【2878】記憶を都合のいいようにすり替える(?)上司に皆が振り回されている

Q: 私は20代女性です。
一緒に働いている上司(60代男性)が何でも自分の都合の良いように記憶をすり替えているようです。

例えば・・・

・手間の少ないA
・手間がかかるけど良い印象をもってもらえるB
どちらで対応するかを会議で話し合ったとします。

上司はA推しだったのですが他の職員から「それでは先方に失礼ではないか」と指摘され、しぶしぶBを選択することになったとします。

その会議直後に、上司自ら一番下の部下に「うちはAみたいな手抜きは許さない。丁寧にBで対応するから。」と、どや顔で指導しています。
会議で自分がA案をごりおししていたのは忘れているような寝返りぶりです。
指導されている本人も一緒に会議に出ていて、いきさつを知っているので反応に困っていました。

定年も近い上司なので単なる物忘れなのかと思っていましたが、一時が万事この調子です。

例のような、しょうもない事案ならまだ良いのですが特に困るのはクレームが入った時です。

上司は保身に走る傾向が強く、上の部署へは「本来なら、こういう対応をしなければならなかった」「こういう対応をしていれば良かった」という内容を本当はしていないのに、していたと報告します。
真実ではないのでクレームの相手は余計にお怒りになり、こじれます。

しかし時間が経つと上司の中では、言い訳を繰り返すうちに、自分の都合よくした言い訳の方が真実の記憶にすり替わっていっているようで「どうして自分が責められるのか?」と逆ギレし始め始末におえません。

これは性格なのでしょうか? それとも心の防衛機能で無意識に記憶をすり替えているのでしょうか? または解離性人格障害などの病気なのでしょうか?

人事は事を荒立てず定年まで後少しなので退職を待っているようですが、一緒に働く立場、しかも部下の身分なので振り回されて疲れてしまいます。

 

林:
しかし時間が経つと上司の中では、言い訳を繰り返すうちに、自分の都合よくした言い訳の方が真実の記憶にすり替わっていっているようで「どうして自分が責められるのか?」と逆ギレし始め始末におえません。

これは、病的な虚言者にしばしば認められる虚実の混乱にあたると言えるでしょう。(虚実の混乱は、虚言癖、嘘つきは病気かの中にまとめられている虚言キーワードの一つです)
この上司は病的な虚言者の範疇に入るとも考えられますが、以前からこのような言動が常態的に見られていたかどうかが、診断的には重要です。もし以前は見られておらず、ある程度高齢になってから見られたのであれば、認知症(またはその始まり)の一症状とも考えられます。
もし以前から見られていたのであれば、

これは性格なのでしょうか? それとも心の防衛機能で無意識に記憶をすり替えているのでしょうか? または解離性人格障害などの病気なのでしょうか?

この疑問はもっともですが、これら三つは重なっており、明確に区別することはできません。「防衛機能で無意識に記憶をすり替えている」とすれば、それは性格の範疇ともいえますし、人格障害の範疇ともいえます。

(2015.1.5.)

05. 1月 2015 by Hayashi
カテゴリー: パーソナリティ障害, 精神科Q&A, 虚言