【2711】自分が統合失調症かもしれないと疑うようになりました

Q: 10代女性です。自分は統合失調症などの障害を抱えているかもしれないと考え始めた理由は、文章を読む能力や、人の話を聞き、それを頭の中で整頓して理解することが昔に比べて苦手になってきたからです。文字を読もうとする時は、何だか目が滑るような感じがして頭の中に入ってこないんです。人の話を聞こうと意識しても、聞いた内容が頭で理解できません。それを文字にしてやっと理解が出来ます。(前述の内容と矛盾してしまってすみません) この文章を書いている今も、自分のこの悩みをどう言葉で表現すればいいのか分からなく、悩んでいます。文字処理能力が単に低いわけではないと思います。少し前は本を読むことが大好きで学校の図書室にある本をよく読み、楽しんでいました。ここ最近は内容が頭に入ってこず、本を読むことが、昔は好きだったはずなのに今は少し辛いです。 そして、これは自意識過剰と言われてしまうかもしれませんが、私のやるほとんどのことに対して、周りの人が見ている気がするんです。家族などの身内に対してそのような思いを抱く事はないのですが、クラスメイトが特にそのように感じることが多いです。そんなに自分は注目されるような人間じゃないと分かっていてもです。何か恥ずかしいことをやってしまったらどうしようと考えると、やりたいなと思ったこともやることができません。これは単にそうやって考えてしまう癖なのかもしれません。 それと、やる気が起きません。これも甘えと思われるかもしれませんが、やりたいと思っていても部屋の片付けや勉強を行動に移せずそんな自分にイライラしています。ですが、そう思っていてもやる気が起きません。 いくつも申し訳ないのですが、最後の一つです。時々誰かに見られているような気がします。ふとした時に、窓から誰かが見ているような気がします。その後確認をすると、当たり前ですが誰もいません。誰もいるわけないと思っていても気になってしょうがないです。 杞憂で終わればいいと思いますがとにかく、これは障害なのかそうではないのか、病院にお世話になることとなるのか自力で治せるものかが知りたいです。よろしくお願いします

 

林:
これは障害なのかそうではないのか、

何とも言えません。
おそらく統合失調症について本などでお読みになり、ご自分の体験が統合失調症の始まりに一致している点があると気づかれたのだと思います。その気づき自体は正しいです。
けれども他方、このメールに書かれているようなことは、程度の差はあれ、10代において多くの人が経験することでもあります。
つまり、統合失調症の前駆症状(または、初期症状)と、青少年一般の心性には、少なくとも外見上はかなりの共通点があるのです。(これに関しては 古谷実『ヒミズ』などを材料に、『名作マンガで精神医学』で論じてあります)

そういう難しさがあり、「何とも言えません」と答えざるを得ないとは言え、

私のやるほとんどのことに対して、周りの人が見ている気がするんです。

時々誰かに見られているような気がします。ふとした時に、窓から誰かが見ているような気がします。

こうしたことと、他の症状をあわせると、統合失調症の前駆期かもしれないと考えることもまた適切といえます。(特に後者の「窓から誰かが見ているような気がします」は、先の『ヒミズ』の主人公の体験を彷彿させるものです)

「統合失調症の前駆期かもしれないと考えること」を「精神科の受診が望ましい」に結びつけるまでには、【2007】【2072】統合失調症という事実などで解説した偽陽性問題のような複雑な問題がありますが、それでもこの【2711】のケースは、一度は受診してみることが望ましいといえると思います。

(2014.6.5.)

05. 6月 2014 by Hayashi
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