【4818】異常に偏執的で攻撃的になった友人のこと
Q: 私は40代女性、お尋ねしたいのは50代男性A氏のことになります。
A氏はネットを通して知り合った同じ趣味を持つ友人ですが、かれこれ20年近い付き合いになります。
この20年間、趣味の場などで会えば親しく話すが、それ以外では積極的に交流することはない、趣味友達によくある関係でした。
ふとコロナ禍以降A氏と話していないなと思ってSNSを覗いたところ、彼の大変な変わりように驚き、もしや病気なのではとメールさせていただいた次第です。
A氏の大きな変化としては、
・非常に攻撃的で偏執的になっている
・上記のような投稿を、毎日、高頻度で行っている
の二つになるかと思います。
少なくとも一昨年くらいからこの状態であることが確認できました。(それ以前の記録は消えているため不明です)
一つ目に関しては、現代の口語とも文語とも違う独特の文体で、支離滅裂な論理で他者を誹謗中傷したり、独自の見解を事実かのように書き連ねたりしています。
後でA氏の考えを覆すような証拠が示されても頑なに誤りを認めず、相手が呆れて議論から離脱した後も、執拗に追撃して自分の完勝だと喜んでいるような有様です。
一方で「誹謗中傷」や「デマの流布」という行為には正論で苦言を呈すなどしており、自分自身も普段同じようなことをしているという認識は欠落してしまっているようです。
二つ目は、上記のような投稿が一時間当たり数十件あり、これが昼夜問わず続いています。
自分に全く関係がなくとも、目に入った事件や揉め事に手あたり次第に噛みつき、それに当事者や第三者から反論が届き、それに反論し……ということを四六時中繰り返しているため、ネットから離れる時間がないのだと思います。
ネットという大勢の目に触れる場所でこのようなことを続けていますと、A氏の言動を転載して醜聞を広げる者、住所や職場を特定すると脅す者なども現れていますが、A氏はA氏でやれるものならやってみろと喧嘩を買ってしまうような危うい状態です。
A氏の誹謗中傷の被害者の中には、弁護士への相談を開始された方もいるそうです。
A氏は統合失調症などの病気なのでしょうか。
もしくは、まだ50代ですが認知症などによって本来の性格が苛烈になってしまっているのでしょうか。
それとも、他者を論破する、悪を断ずるといった行為に中毒性を感じるうちに、ここまで過激になってしまうことがあるのでしょうか。
(彼は知り合った当初から考え方が少々硬直的で、自分の知識を誇示する、沈黙は負けとみなす、些細な過ちに対して過剰に攻撃するが自分の非には無頓着といった傾向があり、インターネット黎明期から匿名掲示板などでの言い争いを好んでいたためです)
もし治療可能な病気だったとしても、このままでは自分の行った数々の悪行や、そのせいで裁判になるかもしれないという苦しい現状を、彼が冷静に受け止めることは困難だと思います。
今のような生活を続ければ続けるほど、回復が困難になってしまうのではないかと心配でなりません。
できるだけ傷が浅いうちに(と言ってもすでに迷惑をこうむった方がたくさんいらっしゃいますが)治療を受けて欲しいと思うのですが、自分が絶対に正しいと信じている彼が素直に医療機関に行く想像ができません。
彼の個人的な連絡先も知ってはいるものの、いま彼に受診を促したところで、激怒した彼に人格否定されて喧嘩別れが関の山だと思います。
一方で、彼は(数年前から状況が変わっていなければ)高齢のご両親の近くで一人暮らし、職場もほとんど会話せずにできる仕事のようなので、異変に気づいた以上、私が行動しなければという思いもあります。
先生のお考えでは、彼の異変の原因は何でしょうか。
また、どのようにアプローチするのが良いのでしょうか。
明らかに異変が起きているとはいえ、彼の言動には目を覆いたくなりますし、腹も立ちますが、このまま見過ごしていては余計に悪い結果にしかならないと思っています。
何卒ご教示のほどよろしくお願いいたします。
林: A氏は統合失調症または妄想性障害を発症されたのだと思います。
そのほかの可能性としては、質問者がご指摘の通り、「認知症などによって本来の性格が苛烈になってしまっている」も考えられないことはないですが(【4818】はその可能性が強く考えられる例です)、彼のSNSの内容の異様さからみて、その可能性は低いでしょう。
どのようにアプローチするのが良いのでしょうか。
精神科を受診して治療を受けていただく以外に方法はありません。
しかし、質問者がご友人として、A氏のために何とかされたいというお気持ちはよくわかりますが、遠方に在住の、かつ、趣味の領域に限定された友人という立場では、残念ながら実質的にはできることは限られると思います。質問者がおっしゃっている通りで、
いま彼に受診を促したところで、激怒した彼に人格否定されて喧嘩別れが関の山
ではありますが、しかし、受診以外に方法はなく、かつ、現実に質問者にできることが受診を促すことだけであるとすれば、実質的に有効な方法はないということになるでしょう。
(2024.4.5.)