【3070】解離のような症状があるようですが、これが解離の症状なのか正常の範囲なのかわかりません
Q: 私は現在21歳の女性で、16歳のころから起立性低血圧障害と社会不安障害、うつ病?(後者は当時、私にははっきりと言われませんでした)で心療内科に通院していました。現在は大学に進学し、親元を離れていますが、引っ越した後も薬は16歳からほぼ変わっていません。ジヒデルゴットとフルボキサミンで、量が少し増えたり、不眠気味の時に頓服をもらったりしていました。
特になにが、というよりも、大学寮に住んでいますので、一人部屋とはいえ全く人と関わらないでいることができないし、教室に入ったりゼミで発言すること、外に出ること自体が精神的に辛いこともありましたがなんとか進級していました。しかし、1カ月前に大学である問題を起こしてしまい(詳しくは下に別途まとめて書かせていただきます)、とにかく一人で生活するのは危ないということで今は実家に帰っています。身の回りのことが少しずつできるようになってきましたので、解離について調べていましたところ、林先生のQ&Aを拝見して、自分と似たケースが複数あり、驚いています。
例えば、
(1) 【3031】空想の幻が止まらなくなります 『小さな生き物のような何かが箪笥の隙間で動いている(基本的に人型のものはあっても人間は見えません)勿論これらは実際に見えているわけではなく、普通の目の他に目の奥にもう一つの目があって、その目で見ると実際に見ている風景に空想が上書きされて脳裏に浮かぶといった感じです』
→棚の隙間、通り過ぎたあと、一瞬後ろにいるというような、視界の隅に映るようなかんじで、人型のようなものが見える。自分より後ろにいることが多い。普通の目の奥にもう一つ目がある感覚も同じです。
(2) 自分を外から見ることができる。斜め上や、後姿、正面からみるかんじ。
自分がいる地点と視点を切り離す/切り離される、幽体離脱のような状態は昔からある気がします。過去の記憶が、自分の目ではなく部屋の上の方や、自分を正面から見た映像としての記憶されていることは多々あります。ダンスを習っていた時は特に、自由に場所を移動して、いろいろな位置から自分を眺め、もっとこうした方がいいなどと指示を出す自分と、その指示を受け取って体を動かす自分がいたことを自覚しています。
(3) 突っ込みの声が聞こえる。特に、文章を書くとき、物を考えるとき(授業中やゼミ中など抽象度の高いことを考えていることが多い)などが多いというか、強く自覚します。私が考えていることに対して、「逆に言うと」「過去の例、前に読んだ本ではこんなことがあった」「まて、その論理には穴があるぞ」と訂正してきます。議論中などは思考も発言も同時進行になってしまうので、自分でも何を言っているのかわからなくなることがあります。文章を書いたあと、もう一度客観的な目で読み直して推敲する、というのは学校で指導されると思いますが、私の場合、このように突っ込みというか、同時進行で進んでいきます。自分の考えと推敲が頭の中で、別々に、同時に進んでいます。一通り書き上げて目を通すと、より良くするために、はじめとは、ほかの部分の議論というか、突っ込みが入ります。文章の同じ個所ならよいのですが、同時に別々の場所を指摘される(気になり始める)と、とても気がめいって疲れてしまいます。文章が完成するまで頭の中の議論は続きます。今もそうです。
(4) 【2893】音に過敏、嫌な記憶が蘇る、悪夢
『6』記憶の曖昧さ。大学生の時に複数の人から指摘されるまで、大して気にしていなかった。夏休みや春休み明けに、休み中に何をしていたか聞かれて全く答えられず、高校以前の事も殆ど覚えていない、「昨日○○にいたよね」と言われてきょとんとしているなどがおかしいと言われた。気をつけてみると、いつの間にか夜になっていてその日登校したのかどうか分からない事や、食べた覚えがないのにおやつが減っている』
→高校以前のことは覚えていますが、それ以外は全く同じです。物をよくなくす、食べ物が無くなることは元々ありましたが、一人暮らしをしてから、その物を動かしうるのは私だけですから、記憶が曖昧であることがあると気付きました。
