのが、発達障害の可能性もあるのではないかということです。

これについては、このメールに記載されている内容だけからは判断できません。
ただ言えるのは、発達障害の可能性の有無にかかわらず、いま必要なのは統合失調症の治療だということです。

(2016.2.5.)

05. 2月 2016 by Hayashi
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