【2945】統合失調症の娘が再発してから投薬拒否、どうすればよいか‏

Q: 私は50代男性です。娘のことで質問させていただきます。18歳に発症し、5年間投薬治療を続け、回復し、社会人となりかねてから自立を望み、一人暮らしを始めたが、職場での通常業務についていけず、知り合った男性に失恋し、連絡もせずにマンションを引き払い、違う土地へ親戚を頼り保証人になってもらい移り住みました。当然、親戚からは連絡が入り、「親が自立を阻んではいけない」といわれ、不安ながら一つの賭けのような気持ちで承諾をしてしまいました。最初は元気に直ぐに職を見つけましたが、あとから知ったことですが、就職または彼氏ができたころから自ら診療と投薬を絶ち移住してしまったようで、新しい職場でもしばらくすると体調が悪くなり続けることはできなくなりました。その後、親戚の勧めで、近所にある精神科に通うことを条件に実家に帰ることを拒否しているのを認めていますが、デイケアには行っていますが、投薬は相変わらず拒否しています。どんどん症状は悪化し、18歳当時の急性期に戻ってしまっています。まだ、多少は自分のことはできるようですが食事もデイケアででるので何とか生きていくことはできているのですが、最近痩せてきてご飯の摂取量をチェックしていただくことになってしまい、メールも電話も訪ねていっても拒否され、会うことも話すこともできず、病院に様子を聞いたり、親戚経由で最低限のことを聞くことができるだけです。この先、どのようにしていいのか途方に暮れています。主治医は強制的に実家に帰っても、かえって途中でいなくなるとか自殺の恐れもあるし、投薬を強制はできないので、完全に悪くなれば強制入院の道があるが、しばらくはデイケアで様子見といっています。しかしながら、自宅で回復したように家族の元でなんとか、元の娘を取り戻したいのです。妻も何度も住まいを訪れましたが応答拒否、荷物を送っても送り返す。どうしていいか、相談する相手もなくここにたどり着きました。
少しでもアドバイスをいただけたらと思っています。宜しくお願いします。

 

林:

 18歳に発症し、5年間投薬治療を続け、回復し、社会人となりかねてから自立を望み、一人暮らしを始めたが、職場での通常業務についていけず、知り合った男性に失恋し、連絡もせずにマンションを引き払い、違う土地へ親戚を頼り保証人になってもらい移り住みました。

その時点での病状が不明ですが、かなり危険な流れであると言えます。失恋のようなストレスで統合失調症が再燃することはしばしばあるところ、さらに新たな環境に移り住むということが加われば、再燃のおそれはきわめて高いと言えます。

当然、親戚からは連絡が入り、「親が自立を阻んではいけない」といわれ、

その親戚の方の姿勢はかなり無責任です。おそらく統合失調症という病気についての知識がなかったのでしょう。

不安ながら一つの賭けのような気持ちで承諾をしてしまいました。

賭けにたとえれば、ほとんど勝ち目のない賭けだったと言えます。理由は上記の通りです。

最初は元気に直ぐに職を見つけましたが、あとから知ったことですが、就職または彼氏ができたころから自ら診療と投薬を絶ち移住してしまったようで、新しい職場でもしばらくすると体調が悪くなり続けることはできなくなりました。

非常によくあるパターンです。当然予測できたとことだと言えます。

その後、親戚の勧めで、近所にある精神科に通うことを条件に実家に帰ることを拒否しているのを認めていますが、

「親戚」なる人の見通しが甘すぎると思います。

デイケアには行っていますが、投薬は相変わらず拒否しています。どんどん症状は悪化し、18歳当時の急性期に戻ってしまっています。

投薬を拒否していれば当然です。

まだ、多少は自分のことはできるようですが食事もデイケアででるので何とか生きていくことはできているのですが、最近痩せてきてご飯の摂取量をチェックしていただくことになってしまい、メールも電話も訪ねていっても拒否され、会うことも話すこともできず、病院に様子を聞いたり、親戚経由で最低限のことを聞くことができるだけです。

悪化の一途をたどっています。

この先、どのようにしていいのか途方に暮れています。

お悩みはお察しいたしますが、この展開は充分に予想できたことです。

主治医は強制的に実家に帰っても、かえって途中でいなくなるとか自殺の恐れもあるし、投薬を強制はできないので、完全に悪くなれば強制入院の道があるが、しばらくはデイケアで様子見といっています。

主治医の先生の方針に従うのが最善でしょう。ここまで来てしまっては、やむを得ません。

しかしながら、自宅で回復したように家族の元でなんとか、元の娘を取り戻したいのです。

そのお気持ちはよくわかります。かえすがえすも、最初に親戚の方の言葉に従ったのが悔やまれるところです。繰り返しますが、この展開は充分に予想できたことです。

妻も何度も住まいを訪れましたが応答拒否、荷物を送っても送り返す。どうしていいか、相談する相手もなくここにたどり着きました。
少しでもアドバイスをいただけたらと思っています。

主治医の先生の方針に従うしかないでしょう。
今後、どこかの時点で強制入院の決定を迫られることになると思われます。その時の方針を明確に決めておくことが、今できることです。入院のチャンスが来たときに躊躇すれば、もう二回目のチャンスはないかもしれません。

(2015.4.5.)

05. 4月 2015 by Hayashi
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