【2999】解離性同一性障害との診断の是非についてと自傷行為の今後について
Q: 30代女性です。病院で解離性同一性障害と診断されました。
過去の記憶が不自然に消失していることと、情報として知っていた暴力系の虐待の経験、生育過程での母親からの精神的抑圧から解離性障害が疑われました。
そして入院治療中、心の奥へ潜っていくと別人がいることに気づき、それが人格と呼べるレベルの別人であると判断され、解離性同一性障害と診断されました。
ただ、人格交代は非常に稀で、確認できたのは数回です。
このように人格交代が稀でも解離性同一性障害と診断されるものか疑問に思っています。
また、EMDRという治療を受け、全く覚えのない性的虐待や殺人未遂被害の記憶が掘り起こされました。
私には掘り起こされた記憶が事実とは到底思えず、しかし事実であろうとなかろうとそれが苦しみになっているのならとEMDRを続け、それら記憶には恐怖を抱かなくなりました。
そこまで来ても、やはりそれら記憶を疑う気持ちは晴れず、自分を疑う日々です。
そのような治療過程を経て、一通りEMDRの治療は行ったかな、という状態なのですが、解離性障害と疑われる前からあった摂食障害(過食および普通食嘔吐)と自傷行為が止まりません。
自傷行為はエスカレートし、アームカットから瀉血にまで変化しています。
そこで質問です。
1.今の私の状態は解離性同一性障害と呼んでいいものでしょうか。
2.掘り起こされた記憶を信じていいものでしょうか。
3.摂食障害および自傷行為は今後治まる見込みはあるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。
林:
1.今の私の状態は解離性同一性障害と呼んでいいものでしょうか。
わかりません。しかし、どちらでも構わないと思います。
人格交代は非常に稀で、確認できたのは数回です。
このことから、解離性同一性障害に特徴的な症状があることは確かです。
このように人格交代が稀でも解離性同一性障害と診断されるものか疑問に思っています。
その疑問はもっともです。その症状による苦痛や問題がなければ、障害と診断する必要はないでしょう。(この【2999】の質問者は、その症状による苦痛はないと思われます。しかし自覚していない問題が実はある可能性もあり、そうであれば解離性同一性障害という診断になります)
2.掘り起こされた記憶を信じていいものでしょうか。
わかりません。偽記憶ということも考えられます。【0276】私は本当に虐待されたのでしょうか、 【1110】PTSDの原因としてのトラウマが「なかった」とは?、【1945】カウンセリングの過程で、幼い日の記憶が蘇ったなどをご参照ください。
3.摂食障害および自傷行為は今後治まる見込みはあるのでしょうか。
あると思います。
(2015.7.5.)