(5) 春ころから、調子が良くなくなってきてからは、幻聴のようなものが聞こえるようになりました。電波の悪いラジオのような、こもったような人の声や会話であることはかろうじてわかるような幻聴です。寮生かと思って、声を潜めてもらおうとして廊下に出ても誰もいません。隣は空室なので、空耳かと思いますが長々と続きます。
(6) 【2893】音に過敏、嫌な記憶が蘇る、悪夢 『5』4、5年前から:悪夢。いじめの夢を繰り返し見る。体の痛みや恐怖感がリアルで、夢の内容を日中まで引きずって落ち込んだり苛立ったり。熟睡感がないせいか、昼間ボーっとして現実感がなくなる。』
→最近、実家に帰ってきてから、夜中、男の人?が部屋に入ってきて体触ろうとしている悪夢をくりかえしみる。夏ですが、肌を露出するのがなんとなくいやで、夜も昼も長そでを着るかバスタオルにくるまっています。
(7) 大学の授業中、教室にいるのがつらくなってトイレで休んでいるうちに数時間たってしまう。
(8) 春休みくらいから日付感覚がなく、気がついたら何日か経過していることがありました。寝すぎているのかもしれませんが、アルバイトを決まった曜日、時間に入れているのに、わからなくなるので、やはり日付感覚がないに近いです。
というようなことです。
さて、はじめに書きました問題というのは次のようなことです。
先月の下旬、大学の実験室での実習中に、学生には厳しく禁じられていることをしてしまったそうなのですが、全く覚えていないのです。前のコマの時間まで、学内の空き教室で勉強していたのは覚えています。どうやら、実習中のその行為が発覚した時点で教室からだされて、実習時間終了後に戻ってくるように言われたようです。私が気がついたのは実験教室近くのトイレの中で、気がついたら実習が終わっている時間だったので、トイレで寝てしまったのかと思いました。(授業中大学にいるときにトイレで寝てしまうことが4月ころから多かったので)あわてて出たところで、先生に声をかけられました。(先生からしたら、実習時間後に指示通り実験室に戻ってきたと思ったのだと思います)。この数日後、1日半〜2日くらい、遁走?してしまったそうで、警察にお世話になりました。もちろん大学が休みだったわけではありませんし、バイトも無断欠勤になってしまっていたので、行方がわからなことをすぐに問題化してくれていました。実家のある関西から東京まで、新幹線で母が来てくれました。ふらっと実家に帰ってくるかもしれないということで、父も仕事を休んで家にいてくれました。それ以前から実習を欠席したりしていて(その日が実習だと分かりませんでした)調子が良くなかったのでは、ということで、実習中の行為の処分については、いったん私の状態が落ち着くことと、医師の診断が必要だということで待ってくれています。
たとえば、「うつ」というのは、「うつ病」という病気の意味だけでなく、単純に落ち込むという気分や感情を指す言葉でもあります。「眠れない」というのもイベント事の前日に興奮して眠れないことも、正常な人間の生活の営みでありえることです。病気で治療中であるときはもちろん、体調不良や近況報告の一環として伝えるべきだとわかります。しかし、私は上記のこと、特に(1)〜(3)についてはみな同じ感覚を持っているものだと思っていたので、十分条件としてだとしても、それが病気の症状に当てはまりうるものだということに、正直動揺しています。病院(4)〜(8)のことを伝えようとしたのですが、いつも混んでいるので、言い出せずに終わってしまっていましたが、疲れからくるものでたいしたことがないと思って特に重要視もしていませんでした。
[質問]私のこのような状態は、解離といえるものか、もしくは抑うつ状態からくるものなのでしょうか。また、(1)〜(8)のようなことを、主治医に言うべきでしょうか。
あまり、調子がよくなく、文章に集中できないうえに、自分でもなにがあったのかよくわかっておらず、周りから聞いたことが混ざってしまって、文章がまとまっていないかもしれません。すみません。長くなってしまって申し訳ありませんが、ご回答いただけたら幸いです。よろしくお願いします。
