【4783】母親が亡くなってからよく眠れなくなりました

Q: 私は24歳の女です。
1年半前に母が病死し、葬式にも出席したのですが、それから今まで寝付きが悪くなったように感じます。
なんともなく眠れる日が大半なのですが、月に4、5日、特に生理前の時期になると母親のことをふいに思い出してしまい、わけもなく泣いてしまって眠れないときがあります。
わけもなく、と書きましたが、多分母が死んで寂しいのと、葬式の日の出来事が自分にとってとても怖いものだったからだと思います。
特に思い出してしまうのが、お骨拾いなどの火葬場で見た風景です。
元々グロテスクなものが苦手なので当時も怖すぎて泣きながら骨を拾っていました。
葬式のあと1ヶ月ほどは夜中に悪夢を見て目が覚める、という日が2、3日おきに続いていました。
そして今の状況に至っています。

これは怖いものを見たためちょっとしたトラウマになっているだけなのでしょうか。
こうしたことは誰にでもよくあることですか?それとも、私のこの状況は病的なものでしょうか。
父親には「もう1周忌も終わったのに、そんなことをまだ気にしているのは何かおかしい」と心配されています。

 

林: 親しい方が亡くなられた後、一定期間、うつ状態になるのは正常な(健全な)反応です。
但し、それには正常の範囲内というものがあり、限度を超える反応は病的といえます。問題はその「限度」をどう定めるかということですが、それは当然に亡くなられた方とご本人の関係など、個々のケースによって異なります。
現代の診断基準(DSM-5-TR)には「遷延性悲嘆症 Prolonged Grief Disorder」という診断名があり、「親しい人の死後、1年以上が過ぎても症状が存在していること」が診断の必要条件になっています。さらにその症状についても診断の条件が記されています。
したがって、

父親には「もう1周忌も終わったのに、そんなことをまだ気にしているのは何かおかしい」と心配されています。

お父様のこの心配はある意味もっともであると言えます。

とはいうものの、DSM-5-TRは本来研究用の診断基準であり、厳密に基準を満たす・満たさないを論ずることにあまり意味はありません。1周忌が過ぎて症状が存在することから直ちに病的であるとは言えません。しかし逆に病的でないと断ずることもできません。
また、このような場合、親しい方との死別をきっかけにうつ病を発症したという可能性も考えられます。さらにこの【4783】のケースでは月経との関係もありますので、症状の成り立ちは複雑であるといえるでしょう。

以上の通りですので、病的であるかどうか、病名がつくかどうか については色々な考え方ができると思います。しかしそれはともかくとして、主観的にかなりつらい状態であれば、精神科を受診する意味はあるといえます。

(2024.2.5.)

05. 2月 2024 by Hayashi
カテゴリー: うつ病, 精神科Q&A