林: あなたは解離性障害です。
ご自身が、他の方の解離の症状によく似ていると気づかれているとおり、ここに書かれている(1)から(8)はすべて解離の症状です。
(1)
→棚の隙間、通り過ぎたあと、一瞬後ろにいるというような、視界の隅に映るようなかんじで、人型のようなものが見える。自分より後ろにいることが多い。普通の目の奥にもう一つ目がある感覚も同じです。
一種の幻視です。解離の症状としてよくある幻視に一致しています。(2) 自分を外から見ることができる。斜め上や、後姿、正面からみるかんじ。
自分がいる地点と視点を切り離す/切り離される、幽体離脱のような状態は昔からある気がします。過去の記憶が、自分の目ではなく部屋の上の方や、自分を正面から見た映像としての記憶されていることは多々あります。ダンスを習っていた時は特に、自由に場所を移動して、いろいろな位置から自分を眺め、もっとこうした方がいいなどと指示を出す自分と、その指示を受け取って体を動かす自分がいたことを自覚しています。
まさに幽体離脱と呼ばれる症状です。幽体離脱というとオカルトのようですが、これも解離に典型的なものです。
(3) 突っ込みの声が聞こえる。
(5) 調子が良くなくなってきてからは、幻聴のようなものが聞こえるようになりました。
幻聴です。解離の症状として矛盾はありません。
(3)と(5)に書かれている幻聴の性質だけからは、統合失調症も疑われますが、(3)(5)以外の症状とあわせれば、解離の症状としての幻聴であるとかなり明快に診断できます。(もし(3)(5)の症状の情報だけしかなかった場合は、統合失調症か解離性障害かの判定はかなり難しいでしょう)
(4)
高校以前のことは覚えていますが、それ以外は全く同じです。物をよくなくす、食べ物が無くなることは元々ありましたが、一人暮らしをしてから、その物を動かしうるのは私だけですから、記憶が曖昧であることがあると気付きました。
解離性の記憶障害です。
(6)
→最近、実家に帰ってきてから、夜中、男の人?が部屋に入ってきて体触ろうとしている悪夢をくりかえしみる。夏ですが、肌を露出するのがなんとなくいやで、夜も昼も長そでを着るかバスタオルにくるまっています。
このような夢も、解離性障害ではよく見られます。肌のこととあわせ、【3070】のケースの解離性障害の背景にある過去の事実を示唆するものであると解釈することもできます。
(7) 大学の授業中、教室にいるのがつらくなってトイレで休んでいるうちに数時間たってしまう。
これについては情報不足でわかりませんが、「数時間たってしまう」というのが、その間の記憶がない という意味でしたら、解離の症状であると言えます。
(8) 春休みくらいから日付感覚がなく、気がついたら何日か経過していることがありました。寝すぎているのかもしれませんが、アルバイトを決まった曜日、時間に入れているのに、わからなくなるので、やはり日付感覚がないに近いです。
解離の症状です。解離性健忘に近縁のものといえます。
そして、今回のご質問のポイントである、大学での実習中の出来事も、解離性障害の症状であることは確実だと思います。
[質問]私のこのような状態は、解離といえるものか、もしくは抑うつ状態からくるものなのでしょうか。
解離です。抑うつ状態については、そもそもこの【3070】の「抑うつ状態」がいかなるものなのか(抑うつ状態であるかないかも含め)不明ですので回答できません。また、抑うつ状態「からくる」は曖昧な表現で、何を意味しているのか不明です。(医師もよく「からくる」という説明をすることがありますので、ここで質問者がこのような表現をしておられるのはやむを得ないですが)
また、(1)〜(8)のようなことを、主治医に言うべきでしょうか。
もちろんお伝えしてください。
実習中の行為の処分については、いったん私の状態が落ち着くことと、医師の診断が必要だということで待ってくれています。
正確な診断書を発行していただくためにも、(1)〜(8)をお伝えすることは必須です。
(2015.10.5.)